《VRゲームでもかしたくない。》第6章4幕 指導<guidance>

「ちっとも休めない! なにがごゆっくりだー!」

私が部屋から出るとエルマがプンプンと怒っていました。

「まぁ、エルマ落ち著け。君はまだましな方だ。ワタシなんて部屋にる前だぞ」

それは可哀そう。

「とりあえず訓練場までいこー。どこかなー?」

「こちらでございます」

ステイシーがそう言って給を見ると、給が廊下の先を指さし、歩き出します。

給について數分歩くと訓練場と書かれたプレートが見えてきます。

「この中にベルダート家の私兵が居ります。訓練よろしくお願いいたします」

そう言って給は訓練場の扉を開けて私達を押し込むようにれました。

「整列! 禮!」

「お願いします」

私兵の隊長さんでしょうか、私達がると號令をかけ、全員で挨拶をしてくれました。

「こちらこそよろしく頼む。ワタシ達はいうほど練度が高いわけではないだろう。流だと思って気楽に訓練してくれていい。皆を紹介しよう。右から雷屬魔法擔當のステイシー。闇屬魔法擔當のチェリー。ワタシはサツキ、魔銃や銃を擔當する。そして霊魔法擔當のエルマ、彼は剣の指導も兼任する。風屬魔法擔當の貓姫だ。短い間だと思うが、よろしくお願いする」

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サツキがこちらの紹介を一通りしてくれたので私達はペコリと軽いお辭儀をするだけで済ませました。

「自の扱う屬、武の方の元へ集まれ!」

先ほどの隊長らしき人がそう聲をあげると、ぞろぞろと私達の前に並びます。

「ん?」

おかしくないですか?

何故私の前に誰も並ばないのでしょうか。

「あの、私闇魔法……」

「先ほどの紹介で心得ている。だが我々の中で闇屬魔法を習得している者はいない」

「はい? だって闇屬魔法って依頼にあったじゃないですか」

「そのことなら心配しないでもらっていい。じきに來るだろう」

「どういうことですか?」

「こういうことです」

再び扉が開かれ、先ほど私達を案した給とサリアがスポーティーな服に著替えてやってきました。

「お二人が闇屬魔法を習得するじですか?」

「習得はしています。練度が低いので訓練に混ぜていただこうか、と思ったのです」

サリアがそう言うと給が続けて言います。

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「ナサリアン様一人にさせるのがまずいと思ったので私も參加させていただきます。ナサリアン様付きの給レルカレンと申します。私は闇魔法を習得しておりません」

「チェリーです。では最初はレルカレンさんに闇魔法を習得してもらいましょうか。では端っこに行きましょう」

私はそう言って四隅を確認し、開いている角へ向かって歩いていきます。

四隅まで歩いてきた私は、どう教えればいいのか頭を捻ります。

プレイヤーでしたら【稱號】を取ってしまえばいいのですが、NPCも一緒でいいのでしょうか。

たしか、NPCはスキルの習得に時間と手間がかかると聞いた覚えがあります。

≪初級闇屬魔法≫などを取ってしまえば技は教えればいいだけですが……。

考えても仕方ありませんね。

レルカレンには≪初級闇屬魔法≫が使える【稱號】を手にれてもらいましょう。

「ではまず、レルカレンさんには≪初級闇屬魔法≫が使える【稱號】の獲得を目指してもらいます。【見習い闇神】がいいでしょうか」

私がそう言うと、レルカレンはコクリと頷き「かしこまりました」と言いました。

そのままの向きを変え、サリアに向き直ります。

「サリアさんはどのレベルの闇屬魔法が扱えますか?」

「お恥ずかしながらまだ≪初級闇屬魔法≫で……」

「全然大丈夫ですよ。ではそちらの練度をあげて中級の取得を目指しましょう。【稱號】のスキルですか?」

「はい。そうです。【見習い闇神】の」

「では闇魔法講義としの練習で良さそうですね。まず、レルカレンさんに教えますのでそれをよく聞いていてくださいね」

「わかりました」

返事をしたサリアが私の隣に立ち、一緒にレルカレンを見る形になります。

「レルカレンさんは魔法の使用経験はありますか?」

「皆無です。私は元々【高狙撃手ハイスナイパー】です」

【高狙撃手】ね。【狙撃手スナイパー】の程距離に特化した上位【稱號】だったはずですね。TPとMPを消費して発するスキルが多くあったので、これなら早く習得できるかもしれませんね。

「【高狙撃手】は目を強化するスキルや、風の影響を減らすスキルがあります。なので結構簡単に覚えられるかもしれませんね」

私はそこまで言うとインベントリから【魔木の杖】を取りだします。

その辺の植系モンスターからぽろぽろ落ちる素材化できる杖を取り出します。

「これには≪初級基本屬魔法≫が付いています。まずこちらで【魔見習い】を取ってもらいましょうか」

「お預かりします」

私がレルカレンに杖を渡すと、サリアもしそうにしていたので、もう一本取り出し渡します。

「サリアさんも一緒にどうぞ。魔法の基本をやりますよ」

「はい」

「よろしくお願いします」

「まず魔法というのは自に備わったMPを変換し、現象を起こすことを言います」

あくまでこの世界ではですが、と心の中で付け足した後、続けます。

「まずは魔力を変換する過程を覚えましょう」

プレイヤーならほんのしも訓練せずともできてしまうのですが、とこれまた心の中で付け足します。

「≪初級基本屬魔法≫には火、水、風、土の4屬が含まれます。そこで一番基本となるのは……≪ウォーター・ボール≫」

魔力を極力減らし、あくまで初級水屬魔法の範囲で発させ、空中にふよふよと浮かべます。火だと燃える可能がありますが、水なら特に怪我もしませんし。

「このように魔法の屬と≪シェイプ≫を組み合わせることです」

「なるほど。≪ウォーター・ボール≫」

すでに【見習い闇神】を獲得し、≪初級闇屬魔法≫を扱えるサリアはすぐに理解し、発しました。

「あっ! 【魔見習い】が獲得できました!」

「はっや!」

一発で獲得は早いですね、と思いましたが、【魔見習い】は基本的に魔法系の基礎【稱號】なので、しでも上位の【稱號】があればすぐに獲得できるのかもしれませんね。正直プレイヤーなら【魔見習い】は剣に屬纏わせて振ればすぐに習得できるものですし。

「さすがナサリアン様です。では私も」

そういったレルカレンは「むむむ」と唸りながら杖を見ています。

「んー。そうですね。一度杖を……こう……長銃ライフルみたいに構えてみたらどうですか?」

私が思い付きでそう提案します。

「こうですか?」

すぐにそれを実踐したレルカレンは、何か閃いた様で、ハッとしました。

「なるほど。そういうことですか。≪ウォーター・ボール≫」

すると杖の先端に水の塊が発生し、勢いよく飛び出していきました。

「できてますね。やはり長銃の覚だと分かりやすかったですか?」

「そうですね。長銃ですと、目と長銃本に力を流すのですが、隨分それに近い覚がしました」

「では次は杖を普通に持ってやってみてください」

「はい。≪ウォーター・ボール≫」

「完璧です」

「【魔見習い】を獲得しました」

早い。やっぱりNPCって習得が面倒な分【稱號】は手にりやすいのかもしれませんね。

プレイヤーはスキルさえあればすぐに使えてしまいますから。

「早いですね。では闇魔法のお話に移りますね」

「お願いします」

「闇屬魔法は俗に応用屬魔法と言われています。全10屬のうち基本屬の火、水、風、土の4種類を除いたものが応用屬で氷、雷、聖、、闇、無の6種類あります」

「そうなのですね」

「屬の相は……」

私はかつてVR化される前、ステイシーから習ったことをそのまま伝えていきました。

「えっと……今の説明だけで【魔】と【闇神】を獲得してしまったのですが……」

「私もです」

申し訳なさそうにサリアが言い、おずおずといったじでレルカレンも手を上げます。

「……では実際に使ってみましょうか。闇屬魔法は癖が強いので頑張ってついてきてくださいね。基本の≪シェイプ≫は先ほど教えた通りです」

「分かりました」

「はい」

「ではまず一番危険度の低い≪バインド≫から行きましょう」

本來≪バインド≫は≪上級屬魔法≫で扱えるようになるのですが、≪バインド≫を扱える人に教えてもらえば≪初級屬魔法≫や≪中級級屬魔法≫でも扱えます。

「≪ダーク・バインド≫」

「≪ダーク・バインド≫」

萬全を期して私を狙ってもらうことにして、≪ダーク・バインド≫を発してもらいました。

私が普段使う≪シャドウ・バインド≫よりも拘束力は落ちますが、周りの環境に左右されないのが強みです。

「護として闇魔法なんですよね?」

先ほど魔法の説明をしているときにも聞いたのですが、確認の為にもう一度聞いてみます。

「はい。対象を無力化、憲兵や自警団につきだせたら穏便ですので」

「なら闇魔法はおすすめです。使い方を間違えなければ無傷で無力化できますから。すばらしい選択だと思います」

「ありがとうございます」

「そういえば他の所はどうなってるんだろう」

私が拘束された狀態で後ろを振り返ると、一角がだらけになっていたり、帯電している部分もあれば、土のようにサラサラになっている壁もありました。

「あの……これ報酬から差し引かれたりしませんよね?」

「大丈夫です。こちらの訓練場は訓練場自が結界裝置なのです」

ふふん、と自慢気に説明するサリアですが、私は壽命がむ思いでした。

to be continued...

    人が読んでいる<VRゲームでも身體は動かしたくない。>
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