《終わった世界の復讐者 ―僕はゾンビをってクラスメイト達に復讐する―》第49話 三田の変化
どうやら、剎那は他の人間に認識されないらしい。
ホクホクでコンビーフを握りしめる城谷を見ながら、トバリはその結論に辿り著いていた。
さっき、剎那は明らかに城谷の視界にっていたはずだ。
だが、城谷は何の反応も示さなかった。
それどころか、城谷は剎那の真後ろにある缶詰めを認識していた。
あの位置ならば、角度的に剎那ので遮られて見えるはずのない缶詰めを、だ。
つまり、剎那は城谷には認識されていなかった。
そのあと、剎那を連れて避難民たちのところへ行ったが、誰も剎那のことを言及しなかった。
それどころか、誰も剎那のことを認識した様子すらなかった。
トバリは確信した。
やはり剎那は、他のゾンビとは何かが違うのだと。
「どういうことなんだろうな」
ベッドに腰掛けながら、トバリはそんな聲をらす。
大學病院の二階、その一番端の一室。
二階にいたゾンビ達の掃除を軽く済ませたトバリとユリは、いち早くこの部屋を確保した。
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掃除と言っても、ゾンビ達に命令してこの病院から強制退去させただけなのだが。
部屋の両脇には大きなベッドが二つずつ置かれ、その間はしっかりとカーテンで遮られている。
窓からはらかなしが降り注ぎ、部屋の中を照らしていた。
しばらく人がいなかったためか、部屋全が埃ほこりっぽい。
しっかりと普通の掃除をする必要がありそうだった。
……それよりも、今は剎那のことだが。
「ユリにも、わからない」
ユリは深く考え込んでいたが、やがて首を橫に振った。
「まあ、そうだよな」
トバリにも、何が原因で剎那があんな狀態になっているのか全くわからない。
一瞬、剎那はトバリの妄想の産なのでは、という恐ろしい想像が脳裏をよぎったが、トバリだけではなくユリにも認識されている時點でそれはない。
剎那という人間は、まだしっかりと存在している。
……考えてもわからない。
結局、剎那のことは保留にしておく他なさそうだった。
「あ、でも、剎那が書き置きを殘していった奴に襲われなかった理由はわかったな。単純に認識されてなかっただけだろう」
「そう、だね」
つまり、剎那は放置してもある程度は大丈夫ということでもある。
もちろんそんなことをする気はないが、他の人間に認識されないというのは、萬が一の場合でもそれなりに安心できる要素だ。
「――失禮する」
「あ、はい。どうぞ」
トバリとユリが考え込んでいると、部屋のドアをノックする音が室に響いた。
「おはようございます、三田さん」
ってきたのは三田だった。
Tシャツとズボンの間から覗く腹部には、包帯がグルグルと巻かれている。
見ていて中々に痛々しいが、三田が気にしている様子はない。
他の人間の姿がないところを見ると、一人で軽く二階の様子を見に來たのだろうか。
そして例にれず、三田も剎那のことが見えていないようだった。
「調のほうはどうですか?」
「問題ない。しっかりと食べて休めば、傷が完全に塞がるのも時間の問題だろう」
たしかに、このまま人間のを食べ続ければ、三田の傷は完全に塞がるだろう。
「でも、人を食べるのは抵抗があるんじゃ……」
「覚悟はできている。それがよりよい方法だと言うのなら、俺はそれを実行することを躊躇ためらわない」
三田の目には、たしかな覚悟がじられた。
それを見て、トバリは自分の中の懸念が杞憂きゆうに過ぎなかったことを悟る。
「それで、三田さんはどうしてここに?」
「いや、二階はどうなっているのか様子を見に來た。今夜、さらに上の階の探索にも行こうと考えている」
「なるほど」
トバリとユリが二階までの掃除を終わらせたとはいえ、三階より上はいまだに探索すらできていない。
ゾンビ共がわらわらと湧いてくる可能は十分すぎるくらいにある。
「そういうことなら、僕も一緒に行きますよ」
三階より上はどうなっているのか、トバリとしても早めに把握しておきたい。
「いや、夜月も疲れているだろう。今日のところは俺だけで行ってくるさ」
だが、三田はトバリの提案をやんわりと斷った。
「俺はもうゾンビに襲われない。何が出てきても大丈夫だ」
その言葉に、トバリは僅かな違和を覚える。
冷靜な三田にしては、それはし飛躍した発想に思えた。
「三田さん。たしかにセフィラを持っている僕たちは、普通のゾンビからは襲われません。ですが、『知恵コクマー』が率いていた手のゾンビからは控えめながらも攻撃をけました。つまり――」
「……過信は、ということか」
三田のその言葉に、トバリは頷く。
正直なところ、セフィラのゾンビに襲われない効力がどの程度発揮されるのかは、トバリにもよくわかっていない部分だ。
萬が一、三階より上に手のゾンビがいて三田のセフィラを奪われた場合、形勢は一気に悪くなる。
今の三田からは、神的にし不安定であるような印象をける。
一人で行かせるのは気が進まなかった。
「三階より上の探索には僕も同行します。そのほうが安全ですからね」
「……わかった。そこまで言うのならよろしく頼む」
結局、トバリの説得に三田が折れる形になった。
「ユリも一緒に來てくれるか?」
「もちろん、いいよ」
トバリのその問いかけに、ユリは頷く。
ユリが來てくれるなら、より安全は上がる。
連れて行かない手はなかった。
こうして、夜の探索が決行されることになったのだった。
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