《VRゲームでもはかしたくない。》第6章23幕 食事<meal>
一度部屋に案されたのですが、すぐにエルマによって招集を掛けられた私達は、リビングにやってきました。
「特に用事はないんだけど、折角別荘きたんだし、遊びに行かない?」
「どこへ行くの?」
私がそうエルマに返すと、ニヤリと笑います。
「「観!」」
綺麗に調和した私とエルマの聲が響き、みんながびくりと反応します。
「観かぁ。ええね」
「避暑地を秋に回ると言うのも、悪くないね」
もこちねるが乗り気になり、続いてサツキも乗り気であることを伝えます。
特に同意の言葉はありませんでしたが、マオとステイシーも斷る気はないようでした。
前回來た時に、エルマが買っておいてくれたのか、歩きやすい服がありましたので、私はその服に著替え、再びリビングへと戻ってきます。
サツキとステイシーは先ほどの格好のままでしたが、マオは服を変えてきていました。
そして、エルマがやって來て、言います。
「和久井に車出してもらうんだけど、晩飯どうする? 外食にする?」
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するとサツキがエルマに返事をしました。
「外食か。悪くないね。もちろん晩飯の支度を始めていなければ、だが」
「まだ始めてないはずだよ」
エルマがそう返すと、扉の橫で控えていた永谷が、「まだでおります」と答えたので、外食で決定しました。
和久井さんが運転する車に乗り込んだ私達は、ある程度の観をし、そして永谷が予約してくれたお店へと向かいます。
「なぁ。エルマの執事さんが予約した店なんやろ? それってえげつない銭とられるんとちゃうか?」
もこちねるがし車の中で震え出します。
「高くないお店だよ? ドレスコードもないし」
エルマがそう言うともこちねるはし安心したのかホッとをでおろしました。
「エルマ。そこの支払いはワタシに持たせてもらえないだろうか? 懇親會の海上だけでなく、別荘にまで連れてきてもらって、どう謝を示せばいいかわからない」
「気にしなくていいのに」
エルマがそう言いますが、サツキは首を橫に振りました。
「いや。これはワタシのエゴだ。け取ってくれ」
そう言ってし頭を下げるサツキにエルマはニッコリと笑い「じゃぁ任せた!」と言いました。
車のスピーカーを通して和久井の聲が聞こえ、もう直到著することがわかりました。
なので私達は車から降りる準備を始めました。
直後、車が停止し、扉が開けられます。
「ご到著でございます」
和久井がそうお辭儀をし、私達を車から降ろしてくれます。
「私はここでお待ちいたしますので、どうぞごゆっくりお過ごしください」
「ありがとうございます」
和久井さんはご飯も食べずに車で待つのでしょうか、し可哀そうなので、店員さんに頼んで何か持って行ってもらいましょう。
そう心に決めお店にります。
「予約した遠藤です」
エルマがそう店員に聲を掛けると、店員が総出で「いらっしゃいませ」といい私達を個室に案してくれました。
そしてとくに注文をしていないのに、すぐに前菜が運ばれてきます。
そのタイミングで私は店員に、和久井の分の食事を運ぶように頼み、事前に代金を攜帯端末から支払っておきます。
前菜を全員食べ終えるとすぐにメインの料理が運ばれてきます。
「こちら鴨のむねのローストでございます」
そう言って並べられた鴨は、しく脂がのり、前菜を食べたことで消化の準備が整った胃が、激しく主張してきます。
一口口に頬張ると、らかな舌りで、脂がスゥと溶けていきました。
「これは……おいしい」
サツキが嘆の聲をらします。
食べなれているであろう、エルマやマオも目を見開いています。
現実でこんなごちそうを食べることがないので私も言葉を失ってしまいました。
その後、魚料理やデザートを食べ、想を語り合います。
「正直思ったんだが、やはり、<Imperial Of Egg>部で食べるより味しいと思うんだ」
サツキがそう言うと、エルマが答えます。
「んー。どうなんだろう。確かに<Imperial Of Egg>より細かい味がするような気がするけど、でも<Imperial Of Egg>も同じくらい味しいんだよ」
「その差は、本當に胃にたまるかどうか、やで」
「もこちねるの言う通りー。実際、胃にっているから満足度が違うんだよー」
ステイシーももこちねるの意見に賛の様です。
言われてみれば、現実で食べる食事の方が満足しますが、私は舌があまり優秀ではないのでわかりません。
食後のコーヒーを飲み終え、會計をサツキが済ませて外に出ると、和久井がお辭儀をして迎えてくれました。
「智恵理お嬢様、ごちそう様でした。大変味しゅうございました」
「いえ。車の中で一人なんて寂しいですから、しでも味しいものを、と思っただけです」
「謝の言葉しかありません」
「気にしないでいいですよ」
私はそう和久井に返し、車に乗り込みました。
「エルマ、このあとはどうするんだ?」
サツキが聞くと、エルマが人差し指を口元に當て、考え始めます。
「バーでも行く? って言いたいところなんだけど、バーなら別荘にあるし、帰ろうかな? みんな疲れてるだろうし」
そう言って視線を仲良く頭をくっつけて眠る、ステイシーとマオに移します。
「なんだかんだ言って姉弟なんだよね」
私がそう言うと車にし和やかな空気が流れます。
「えっ、ちょっとまって? こいつら姉弟なんか? にてるなとは思ったんやけど」
その空気をぶち壊すように、もこちねるがびますが、その聲でステイシーとマオは起きませんでした。
エルマの別荘に帰って來て、執事がマオとステイシーを寢室に運ぶのを見屆けた後、エルマに続いてバーへと行きます。
「おかえりまなさいませ」
すると永谷さんがバーテンダー服に著替えてグラスをキュッキュ拭いていました。
「えっと……永谷さん?」
私が疑問の聲を上げると、永谷は笑って答えました。
「こういうのは、雰囲気が大事ですので」
「似合いそうだ、とは思っていたが、ここまで堂にっているとは……。経験がおありで?」
「ええ。お座りください。私は、若い頃バーを経営しておりました。簡素なところでしたが」
永谷がそう言うと、エルマが補足してくれます。
「でも、ソムリエコンテストで上位にったり、バーテンダー技能競技大會で3位になったりしてるよ」
すっご!
「いえいえ。昔のお話です」
意外とお酒に強かったもこちねると、思ったよりもお酒に弱く寢ってしまい、執事にお姫様抱っこで運ばれていくサツキを見送りました。
「うちなー。ハーフやから、お酒強いんかもしれんな」
もこちねるはそう言いながら度數の強いお酒をちびちびのんでいます。
「チェリーも隨分お酒強いよねー」
エルマが赤く火照った顔をテーブルで冷やしながら私にいいます。
「そうかな?」
「十分強いと思うで?」
「うんうん」
「あー。そうかも、家族、みんな強かったしね」
し家族の話を出すと、雰囲気が暗くなってしまいました。
「この際だからさ、聞かせてくれないかな? チェリーの家族の話」
エルマにそう言われ、私はお酒の力を借り、話し始めました。
to be continued...
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