《VRゲームでもかしたくない。》第5章46幕 遭遇<encounter>

「待たせたね」

サツキが私しか殘っていない避難所に到著し、聲をかけてきました。

「大丈夫。えっとね」

私は先ほどまでの出來事を簡潔に説明します。

「そう言うことか。まさか貓に≪変≫、≪変裝≫かもしれないね、するとは」

「戦闘になったけどNPCは全員逃がせたよ。でも報を不に伝えられたかもしれない」

「まぁ何らかの連絡は取ったと考えるべきだろうね。この場所まで伝わってると思うし、ここに防衛戦力を置くべきかもしれない」

「うん。誰が適任だろう……」

なくともワタシ達5人の中に適任はいないだろうね。となると、空蟬の所から出してもらうしかない。ちょうどいいタイミングで空蟬がログインしたようだ」

そう言ってサツキはメッセージを送り始めました。

「迎えに行ってくるよ。もし不たちが來た時はよろしく頼むね」

しばらくメッセージでのやり取りをしていたサツキでしたが、一言そう言い殘し階段を上がっていきました。

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「気を付けて行ってらっしゃい」

私はサツキの背中に向けて言葉を飛ばしました。

暇だな。やることないな。

と考えながら地面に指で文字を書いていると、避難所の扉が開き、階段を降りてくる音が聞こえました。

「っ……!」

一派かサツキ達かわからないので、一応の戦闘準備をしておきます。

「ワタシだ。そう警戒しないでくれ」

階段の上からそうサツキの聲が聞こえたので私は安心して息を吐きました。

「來る途中サツキに聞いてたから大の事は分かった。これは致し方ない」

腕を組み、うんうんと頭を縦に振りながら空蟬がそう言います。

「貓は正義」

「それはわかるよ、だがまずはどうするかを考えないといけない」

「うむ」

サツキの言葉に返事をした空蟬と作戦會議です。

「待って。ほい。乗りな」

ブルーシートをインベントリから取り出して、その上にの子座りでペタンと空蟬が座ります。

「用意がいいね。失禮する」

「ありがとう」

私達もお禮を言い、シートに座ります。

「茶もある。麥茶」

そう言ってさらにインベントリからポットを出し、コップに注ぎ手渡してきます。

ピクニックかよ。

「用意がよすぎるんじゃないか?」

「いつ、どこででもピクニックをするための必須裝備」

「頂くよ。とりあえず報が不に全部知られた前提で話を進めたい。ここに確実に攻め込んでくると思うかい?」

「私は思うよ」

「私も。NPCに報を聞いて知らなかったら殺す。知ってても殺す。そんな奴ら」

ズズッと麥茶を飲みながら空蟬が言います。

「防衛戦力をここに置きたいんです。できれば力を貸してもらえないですか?」

「敬語じゃなくていい。それならここの防衛には私とクーリ……いや、まんちかんのほうがいいかな。その代わりログインしてくるまでここにいて」

「わかった」

「勿論だ」

「おっけ。もし攻め込んできたらすぐにサツキに連絡する。そしたら援護に來て。〔龍の恵〕を見つけるのは人手がしいけど、重要參考人が殺されちゃ元も子もない」

「重要參考人?」

「あぁ。それについてはワタシが説明しよう」

突然空蟬の口から出た重要參考人という言葉に引っかかりを覚えたので聞くと、サツキが説明してくれました。

「あの老人のことだ。知らないにしては反応がちょっと過剰なんだ。確実に知っていると思っていい。もしかしたら持っている可能すらあり得る」

「でも持っていたら使うんじゃないかな?」

「使うのに條件がある。もしくは、単では効力を発揮しない」

再びの私の質問には空蟬が返事をしました。

たしかに。

「そうかもしれない」

サツキも同意の様ですね。

「というタイミングで悪いニュースと悪いニュースがある」

「どっちも悪いんだが」

「ごめんごめん。悪いニュースとすっごく悪いニュースがある」

あっ。結局どっちも悪いニュースなんですね。

「じゃぁすっごく悪いニュースから聞こうか」

「不がログインした。悪いニュースはまだ私達とちゅぱすけしかログインしていない」

「「ちゅぱすけ?」」

「鶏骨ちゅぱ太郎の助平野郎。約してちゅぱすけ」

「あー。うん。そうか。その報は鶏骨ちゅぱ太郎が?」

「うん。追いかけてるみたい。んで向かう先がここ」

考え得る限りの中で最悪の狀況になりました。

「とりあえず戦闘準備しよう」

私がそう言ってシートからおを剝がし、立ち上がります。

それに続き、サツキも立ち上がり、空蟬も立ち上がりました。

「ふんふんっ!」

シートの上に座っていたのに全・力・で・おを叩いている事にはれないでおきましょう。

ガーン。ゴーン。

上の階からを破壊する音が聞こえてきます。

「今更でアレなんだが、空蟬。聞いてもいいかい?」

「何でも聞いて。スリーサイズは……」

「戦闘スタイルを教えてくれると助かる」

「中距離の忍者。スリーサイズは……」

「得意な屬は?」

「炎と雷。スリーサイズは……」

「近距離はこなせるだろうか?」

「こなせない。スリーサイズは……」

どんだけスリーサイズ言いたいんだ。てかやっぱりの子だったんですね。

「じゃぁスリーサイズは?」

本當に聞いてほしそうな顔をしていたので私が聞きます。

するとぱぁっと笑みを浮かべた空蟬が、実際はマスクでほとんど分かりませんでしたが、答え始めます。

「上から83、60、90。おには自信ある」

ここに男子がいなくてよかったです。

「近距離はワタシがやったほうが良さそうだ。チェリーは遠距離を頼むよ」

そう言ってサツキが魔銃を両手に持ち、私達の前へと出ます。

「戦闘準備。巻よし、刀よし」

空蟬も戦闘準備が完了したようで、左手に忍者刀を逆手で持ち、右手に巻を持っています。

見たじですと、エルマに近い戦闘スタイルにも見えます。

私もいつでも魔法を放てる様に準備しておきます。

「しゃらくせぇ!」

野太い男の聲が上階から響いたかと思うと、地震でも起きたのか、と錯覚してもおかしくないほど地面が揺れます。

すると天井が砕け、大きい人影が降って來て、地面に著地するのがコマ送りのように見えました。

「ほう。雌か。食いでがあるな。プレイヤーだな?」

両手に大きな斧を持ち、こちらに向かって歩いてきます。

「俺は不彰。珍しい本名プレイだ」

本名プレイ……。なんで自慢気なんだろう。

「さっき俺の子分から連絡があってな。ここで雌に狩られたらしい。そのお禮參りに來た。んでどいつがやった?」

ガンと両手の斧を地面に突き刺し、指をポキポキ鳴らしながら聞いてきます。

「わた……」

「ワタシだが?」

私が返事をしようと思い聲を出そうとするとサツキにさえぎられてしまいました。

「そうか。一発毆らせろや」

あぶないっ!

地面を蹴り、サツキに向かって飛び出した不は拳を握り、それをサツキの顔に叩きこもうと振りかぶります。

「≪マテリアル・シールド≫」

ぐわんと音を立て、私の理障壁がサツキの顔を間一髪で守りました。

「いいシールドだ。よし、毆んのは後回しだ」

そう言って不はクルリと背を向け、自分が置いた斧の場所に歩いていきます。

「≪滅破衝≫」

サツキが右手の魔銃から≪銃衝≫を発し、不を狙います。

「惜しいな」

しかし、不は振り向かず、一言だけそう言って背中で攻撃をけました。

「6000ってところか。悪いな。俺はVITに多めに振っているんでね」

そう言っていつの間にか取り出したHPポーションを飲み、斧を手に取りました。

「うっし。第二ラウンドだな。またこっちから行くぞ!」

今度は斧を持って突進してきました。

to be continued...

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