《終わった世界の復讐者 ―僕はゾンビをってクラスメイト達に復讐する―》第21話 帰宅
「トバリ。はやく」
「わ、わかったからし待っててくれ」
ユリに急かされて、トバリは服をぎ始めた。
お風呂場の中で待機しているユリは、既に生まれたままの姿でシャワーを浴びている。
ツインテールになっていた髪は下ろされ、彼の背中にぺったりと張り付いていた。
そしてその後ろでは、生まれたままの姿の剎那が、黙々とユリの背中を洗っている。
思わずその膨らんだに目が行くが、今はそういうことをするために一緒に風呂にるわけではない。
「……なんでこんなことになってるんだ」
トバリはため息を吐きながら、ユリや剎那と一緒にお風呂にることになった原因を思い出していた。
「ただいまー、っと」
「……ただいま」
トバリの気の抜けた聲と、ユリのし控えめな聲が、玄関に響く。
今朝ぶりの帰宅だ。
「あ、ちょっと待てユリ」
「え?」
そのまま家に上がろうとしたユリに、トバリは制止の聲をかけた。
「さて、ユリ。お前は今からすぐにしなければならないことがある。それは何か、わかるか?」
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「……?」
突然トバリにそんなことを言われ、ユリはキョトンとした顔をする。
やはり、わかっていないようだ。
「お前、自分の見てみろ」
「……? わかった」
ユリはそう言うと、自分のを見下ろした。
その服は至るところがほつれており、がべったりと張り付いていたせいか変している部分もなくない。
要するに、けっこう汚かった。
「、小學校にいる間ずっと洗ってなかっただろ? しかも足だし、そのまま家に上がったら汚れちゃうよ」
「……あ」
その言葉を聞いて、ユリはようやくトバリが言わんとしていることに気付いたようだ。
自分の姿を改めて確認し、トバリの言葉に一定の理解を示したようだった。
「だから、あー。いちいち足を拭くためのタオル持ってくるのも面倒くさいな。僕がお風呂場まで抱っこしていくから、ユリは僕にしがみついててくれ」
「……うん」
トバリは、ユリの足の下に腕を通して、ユリのを持ち上げた。
俗に言うお姫様抱っこの勢になる。
「おー、すごい軽いな」
「そ、そう……?」
ユリのは、ものすごく軽かった。
心なしか、ユリの顔が若干赤くなっている気がする。
お風呂場に到著すると、トバリはユリを下ろした。
「もうごと一気に洗うから、全部いじゃってくれ。服は適當に置いといてくれればいいから。僕は新しい服を探してくる」
トバリはそう言って、自分の部屋へと向かった。
ユリの格を思い出しながら、トバリは適當にサイズが合いそうな服を見繕っていく。
しかし、なかなかよさげなものが見つからない。
「ユリぐらいの格なら、剎那が中學生ぐらいの時に著てた服なら著れそうだな。それでもちょっと大きいかもしれないけど」
ユリは小學生にしては長もそこそこ高い。140cm前後といったところか。
今の剎那が150cm臺後半ぐらいの長なので、多分大丈夫だろう。
明日あたりに、時間があれば探してみるのもいいかもしれない。
いや、トバリが探さなくても、剎那に自分で探してもらったほうが早いか。
そんなことを考えながら、トバリは適當に選んだ服を持って、再び所へと向かった。
「ん? どうしていでないんだ?」
トバリが部屋から所まで戻って來ると、ユリはまだ服をいでいなかった。
ただ、先ほどと同じ姿勢のまま直している。
もしかすると、恥ずかしいのだろうか。
それなら、トバリは一旦所から出て行ったほうがいいが。
だが、ユリの口かられたのは、トバリが予想だにしていなかった言葉だった。
「……トバリ。がして」
「……え?」
一瞬、ユリが何を言ったのかわからなかった。
トバリが直していると、ユリはものすごく困った顔で、
「ひとりじゃ、ぬげない……」
「……もしかしてユリ、自分で服をいだことがないのか?」
トバリがそう聞くと、ユリはこくりと頷いた。
なるほど。
そういうことであれば、話は早い。
「……それなら仕方ない。それじゃあ僕ががせてやるから、ジッとしてるんだぞ?」
「わ、わかった……」
「はい、それじゃばんざいして」
「ば、ばんざーい……」
ユリが両腕を上げると、トバリはユリの腰に手をかける。
そしてそのまま、上へと引っ張り上げた。
「んっ……」
ユリが恥ずかしそうにをよじる。
まあ、ユリはまだ小學生だ。
當然、小學生がブラジャーなどつけているはずも――、
「……あれ。ブラジャーつけてるのか」
意外なものを見つけて、トバリはし驚いた。
ユリの部を覆うように、しっかりとブラジャーが裝著されている。
にもかかわらず、一人で著替えができないとなると……。
「もしかしてユリって、ものすごい甘えん坊さん?」
「そ、そんなんじゃ、ない」
ユリは顔を真っ赤にして否定しているが、普通ブラジャーをつけるような歳で、著替えができないの子なんているだろうか。
相當親に甘やかされて……いや、されて育ったのだろう。
「それじゃ、ブラジャーもがしますねー」
「あ……」
トバリがさっさとブラジャーを外すと、可らしいまな板がわになった。
若干膨らんでいる気がしないでもなかったが、気のせいだということにしておく。
そのまま一気に下もがして、ユリは一糸纏わぬ姿になった。
恥ずかしそうにをもじもじさせている姿は可らしいが、客観的に見るとトバリがいるせいで相當に犯罪的な絵面だ。
さすがに、トバリがユリのを洗うわけにもいかない。
「……剎那ー。ちょっと來てくれー」
トバリが大きめの聲を出して剎那を呼ぶと、剎那はすぐに所へとやってきた。
特に変わった様子もない。
そのことにホッとしながら、トバリは剎那に命じる。
「この子……ユリって言うんだけど、けっこう汚れてるからしっかり洗ってあげて」
トバリがそう言うと、剎那はすぐに行を開始した。
「……ああ、そうだね。自分の服もがないと濡れちゃうもんね」
剎那は、まず自分で自分の服をぎ始めた。
シャツをぎ、慣れた手つきでブラジャーを外していく。
夏ということもありラフな格好をさせていたため、剎那はあっという間に全になってしまった。
ほどよい大きさの形のいい房は、トバリの理を焼き焦がすのに十分すぎるほどの威力を持っている。
今興すると面倒なので、トバリは剎那から目を逸らしていた。
どういう基準で行が定まっているのか、剎那の行パターンには謎が多い。
あと目の前で服をがれると興するからやめてほしい。
「……トバリ。その人は?」
「ん? ああ。僕のなじみで、剎那っていうんだ。見た通りゾンビになっちゃってるけど、僕の言うことはちゃんと聞くから大丈夫」
「なる、ほど。よろしく」
ユリが頭を下げると、剎那はユリを抱き寄せて、その頭をで始めた。
「あ……」
ユリの頭が、剎那のに埋もれる。
そのにユリは安心したのか、まるでそのを委ねるかのようにリラックスしているように見える。
しかし、見目麗しいたちが全で抱き合っているのは、トバリには々刺激が強かった。
「そ、それじゃあ、僕はこれで……」
トバリが若干前のめりになりながらその場を立ち去ろうとすると、背後から腕を摑まれた。
振り向くと、顔を赤くしたユリがトバリの腕を摑んでいた。
そして、驚きの言葉を口にする。
「トバリも、いっしょに、はいろ?」
「……え?」
何を言われているのか、一瞬わからなかった。
なんとかユリの言っている言葉を理解すると、トバリは慌て始める。
「あ、もしかして、一人でお風呂にったことないのか? ……いや、それにしても剎那がいるだろ」
先ほどの著替えの時とは違い、今回は剎那がユリと一緒にお風呂にって、そのを洗ってくれるのだ。
一人でるわけではない。
「でも、トバリと、お風呂、りたい……」
ユリはそう言って、剎那ののなかに顔を埋めている。
……わかっている。
トバリは今、目の前のに甘えられているのだ。
いなくなってしまった両親の代わりに、いま、トバリが甘えられている。
それだけのことなのだ。
ならば、トバリが取るべき行は――、
「トバリ……」
ユリが、悲しげな表を浮かべてトバリのほうを見ている。
そしてなぜか剎那も、トバリのほうを見ていた。
「……仕方ない。一緒にるか」
「っ! うん!」
トバリが了承の意を伝えると、ユリの表はパッと明るくなった。
それぐらいのことで喜んでもらえるなら、トバリとしても嬉しい。
それに、しでもユリというの心の傷を癒してやりたいという気持ちもあった。
というわけで、トバリもお風呂にることになったのだった。
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