染めの館》りこ編 第3話

私は小學生の頃、本當は死んでいた。あの時、兄貴が助けてくれたから生きられてる。

私は1人で歩いていた。くらい樹海の中をただひたすらに、まっすぐ歩いていた。その時夏だったけど、山の中は気溫が低くなる。おばあちゃんに「夜は山にってはいけない」と何度も口うるさく言われていた。でも守らなかった。私はホタルを見つけたんだ。それがある山の中にっていった。どうしてもそのホタルがしくなったんだ。でも、兄貴に見つかった。兄貴は私を叱るのではなく、「俺がとってくるから、お前は待ってろ」と言ってくれたんだ。私は申し訳なかったからせめて付いていくことにした。今思えば、ホタルなんか追いかけなければ良かったんだ。

私たちは遭難した。暗い、冷たい山の中で取り殘されてしまった。寒さに凍えていると、兄貴が著ていた上著をくれたんだ。それはそれは暖かかった。でもそのせいで兄貴はシャツ1枚だった。そんな格好になりながらも、私の手を握り続けてくれた。

そして次の日の夕方、地元の人に保護されて病院に連れていかれたんだ。私は軽度の凍傷なっただけで済んだ。でも、兄貴は死んだんだ。私を助けてくれて、衰弱しきって病院で死んだんだ。私だって信じたくなかった。あんなに大好きで、元気で、私を大切にしてくれるのは兄貴だけだったから。

今、そんな兄貴からメールが來たんだ。そりゃ、容は狂っていた。でも私に助けを求めていたんだ。兄貴が生きていてくれた時にできなかった恩返しをしなくちゃならない。

待ってろよ、兄貴。

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