《地獄屋語》第12話 田沼エリカside 前編

田沼エリカside

私の家はお金持ち

お父さんは大企業の社長

お母さんは元から令嬢の家の人で一人っ子の私はよく甘やかされて育った

前までは…ね

1年前お母さんが病気で亡くなった

それから私はお父さんとあと週3で通っている家政婦さんがいるけど…2人で暮らしている

お母さんの家の方の援助が減りお父さんの會社がピンチになってしまったこともあった

今では何とか立て直し、前みたいに大企業の名を守っている。

でもすごく忙しいみたいで家には帰ってこない

かれこれ2ヶ月はお父さんと話していない

家政婦さんも私が家に帰って來る時間には仕事を終えて帰る支度をしている

だから家ではほとんど1人

この広い家で1人

ー 寂しい

ー 1人は嫌だ

でもわがままは言えない

普段の生活に不満が高まりすぎて私は萬引きをした

カッコいい先輩やクラスメートを見つけては言い寄って私の寂しさを紛らわす道にしようとしたり

クラスメートの子を従えてせめて學校では大満足のいく生活をしてやろうと思ってた。

でもこの前先輩に萬引きがばれ

従えてた子が何人か減って…

気がつくこともある

あ、私何やってんだろう

でもそう思ったって何も出來ないし変わらない

ため息をこぼす

すると

「意外な一面だね」

え?

振り向くと制服の上に黒いパーカーを著てフードを被った人…

「誰よあんた」

顔を上げるその人

え、?

「…!山野ミナキ」

山野ミナキ

何考えてるかさっぱり分からない

クラスでかなり中心のこの私にもじない

メガネと前髪で顔を見たことなんてない

とにかく謎の多い奴

私は思い通りにならない數ない人

「ねぇ…どう?」

は?何がよ

でも、この次に來る言葉が私には信じられなかった

「あんたも地獄…買ってみる?」

…え?

どうして?

地獄って…

地獄

「地獄…まさかっアンタッ」

私のお父さんはお母さんが亡くなって企業が不安定になった時

変な地獄を売る…地獄屋って人と関わっていたらしい。

詳しくは聞かなかったけど

あの日お父さんは、「大丈夫だ。この不景気の原因は悪質ないたずらなんだ。解決のために地獄屋に依頼した」そう言った。それからすぐに企業は立ち直り始めた

そしてどうやら何度か依頼していたらしい

地獄屋…何で山野ミナキが地獄屋のことを知っているのか分からない

「田沼様はウチの常連様ですから…でも君が使うのは初めてかな?」

え?

なに?この口ぶり…

まるで売る側みたいな…

「あんた…地獄屋の人間なの?」

「他言無用のはずだけどやっぱ知ってたんだね」

!!

噓…本當に…山野ミナキは、地獄屋の人間なの?

地獄を売る、あの地獄屋の?

「君は…どうしたいの?」

え?

どうって…なにがよ

まるで私の全てを知ってるみたいな顔の口角が上がった

すると背を向けて歩き出した

「あ、ちょっと!」

私は追いかけようとしたけど…

いない…

山野ミナキ…

もし本當に地獄屋の人間で

もし本當に私の生活を変えてくれるなら

もし地獄屋を…地獄で何とかなるものなら

ー お願い…助けて

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