《VRゲームでもかしたくない。》第6章26幕 お化け屋敷<haunted house>

「それで的にどうおもしろいことをするの?」

もこちねるにそう聞いてみます。

「変顔とかどうや?」

「私はやらないよ」

「そんなかたいこというなや! 旅の恥は掻き捨てっていうやろ?」

「他になにかないの?」

「自分で考えや!」

もこちねるはプイッと顔を背けてしまいますが、直後ジェットコースターが発し、「ぐえぇ!」と言っていました。

カタカタと音を立てながら登っていくジェットコースターにワクワクとしのドキドキを混ぜながら、落ちるその一瞬を今か今かと待っています。

先頭のサツキとエルマが私達の視界から消えた瞬間、ジェットコースターは急降下し、そして急旋回を始めます。

「きゃあああああああ!」

「ひゃっふうううう!」

々な絶がこだまする中、久々の覚に、楽しみも覚えます。

そして一度速度を落としたジェットコースターが再び登り、位置エネルギーを保存します。

「チェリー、くるで!」

「うん!」

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特に思いつかなかったので変顔でもしましょうか、嫌ですけど仕方ありません。

そう思った瞬間、ジェットコースターが落ち始めます。

そして私は自分の両手で目の橫から顎の下までを挾みびよーんとばします。

パシャという音が聞こえ寫真が撮られたようなので、私は両手を離し、前の座席の背中部分についている手すりを握ります。

再び急降下と急旋回を続けながら、徐々にスピードを落としていきます。

「たのしかった」

「ほんまな! 久々にのると楽しいわ!」

もこちねるが上がったテンションで私の手をキュっと握ります。

すこしときめきながらジェットコースターから降り、皆と想を分かち合います。

「寫真撮ってくれてるらしいから見に行こうよ!」

エルマが案の定そういい、寫真が提示されているフロアへと歩いていきます。

にやにやとするもこちねるを橫目に見つつ、私もついて行きます。

そして寫真を見たエルマが大聲を上げて地面をデンプシーロールしていました。

同様にサツキも吹き出し、肩を震えさせています。

その様子を見た私は、もこちねるがどんな変顔をしたのか気になり、寫真を見ました。

最前列の右側に座っているエルマの後ろで私の変顔が見え、最前列の左側に座っているサツキの後ろで髪のを逆立て、舌を明後日の方向にばし、白目をむいているもこちねるが見えました。

「もこちんさん。これ変顔じゃなくてホラーのレベルだよ」

「もうもこでええって! そうか? うちのなかではこれ変顔なんやけど」

ということはつまり……。

「私の変顔で笑ってんのかよ」

いい意味でも、悪い意味でも、一生忘れらないジェットコースターになりました。

「ひとしきり笑ったらし腹が減ってきたね」

「それならアレ食べようよ! チキン!」

エルマが売店を指さしながら言います。

「おっ。ええね。うちも好きや」

そう言って歩きだすもこちねるについて行く前に、ステイシーとマオにも食べるかどうか聞きます。

「マオは、いい、わ」

「僕は食べようかなー」

「一口、頂戴」

「自分で買え」

そう言ってステイシーは財布から電子マネーカードを取り出し、私の端末にかざします。

「たしか700円だよねー。渡しとくー」

チンチロンという音とともに1・5・0・0・円・が私の端末に金されます。

「わかった」

つまりマオの分も買ってこい、ってことね。

そう考えながら、私はエルマの後ろに並びます。

私の分を含めた3本のチキンを買い、ステイシーとマオに渡します。

「ありがと、でも、食べきれない、かも」

「そん時は僕が食べるからー」

「ありがと、真琴」

「腹減ってるだけだから」

微笑ましい?姉弟の會話を聞きながら私もチキンに貪りつきます。

チキンを食べ終えた私達は次にどこに行くのかを話し合います。

「すまないね。あと取材したいのは、お化け屋敷、なんだが……その……」

ん? この反応……。

「サツキ、お化け苦手なんだっけ?」

「苦手ではないさ。嫌いなんだ」

一緒だよ。

「この中で一番アストラル系、ゴースト系のモンスターに耐あるのは……」

そう言ったエルマが私をじっと見ます。同様にステイシーやマオもこちらを見てきます。

「えっ?」

わけがわからずそう返すと、サツキの元にどんと押し出されます。

「チェリー。サツキと行ってあげて」

「別にいいけど?」

そもそも私、ゴースト系もアストラル系のモンスターも苦手なんですが……。理攻撃効かないですし。

組み合わせを決めながら、歩いているとお化け屋敷が見えてきました。

そしてまさかの事態が発生します。

看板には『三人でおりください』と書かれていました。

「我儘が言える立場ではないのだが、もう一人怖がりの人をこちらにれてくれないだろうか」

サツキがそう言ってきます。

自分一人で怖がるのが恥ずかしいというサツキの本音が見えたので、私はエルマを指さします。

「えっ!? やだやだ! あたし絶対行かないよ! 怖がる人と一緒だともっと怖いじゃん!」

「たまにはそれもええよ。ほら! いってき!」

もこちねるにトンと突き飛ばされたエルマが私の懐に飛び込んできたので、サツキとエルマの手をガシッと摑み、私はずんずん口まで歩いていきます。

「まってくれ! 心の準備が!」

「離して! やだ! 絶対怖い!」

「大丈夫、大丈夫。全部作りものだから」

そう言って口の前で立ち止まると、スタッフに何やら手渡されます。

「こちらをおひとり様一つお持ちください。決して手放してはいけませんよ」

「はい」

そしてけ取ったトランシーバーのようなものをサツキとエルマに握らせ、私はポケットに突っ込みます。

そのままの勢いで口を抜け、お化け屋敷へと突しました。

口の前のし暖かい空気から一変、突然い冷えるような覚にブルッとします。

「チェリー。ここにはいるぞ……なにかがいるぞ……」

うわ言のように呟くサツキは無視して二人の手をとったまま歩き出します。

びっくりポイントなどで大聲で悲鳴をあげるサツキとそれを聞いてさらに驚くエルマというハウリングのような関係となった二人の手を引きに進むと、正面に鏡がありました。

「ん? なになに? 『正しき姿をみよ』だって」

「無理だ。ワタシには無理だ……」

「代わりに見てチェリー……」

二人にそう言われたので見てみましょうか。

鏡をじっとみると、寫った三人の姿がみるみる変わり、ゾンビのようなメイクを施された狀態になりました。

震えて鏡を見ない二人に「別に大丈夫だよ」と告げ、鏡を見せます。

おそるおそるといった様子で鏡を見たサツキとエルマは聲にならない悲鳴を上げ、私の手を振りほどき、後ろに走って行ってしまいました。

後ろからはステイシー達が來ているので大丈夫でしょう。

私はポケットにれたトランシーバーのようなものを取り出し、進路に従い歩いていきます。

途中途中びっくりポイントはありましたが、私はそれほど驚かず出口まで到著してしまいました。

出口にいたお化け風のコスチュームを來たスタッフにトランシーバーのようなものを返し、「連れが逃げ出したのでここで待っててもいいですか?」と告げると、見た目からは想像できないほど優しい笑顔で「どうぞ」と言ってくれたので、ここで待つことにします。

to be continued...

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