《終わった世界の復讐者 ―僕はゾンビをってクラスメイト達に復讐する―》第32話 準備

翌日も、トバリとユリは再びスーパーへと足を運んでいた。

の男の襲撃に備えて、々と準備を手伝うためだ。

の男がいつ襲撃してくるのかはわからないが、スーパーに篭城している彼らが、化け共を一匹でも多く殺してくれるに越したことはない。

彼らが法の男も殺してくれるならそれが一番いいのだが、トバリはそこまで楽観できなかった。

おそらく、ここにいる人間だけでは、法の男は殺せない。

理由はわからないが、トバリにはそんな予があった。

「夜月さん、これもお願いします」

「おっけーです」

トバリは、渡された食糧をトラックの荷臺に詰め込んでいく。

城谷や辻といった面々も、トバリと同じような労働をしているようだ。

力的にいて、汗を流していた。

「ふぅー。こんなところかな……」

「ああ。皆疲れているようだし、午前中の作業はこれで切り上げるか」

城谷と三田のそんな言葉によって、午前中の作業は終了となった。

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「三田さん。トラックかしときました」

「ああ。ありがとう」

二階の駐車場には、大型のトラックが數臺置いてある。

トラックの荷臺を使えば、高齢の避難民や子供、それにたちを収容することができるし、食糧や生活必需品もかなりれることができる。

ここの避難民たちがスーパーから出る時には、必須になるはずだ。

の男と化けたちがいつ攻め込んできてもいいように、午前中の作業で、食糧類はほとんど全てトラックに詰め込んだ。

もし必要になったときは、またここから取り出せばいい。

またやることは山積みだが、一つ一つ片付けていけばいいだろう。

「……浮かない顔をしているな、夜月。何か気になることでもあるのか?」

「あ、三田さん。お疲れ様です」

トバリが駐車場の縁石の上に腰掛けて休んでいると、三田が肩を回しながら近づいてきた。

長時間に渡る作業で、だいぶ肩が凝っているようだ。

「いや、僕には特にないですけど……。もしかして三田さんには、何か気になることでも?」

なんとなくそう聞き返しただけだったのだが、三田は骨に表を険しくした。

「……実は俺たちにも、かなり大きな懸念がある」

「懸念、ですか?」

「ああ」と三田は頷き、

「昨日の夜にここを出て行った連絡係が、まだ帰ってこないんだ。だからもしかすると、ショッピングモールは既に壊滅していて、連絡係たちも『セフィロトの樹』の奴らに殺害された可能がある」

「……ショッピングモールまでの距離は?」

「車で行けばだいたい三十分かかるかどうか、といったところだ。なくとも、行きか帰りか、もしくはショッピングモールで何かがあったのは間違いないだろう」

「……なるほど。それはたしかに、十分すぎるほどの懸念材料ですね……」

まさかの事態に、トバリも頭を悩ませる。

たいして距離も離れていないにもかかわらず戻ってこないということは、おそらく、連絡係の人間たちは既に殺されてしまっている。

それにショッピングモールが襲撃されたとなると、法の男がここを狙ってくるのも時間の問題だろう。

早ければ數日のうちに攻め込んでくるかもしれない。

となると、やはり避難ルートの確保と、避難先の整備は進めておくべきだ。

しかし、このスーパーの避難民たちをれられる場所など、他にあるのだろうか。

「避難先の候補とかはあるんですか?」

「ああ。この近くにある大學か、そこの付屬の大學病院のどちらかに避難するのがいいんじゃないかと、俺は考えている」

「でも、ゾンビの駆除はまだしてないんですよね?」

「……していないな。それに、あまりにもゾンビが多すぎるなら、そこは使えない可能もある」

とにかく、法の男が襲撃してくるまでに、おそらくほとんど猶予は殘されていない。

それまでに、なんとか迎撃と出の準備を整えておく必要がある。

気分が重くなってくるのを自覚したトバリは、ふと気がつく。

「そういえば、誰かユリがどこに行ったか知りませんか?」

しばらく作業に沒頭していたせいで、ユリの姿を見失ってしまっていた。

ユリの戦闘力はおそらくトバリより高いので、あまり心配はしていないのだが、そろそろお晝時なので、一緒に晝食でも食べようかと思ったのだ。

「ユリちゃんなら、ついさっき、ほかの子と一緒に屋上に遊びに行きましたよ。もし呼びに行くなら、お茶でも持って行ってあげてくださいな」

先ほどまで一緒に作業していたが、トバリにそう教えてくれた。

もしかすると、ユリに友達でもできたのだろうか。

保護者的な立ち位置のトバリとしては、し意外ではあるものの、嬉しい変化だった。

「そうですね。ついでに持っていきます」

九月になったとはいえ、外はまだかなり暑い。

こんな晝間に屋上の駐車場で長時間遊んでいたら、熱中癥になってしまう危険も十分にある。

こまめな水分補給は必要だろう。

そう思ったトバリは、ペットボトルのお茶を持って、屋上へと向かった。

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