《VRゲームでもかしたくない。》第6章16幕 れ替わり<replacement>

「サツキの本名初めて知った」

私がエルマにそう伝えると、エルマはふふんとを張り、答えました。

「そのために連絡先を換して、本名を聞きだしたのだ!」

「すごい努力」

私達がそう話している間も車は、サツキこと鷺宮月見の家へ向かい進んでいきます。

「あっ。皆に連絡するの忘れてた」

エルマがそう言って攜帯端末を取り出し、ポチポチし始めたので、私は窓の外、移ろう景を眺めているとふと思い出します。

「そういえば的にどうれ替えっこするの?」

「うーん」

私がエルマに対して、案の提示を求めるとし考えたエルマがプランを話し始めます。

「うん。こうしよう。ほらあたしって一人稱が、あたし、じゃん?」

「そうだね」

「まずはそこをチェリーにやってもらおう。それであたしは、私、っていうよ。そのあとはチェリーはあたしっぽく元気で可く天使のようにしゃべるのだ」

「ん? もっかい言って?」

「あたしっぽく天使のようにしゃべるのだ」

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「はいはい。じゃぁエルマは私みたいにしゃべるってことかな?」

「うむ。永谷、聞いてた?」

エルマが突然運転中の永谷に聲を掛けます。

「勿論でございます」

「じゃぁあわせて」

「かしこまりました」

こういう我儘に付き合うのも執事の役目なんでしょうか。大変なお仕事ですね。

「ボロださないでよねー」

そういいながらエルマは私の肘をつんつんと叩きます。

「エルマこそ」

私も仕返し、とばかりにエルマの頬をぷにぷにします。

「やめて化粧が!」

勝ったな。

「あと10分ほどで見えてまいります」

「ありがと。じゃぁチェリー今から準備しよう」

そういってエルマは私に攜帯端末を渡してきます。

「どういうこと?」

「これから誰かにばれるまで君がエルマなんだよ。そして私がチェリー。やるからには全力でが私の信念だから」

もうすでにエルマは自分のことをチェリーと思い込み、ロールプレイを始めたようですね。ならば私も、乗りましょう。

「わかった。あたしも全力でやるよ!」

「パーペキ」

「そう言うのは真似しなくていいんじゃないかな?」

そうこう話していると待ち合わせ場所に提示されたサツキの家が見えてきます。

「あれかな?」

「どうだろう。永谷さん。どうですか?」

おお。私っぽい。さすがエルマ!

「智恵理お嬢様の言う通りでございます。あちらが鷺宮家でございます」

心なしか永谷さんの聲も楽しそうです。

意外といたずらっ子なのかもしれませんね。

「では門の前にお停めいたします。先に瑠麻お嬢様がお降りください」

ほけー、としていてエルマにつんつんされます。

「あっ。今のは私か」

「ちょっと! 集中足りないよ!」

「大丈夫、大丈夫。次からは上手くやる」

あらためて気合をれなおし、門の前に停車した車から私は降ります。

「ほー。これがサツキの家か。意外と大きいね」

「そうだね。でもサツキが一人で住んでいるのな?」

「あぁ。そうだよ。一人には広すぎる家だがね。やぁ。ワタシがサツキと名乗っている者だ」

門の橫に寄りかかっていたが私達の方を向いてそうしゃべります。

「ん? あぁ。見た目が想像と違ったかい?」

サツキは自の全を見ながらそう言います。

「いや。こちらでも普段からそのしゃべり方なのかなって」

チェリーを演じるエルマがそう聞くと、ふっ、と笑いながらサツキは答えます。

「無論だ。まぁ長話は、中でしようじゃないか」

「お気を付けください」

永谷がそう言ってサツキを乗せようとします。

「いいや。ワタシはあとでいい」

「かしこまりました。では瑠麻お嬢様」

そう言って手を差し出してくれるので、エルマを演じる私がすっと手を取り乗り込みます。

「では出発致します。お次は、乙葉おとは真琴まこと様をお迎えに上がります」

永谷がそう言って車を走り始めます。

「ほう。ステイシーは乙葉真琴か。いい名前だ。らしいと言えばらしいしな」

「だよね」

「任せて。そのために連絡先を換したんだから!」

私がエルマっぽくそう言うと、サツキはこちらを見て言いました。

「意外だったのは君たちだ。一目見た瞬間に逆じゃないか、そう思ったよ」

「あたしも驚いた。チェリーがあたしのキャラに似てたからね。って言っても第一陣の専用端末買いに來た時の話だけど」

「そうだね。あっ。エルマ連絡してあげないと」

「そうだった」

私はそう言ってポシェットからエルマの攜帯端末を取り出し、幸運にも同じ機種だったので違和なく、作し始めました。

『サツキを拾ったよーん。次はステイシーだから頭洗ってまってなっ!』

そうメッセージを送っておきます。

するとポヒュン、チロリンとエルマが持つ私の攜帯端末とサツキの攜帯端末にも通知が屆いたようでした。

その後もれ替わりロールプレイは続け、會話をしていると、永谷が待ち合わせ場所に著くと教えてくれました。

「よし。ステイシー拾って最後にマオだ! これで全員集合!」

「あぁ。こういうのも、悪くない。悪くないね」

「そうだね」

ねぇ。エルマ。私普段そんなに「そうだね」ばっかりかな? サツキに疑われていないし、し傷付きます。

「到著いたしました」

「永谷さんと言ったか。すまないね。エルマと友人というだけでこのようにしてもらって」

「いえ。私めはこれが仕事でございますので」

そう言った永谷が扉を開けましたので、私が一番に降りていきます。

「ステイシー」

私がステイシーを呼ぶと、すっとから人が出てきました。

帽子を深々と被り、サングラスを掛け、マスクをした人です。

「君はー……。エルマかいー?」

「うん。そうだけど、その恰好はさすがにやばいんじゃ」

「やばいなんてもんじゃなかったー。そんなに長い時間いなかったけど、もう2度もお巡りさんに聲を掛けられたー」

そういいながらステイシーはこちらに歩いてきます。

「やー。チェリーにサツキ。僕はステイシー。ちょっと訳アリでこの見た目だけど許してねー」

「あ、あぁ。気にはなるが、気にしないでおこう」

「とりあえず乗って、マオ迎えに行かなきゃ」

私がそう言うと、皆ぞろぞろと乗り込んでいきます。

それを確認した永谷が、車を走らせ始めました。

「最後は伊戸明いとあ琴音ことね様をお迎えに上がります」

そういうとしステイシーがビクッとするのが稽でした。

「瑠麻お嬢様、琴音様をお迎えに上がるのですが、目的地と信號を挾んでいるだけですので如何いたしましょう」

「じゃぁマオのとこで降ろして。そこから5人で歩く」

私がそう返すと、「かしこまりました」といい、し車の速度が上がりました。

「ところでステイシーずっとその恰好のつもりかい?」

「正直、裝でもなんでもするからばれなければいいー」

「ん? いま何でもするって?」

だからエルマ、私そこまでそう言うこと言わないって。

「何でもするといったね?」

サツキがステイシーに対して獰猛に笑います。

「ちょっとまってー? 何をする気かなー?」

裝してもらおうかってね」

「やっぱりやだー」

「男に二言はない。そうだろう? 永谷さん寄り道を頼めるだろうか」

「もちろんでございます。ですがお時間あまりありませんが大丈夫でしょうか」

「あぁ。この先にワタシがひいきにしているお店が在ってね。そこで一式変裝道をそろえようとおもっている」

「かしこまりました。『コスプレ専門店 トィドールズ』ですね」

「良く調べている。流石だ」

「ありがとうございます」

そう言った永谷は進路を変え、『コスプレ専門店 トィドールズ』に向かいました。

「ここで待っていてくれ。このメンバーは些か濃い」

そう言い殘し、サツキが降りていきました。

「ところでチェリーとエルマはなんでれ替わってるのー?」

「ばれてたし」

「そりゃそうだよ。サツキにもばれてるよ」

私はそう言って普段の口調に戻ります。

「最初は違和だったけど、気付いたのは別の理由だよー」

「えっ?」

「うん?」

エルマと私がそう返すとステイシーは私のポシェットを指さしながら言いました。

「だってそのポシェット。向こうでチェリーが使っているのにそっくりだもんー。換するならポシェットごと変えるべきだったねー」

「まさかポシェットでばれるとは思わなかった」

「ね」

「まぁいいや楽しめたし。ほい」

そう言ってエルマは私に攜帯端末を返してきました。私もエルマに攜帯端末を返し、れ替わりは終了しました。

「またせたね。おや? れ替わりは終了かい?」

紙袋を二つほど持ったサツキが帰ってくるや否やそう言いました。

「やっぱりサツキも気付いてたんだね」

私がそう聞くとサツキは笑いながら言いました。

「だって君たち、ゲーム長変わらないと言っていたじゃないか」

あっ。

「どこでボロを出すか楽しみにしていたんだけどね。思ったよりも出ていなかったよ。強いて言えば攜帯端末だね」

そう言ってエルマの鞄を指さします。

「これは個人的なじ方なんだけどね。チェリーが攜帯端末を両手で作するとは思えないんだ。まるで他人の端末を使っているかのような」

あっ。

「あー。もう全部チェリーのせいだ」

「元はといえばエルマが言ったんでしょ」

「なんだとー!」

「このー」

そう言ってキャピキャピ遊んでいると、ステイシーは紙袋の中を見て泣きそうになっていました。

「さてステイシー。著替えの時間だと言いたいところだが、服をここで著替えるのはハードルが高いだろう。見たところといっても大丈夫な服だ。見た目だけ変えよう」

そう言ってステイシーが持っていた紙袋の中からサツキはウィッグと化粧道を取り出します。

「さぁ生まれ変わらせてあげるよ」

そう言うサツキの顔は非常に楽しそうでした。

to be continued...

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