《VRゲームでもかしたくない。》第5章51幕 捕縛<apprehension>

青い稲妻と化したステイシーが走り去っていくのを見屆けた私達は、マスクで酸素を補給できたこともあり、立ち上がる事ができました。

燃やし途中で≪濃≫されてしまった〔ポイズン・ドルチャド・スライム〕を通り掛けにステイシーが轢殺し、地面の毒が一時的に無くなります。

「おやおや! これは驚いた! 反撃ですか! いいですね! こういう展開も大好きです! ≪アクティベート・サード・ポイジェネイド≫」

再びあの聲がスキルを発し、今度はブクブクと泡だっている粘を流し込んできます。

「おや!? これはまずいですね! 予想外です!」

こちらに迫るように流れてきていた粘が突然引いていきます。

「一回戦は僕の負けといったところでしょうか! 見せ場はつくらないといけませんよね!」

そう聲が響き、私は確信します。

「ステイシーがトンネルを壊したんだ」

「そうみたい。が見える」

トンネルの壁に張り付いていた空蟬が私の橫に飛び降りてきて言いました。

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「呼吸も隨分楽になったよね。ベルガが服を著たら向かおうよ」

マンチカンがそう言うと、し殘念そうな表をしていたベルガが一瞬で防を著用し、歩き出しました。

私達がってくる方向へ歩いている間、あの聲は聞こえませんでした。

それがとても不安をい、私は一言も発することができませんでした。

そしてトンネルを出すると、そこにステイシーやNPC、トンネルを作ったプレイヤーの姿はありませんでした。

「どういうことかな?」

マンチカンが辺りを見回しながら言います。

「分からない。私達だけ別の場所にでた?」

「いや。それはないと思いますよ」

「うん。これはステイシーの攻撃の痕だと思う」

地面にところどころクレーターができていることや、壁を時折走る電流がそれを語っていました。

「NPCまで殺したのかな?」

「それもないですね」

「それはないよ」

ベルガと私から同時に否定の言葉が出ます。

NPCを巻き込んでいたなら絶命したNPCやその殘骸が殘っているはずですから。

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「じゃぁどこに行った?」

空蟬がそう言う前に私はステイシーを探すために≪探知≫を発していました。

「≪フラッシュ・ライト≫」

一時的に燈りで奧を照らします。

「あそこに道があって、その先にいるみたい。〔龍の恵〕を持っている區長と不派の殘り一人、ステイシーがいる。他のNPCは別の道を通って移中」

「なら、早めに行こう。ステイシー一人でも大丈夫だとは思うけどNPCを人質に取られたら……」

「確実に取られてるんでしょうね。きがありません」

私が大まかな場所を伝えたからか、ベルガも≪探知≫系のスキルか何かで現狀を把握したようです。

「いこう」

私がそう言い、小走りになると、他の三人も遅れずについてきました。

一分ほど走ると、青白いが見えてきました。

「あそこかな?」

語尾をしあげ、疑問のように言いますが、実際はそこにステイシーがいると確信して私は走る速度を上げます。

「はやっ!」

後ろから聞こえるマンチカンの聲を置き去りに、私は走り切りました。

「待ってた」

「お待たせ」

ピリピリとした空気の中で、ステイシーから掛かった聲に返事をします。

「援護よろしく」

「任せて」

「いいんですかっ! このままだとご老人がお亡くなりになりますよ!」

「卑怯者っ!」

「なんとでも言ってください! 卑怯!? 上等です! 犯罪プレイは卑怯じゃないとやっていけませんからねぇ! ≪ポイズン・サンド・レイス≫」

區長を押さえている手ではない、空いた手でこちらに向かって複合屬魔法を飛ばしてきます。

「≪ホーリー・シールド≫、≪ウィンド・シールド≫」

「足りませんよっ!」

「足りています」

複合屬の魔法スキルですが、おそらくは、闇屬と土屬、そして無屬の三種類の複合だと考えられます。

これだと無屬の毒系スキルに対して障壁は機能しませんが、そちらはステイシーに防ぐ方法があるのであえて展開しませんでした。

「やっ!」

ステイシーが振った短い杖は【調律快杖 ハーモナ・ロッド】という〔ユニークモンスター〕からのドロップ品です。

確か効果は……。

「『無屬魔法を音波に変える』」

なので無屬魔法は今のステイシーにとっては無意味に等しいです。

しかし、欠點もあります。そしてそれは、すでに知られている可能が高いです。

「知っていますよ! 継続系スキルに弱いんですよね! そのスキルは好みです!」

やはり知られていました。先ほどトンネルに閉じ込められた際、モニターされていたので予想が付いてしまうのも無理はないです。

「この程度バレたらない」

そう言ったステイシーのがさらに明るく輝いたような気がします。

そしてその意味が理解できた私は、後ろにいるマンチカンと空蟬に頼みます。

「區長を守って!」

「≪【雷神の憤怒】≫」

ステイシーがこの狀態でのみ使える≪神話級雷屬魔法≫を発し、低く、狹い空間の上空に暗雲が生されます。

ピカッとった時、私は區長を守るために土屬魔法で障壁を何重にも展開しようとしますが、區長だけでなく彼も守ってしまうことになってしまう、と発に一瞬遅れが出ます。

その直後、マンチカンが彼に向かって飛び掛かりました。

「盾ゲットですね!」

そう言った彼にマンチカンは足を捕まれ、上空に投げられてしまいました。

私にはニヤリと笑うマンチカンがはっきりと見えていました。

「食らいなよ」

自分のに直撃するはずの≪神話級雷屬魔法≫を足で蹴り飛ばし、的確に彼の額を狙います。

「なんっ!?」

かろうじて聲をあげた彼は、右手で押さえていた區長を放り、即座に障壁を展開しようとしました。

「悪手」

いつの間にか彼の背後にいた空蟬が區長を抱え、走り出すのを見て、ステイシーが≪神話級魔法≫のコントロールを放棄しました。

彼は區長を再び捕らえようと、手をばしますが、私の土屬魔法の障壁に弾かれました。

そして怒りに歪む彼の顔を私は確認しました。

どれほどの時間が経過したか分かりませんが、満創痍の彼と≪【雷神の祝福】≫、≪【雷神の怒り】≫が解け、全ての雷屬魔法が使えなくなったステイシーがにらみ合っています。

「やりますね! ええ。本當にやりますね。もう我慢できません。これ以上の戦闘は僕に取って無意味、失禮しま……」

「それは認めません」

長い縄を手に持ったベルガが≪捕縛≫系スキルで逃げようとした彼を捕らえました。

「縄は切れます」

「いえ。切れません。その縄だけは、絶・対・に・」

「試してみましょう」

後ろ手に小型のナイフのようなものを取り出した彼が縄の切斷を試みますが、確かに縄には傷一つつきません。

「完敗です」

あっさり負けを認めましたね。

ステイシーが限界とはいえ、まだ私と空蟬が余力を殘している狀況なので、賢い選択かもしれません。

「敗者ですから、質問に答えますよ」

「名前はー?」

ステイシーが呼吸を落ち著けながら聞きました。

「不彰です」

「は?」

「えっ?」

「どういうことでしょうか」

マンチカンと私、そしてベルガが疑問をぶつけます。

だって不は……。

「あれは影武者です」

私の心を読んだかのように不彰と名乗る人が答えます。

「あれは不勝まさる、雙子の弟です」

弟を影武者に……?

「誤解がないように言いますが、無理やりではないですよ。僕になりたがっているあいつに僕をあげただけですよ。兄弟、好きですよ」

「この都市を手にれたかったのですか?」

私が次の質問をします。

「いえ。ただ、殺したかった。この世界に生きる生命を。それだけです。殺生が、好きなんです」

「そういう遊び方が悪い、とは言いません。ですが……」

「度が過ぎる、と言いたいのでしょう? わかります。ですが、僕らは止めれれない。それが唯一の生きがいだから」

「生きがい……?」

「さらばです」

私達の質問が終わらないうちに、本の不彰は自殺を行い、大量のドロップ品と膨大なデスペナルティーを支払い消えていきました。

「私の目の前で最後の一人を倒せたので依頼は達でしょう」

そう背後から空蟬に擔がれた區長が言います。

「話の続きをしましょうか」

そう言った區長は、手に持つ杖をコツンと地面に突き、空蟬から離れました。

to be 

    人が読んでいる<VRゲームでも身體は動かしたくない。>
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