《VRゲームでもはかしたくない。》第6章10幕 ナンパ<hitting on girls>
ベルダートの付として半數の私兵が出ていることで、殘りの半數にはみっちりと訓練をすることができました。
エルマも剣ではなく霊魔法を一から教え、ほくほくした顔をしています。
「ところでチェリーさん」
「ん?」
サリアが辺りを見回していた私に話しかけてきます。
「複合屬って上級屬魔法からなんですよね?」
「うん。一応はね」
「では二つ同時に中級屬魔法を放てば複合屬魔法になるんでしょうか?」
「うーん。実例を見てもらった方がいいかな。≪サンダー・ボール≫、≪シャドウ・ボール≫」
私は片手に一つづつ雷屬魔法と闇屬魔法で作った≪ボール≫を持ちます。
「し離れててね」
そう言うとし、後ろに下がったサリアとレルカレンがコクリと頷きます。
私もコクリと頷きます。
そして右手と左手の≪ボール≫を手を合わせるようにくっつけます。
直後、ボンという音とともに私の手元が発し、魔法が霧散しました。
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「えっ? 複合屬魔法では雷屬魔法と闇屬魔法の質を持ったモノを発してますよね? どうしてですか?」
「それはね」
「それは魔法として完する前に混ぜてるからー」
とことここちらに歩いてきたステイシーがそう説明を始めてくれます。
「チェリーなら複合屬じゃない魔法二つ以上混ぜるときどうするー?」
おっ。これは私も勉強になりそうな予です。
「そうだね。二つ方法が考えられるかな」
「たとえばー?」
「まずはエンチャントを使う」
「うんうんー。やってみてー」
「わかった。≪ダーク・ボール≫、≪サンダー・エンチャント≫」
右手に出現した≪ダーク・ボール≫の表面を雷がパチパチと走ります。
「基本だねー。でもそれじゃぁー」
「威力が低い」
私はそう言って右手の≪ダーク・ボール≫を壁に投げつけます。
「じゃぁチェリー。どうするー?」
「屬混合スキルを使う」
「おー」
「≪サンダー・ユナイト・ダーク・ボール≫」
すると右手に出現した≪ダーク・ボール≫には完全に雷屬が混ざりこんでいます。
「完璧だねー。でもこの方法だと消耗が激しいから、複合魔法は使えると便利なんだよー」
「そういうこと」
私の実演とステイシーの解説で何か思ったのか、すぐにサリアとレルカレンが質問してきます。
「先ほどエルマさんが火屬魔法を風屬魔法で威力の底上げをしていたのですが、あれはどういった理由でなったのですか?」
「いい質問だねー。チェリー火魔法お願いー」
「わかった。≪グランド・フレイム≫」
地面に軽い焚火を起こします。
「≪ウィンド・ボール≫。よー」
そこにステイシーが≪ウィンド・ボール≫を投げ込みます。
すると投げ込まれた瞬間だけ、ボゥと強く燃え上がります。
「わっ!」
し離れていた場所にいる私達のを熱風がで、サリアはびっくりしていたようです。
「これは基本屬と雷屬、氷屬でしか使えないんだけどー。威力の底上げができるんだー」
そう言ったステイシーが無屬魔法で空中に図を書きました。
「こんなじー」
火には風、風には土、土には水、水には火。そして雷には水、氷にも水、と図でわかりやすく表示されます。
「こうやって見ると水屬って便利なんですね」
サリアがじっと図を見ながら言います。
「便利だよー。形態の作は楽だし、無盡蔵にあるだから消費もない方だしー」
「その代わり水は、威力が弱いのと、防がれやすい」
殺気のお返し、と言わんばかりに私はステイシーのセリフをとってしまいました。
「チェリーの言う通りー。どの屬にも長所、短所があるからねー。そこは覚えておかなきゃねー」
ステイシーがそう締めくくると、リンゴーンと鐘が鳴りました。
「集合っ!」
私兵隊隊長が大聲を出します。
「本日の訓練は終了。各自帰宅し、を休めよ。本日、當番の者は殘れ。解散」
すると私兵は數人を殘してぞろぞろと訓練場を出て行きます。
「もう17時なんですね。では私達も訓練を終えましょう。本日はありがとうございました」
「ありがとうございました」
サリアとレルカレンがそう言ってお辭儀をし、訓練場から出て行きました。
ある意味唖然としている私達は訓練場の隅っこに集まります。
「定時上がりなんだね」
エルマがボソッといった言葉に意を唱える者はおらず、皆無言になっていました。
「皆様お食事の準備ができております」
だから早えよ! し休ませろよ!
「商家って、忙しい、のね」
マオがそう言って立ち上がりました。
給に案され、再び食堂へとやってきた私達は、席に著き、出されたスープのをチビチビと飲み始めます。
「皆様、本日はご苦労様でした。明日はどうされるご予定でしょうか」
「その前に一つ、いいだろうか」
「なんでしょう、サツキ様」
「この訓練はいつまでやるんだい? 私達的には日帰りでけられる依頼だと思っていたのだが」
「こちらの依頼は旦那様が直々に出したもので、私達は期間について知らされておりません」
つまり、自分がいない間、防衛戦力を留めておきたかったと。
「そう言うことなら仕方ないねー。案所に行ってくるー」
ステイシーがスープ用のスプーンをカチャリと置き、食堂を出て行こうとします。
このままだとクエスト放棄の扱いになってしまいそうです。
「ステイシー。破棄するつもりか?」
サツキがそう聞くと、ステイシーは首を橫に振りながら答えます。
「まさかー。ここまでやったんだから達するよー。僕は依頼を出しに行くんだー」
「なんのだい?」
「忘れてないよねー? 僕らは3日後、懇親會に行かなきゃいけないんだよー? その次の日を開けておいてってエルマが言ってるんだし、二日分誰かに代役頼まないとでしょー?」
「あぁ。そう言うことか」
「うんー。チェリー。一緒に來てくれる?」
「えっ。わかった」
私はスプーンを置き立ち上がります。
「お食事は殘して置きますのでごゆっくりどうぞ」
「あっ。ありがとうございます」
そう給に告げ、私とステイシーはベルダート家を出ました。
「チェリー。まずは『ディレミアン』の案所に行くよー」
「まずは?」
「そこで調べたいことがあるー」
「わかった」
私とステイシーはし早歩き気味になりながら案所へと歩きました。
NPCの姿はほとんど見えず、プレイヤーばかりとなった案所の階段を上り、クエストカウンターへと向かいます。
「ねーねー。聞きたいことがあるんだけどー」
「はい。なんでしょうか」
ステイシーが依頼付のNPCに話しかけます。
「この後暇ー?」
えっ。
「えっ。ええっ! 大丈夫です!」
「仕事終わったら教えてねー」
「あい……」
そしてこちらに向き直ったステイシーが蟹のように両手をハサミにしてちょきちょきしています。
「なんでナンパしてるの?」
「必要な報を得るためだよー。なくとも依頼付のNPCは仕事中絶対口を割らないからー」
「な、なるほど。でもナンパはちょっと……」
「そうー?」
「そうだよ」
私達がそう話していると、従業員専用と書かれた扉から先ほどのNPCが飛び出してきます。
「ごめんなさーい。お待たせしましたぁ」
うお。別人。
「じゃぁいこうかー。良いバーがあるんだー」
「はいっ!」
私、ステイシー、付のお姉さんという異の三人でバーというにはし寂れた所にやってきました。
「リーリ? いるー?」
「はいはい。ステイシーじゃないか!? 久しいね。連れかい? 自慢なら他でやってくれないか?」
「違う違う、チェリーは知ってるでしょ?」
「もちろんだ。初めましてチェリー。【解析屋アナライザー】のリーリだよ」
「初めまして」
「調べてほしいのはそこのお嬢さんかな?」
「えっ?」
付のお姉さんが突然目を向けられ、おろおろし始めます。
「そうだよー」
「了解だよ。奧の個室へどうぞ。準備ができたら、行くからね」
そう言ったリーリはカウンターの奧へと消えて行ったので、私達は言われた通り、奧の個室にりました。
to be continued...
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