染めの館》第4話 後悔

1階の右側の扉を調べる。ノブに手をかけるが開かなかった。鍵から中を覗くも、暗くて何も見えない。反対側の扉も同じく開かない。こちらには鍵は見つからなかった。

続いて2階の左側の扉のノブに手をかける。鍵はかかっていなかったが、向こうに針金が何重にも巻かれていた。最後の扉には板が打ち付けられていた。だがそれはありえなかった。りんごちゃんが目撃した人影は、この階のこの扉の向こうの窓だったから。

「ありえねえだろ、ここがこうなってるのは。おいリンゴ、本當に人が見えたのか?」

かなめさんが青い瞳をギロっとりんごちゃんに向ける。

「う、いて見えたんです!何かが!!」

「だったらなんでこんな板が打ち付けられてんだよ!」

「あたしが知るわけないでしょ!!」

りんごちゃんの目に涙が浮かんでいた。

「あ、あの、かなめさん。もうやめた方が…」

私が止めにろうとした時、莉子さんが聲を上げた。

「おいやめろ、こんなことするためにここに來たんじゃないだろ。場をわきまえろ。」

沈黙が走った。そして全員が目的を思い出す。

「部長、どこの扉も開かなかったんです。今日のところはかえりましょう。」

淳くんが帰るように促す。けれど帰ることは出來ない。

「皆さん、多分・・・帰れないと思います。」

「え、どういうことだ?」

扉がしまっているから。なんてすぐに言えなかった。

「あ、え、あの、さっきより暗くないですか?」

遠回しに理解してもらうために。扉がしまったのならば月あかりがってこないはず。

「なるほどね。みんな、扉見てみろ。開けっ放しのはずの扉が閉まっている。」

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