染めの館》かなめ編 第2話

「…何にもねえじゃねえかよ!!!」

日記の中には、ノートが破られた痕跡があるだけで何も書いていなかった。

「くそっ。何かこの家に関する手がかりがあると思ったのに。」

その時、後ろからひらりという音がした。振り返ると、一枚の紙が落ちて來た。

「まさか、日記の中か?」

その勘は的中していた。最初のページと思われるノートだった。

「一、何が書かれているんだ…」

8月1日 晴れ

今日からここが新しい我が家となった。妻と、い息子。ここから新たなる生活を始めよう。

私の部屋はエントランスから見て右上の突き當たり。殘りは二部屋は客間としよう。妻と息子の部屋は左上。

三部屋あるが、殘りの一部屋は客間とせず、あえて次に生まれてくるであろう子供のためにとっておこう。

1階はリビングとキッチン、風呂やトイレなど生活に必要な施設を置いておこう。

さあ、新生活を始めよう。

「……こんな幸せそうな家庭になんで。」

謎は深まるばかりであった。なぜ淺野一家が殺害されたのか。なぜは見つからないのか。なぜ俺たちは閉じ込められたのか。

「っ!誰だ?!」

不意に後ろから気配をじた。急いで振り向くと、先程まで見えていなかったであろう扉が開いていた。吸い込まれるかのようにその扉へ向かう。

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