《VRゲームでもかしたくない。》第6章22幕 解散<dissolution>

「その名も、【ギフト】です」

白河華夏がその名を出すと、會場が靜まり返り、ホログラムで【ギフト】の文字が浮かび上がります。

「詳しく説明させていただきます。【ギフト】システムは【稱號】や武による差別化をより明確にするものです。まずはこちらをご覧いただきましょう」

するとホログラムが形を変え、大きな説明文が浮かび上がります。

『各プレイヤーが一つのみ獲得、設定できるステータス』

『キャラクターに蓄積された経験によって得られる、完全固有のもの』

そう表示されます。

「いまご覧いただいている説明では分かりにくいと思います。なので実際テスターである社員のステータスをご覧ください」

そう言って次に畫面に映し出されたのはプレイヤーのステータス畫面でした。

詳しく見てみると、オーソドックスな剣士の様で、【稱號】や武も剣士系でした。

「ではこちら【ギフト】を授けます」

すると畫面が変わり、ステータス畫面の下に【ギフト】と書かれた項目が追加されています。

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「【ギフト:ソードプロテクト】が追加されています。効果は、剣系統の武耐久度の減を無効化する。となっています」

これを見るとさほど強い効果とは思えません。

「皆様も、あまり強い効果ではないとじていると思います。ゲームバランスを著しく損なうような【ギフト】はありません」

の落膽の聲が會場にこだまします。

「そして完全に固有であるが故、似た効果のものはあっても強弱に差が出る場合もございます」

なるほど。ではもし【ギフト:移加速】などのようなものがあった際、加速の上限に差が出る、というわけですね。

「こちらは來週のアップデートで追加となりますが、當懇親會にお越しの皆様は先行験者として、次回ログイン時に適応されます」

おお。一足先に験できるというわけですね。

「細かい質問などはございますでしょうか」

白河華夏がそう言い、會場を見回すと、一人の男が手をあげています。

「どうぞ」

「ありがとうございます。確認したいのは【ギフト】のリセットは可能かどうかです」

「【ギフト】のリセットは原則できません。しかし、大規模イベントや、『二大勢力戦』の報酬で獲得可能に設定する予定です」

もし、本當に要らない能力を引てしまったら救済措置はある、ということですか。これはし助かります。私はあまり運がいい方ではないので。

他にもいくつか質問が上がりましたが、特に有益な報は得られませんでした。

白河華夏による説明が終わると、今度はいつの間にか降りていた最上賢治が壇上に登ります。

「新システムについては諸君たちの想をぜひともお聞きしたい。協力をお願いする」

そういって最上賢治と白河華夏は頭を下げました。

「では懇親會での重大発表及びメインイベントは終了したわけだが、すぐ解散というのは味気ないだろう? というわけで私達社員を含めて、この會場を夕刻17時まで開放する。この際に他人と流するもよし、帰宅し、早速【ギフト】を確かめるもよし。好きなようにしていってくれ」

そう言うと再びお辭儀をして最上賢治と白河華夏が降壇しました。

「みんなどうする?」

私がそう聞くと、皆も決めかねていたようで、エルマ以外がうーんと唸ります。

「あたし的には、もう出てもいいんじゃないかと思う。長居するとキャラがばれそうだしね」

そういってエルマは辺りを見回す仕草をします。

「そうだな。長居はしなくていいだろう。懇親會というよりはただの新システム発表會のようなじだったと言わざるを得ないね」

サツキがそう言って立ち上がると、続いてマオも立ち上がります。

「なんやなんや。どこいくん?」

「帰るんだよ」

一番最後に立ち上がった私がそうもこちねるに伝えると、もこちねるもすっと立ち上がり、ついてきます。

「一応いまチームやろー? 置いて行こうとするなんて酷くないかー?」

そう言いながらサツキに付きまとっていると後ろから聲がかかります。

「あのっ!」

一斉に全員が振り返るとそこには一人の可らしいと爽やかな男が立っていました。

「なんだろうか?」

先頭を歩いていたサツキが私達をかき分け、二人の前に立ちます。

「人違いだったらごめんなさい。そちらのはチェリーさんでしょうか?」

私はその聲を聞いてビクリとが跳ねてしまいます。

「いや? 別人だが?」

サツキがとっさにそう返してました。

「そうですか。人違いしました! ごめんなさい!」

そう言って私の橫を抜ける際、は私にだけ聞こえる聲で言いました。

「【ギフト】じゃ、差は埋まらないよ」

そう一言だけ告げて去っていきました。

「チェリーどうしたんだ?」

本社を出て、永谷の運転する車に乗り込んだあと、サツキが私の顔を見ながらそう言います。

「ううん。なんでもない。久々に現実で人がたくさんいると頃に來ちゃったからし酔ったかも」

そう伝えると、エルマがすぐに膝の上をぽんぽんと叩き、言います。

「いいよ! お姉さんの膝、開いてるよ!」

「大丈夫」

私がそう返すとししょげていましたが、エルマはすぐに話を行先へと変えました。

「そんなこと言ってるとこれから行くところでチェリーだけ置いてけぼりにしちゃうからね!」

「そんでどこいくんや?」

ちゃっかりついてくることになったもこちねるは一切分かっていないのでそうエルマに聞きます。

「うちの別荘!」

「えっ?」

その返事を聞いて、私はエルマの別荘を思い出します。

「チェリー。正解! あそこだよーん」

「…………」

私が言葉を失い黙っていると、サツキが「そんなにすごいところなのか?」と目線で聞いてきたので、コクリと頷きます。

「うっそやろ」

永谷が運転する車から降りたもこちねるが驚きの聲を上げます。

そしてそれは、ステイシー、マオ、サツキも同様でした。

「相変わらずすごい」

私だけは別の想になってしまいました。

「みんなお部屋に案して」

「かしこまりました」

実家の方の使用人がないとは思っていたのですが、もしかしたらこちらに大半が來ていたのかもしれません。

私達ひとりひとりを各自部屋まで案してくれます。

當初來る予定ではなかったもこちねるの分まで用意していたのは永谷が連絡をれたからでしょうか。

流石の手腕に私も驚いています。

to be continued...

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