《地獄屋語》第15話

田沼エリカが朝登校するといつも教室にる前に取り巻きたちが集まって來る

今日も何人かが寄って來る

「おはようございます、エリカさん」

「おはよう」

エリカはし間を置いて取り巻きたちを見た

「ねえ…なんかいつも私に気を使わせて…その、悪かったわね」

「「へ?」」

「だから、もういいわよ。私のために盡くしたりしなくていいわよ。縛り付けて悪かったわね」

「「…え、へ?」」

「安心して、脅そうと持ってた寫真とか報とか全部消したし、だから…」

エリカが言い終わらないうちに取り巻きたちが遮った

「どうしたんですか!?」

「何かあったんですか!?」

「え、えりかさぁん?」

エリカはため息をついた

「だーかーらー!私が今まで変にあんた達を使いにして、悪かったって!その、ごめんって言ってんの」

フリーズしているのは取り巻きだけではない

クラス中が固まっている

「なんだ?田沼のやつ。病気か?」

「地震でも起きるのか?」

「しっつれいな!!そんなんじゃないわよ!とにかくもういいから!私に変に気を使ったりしなくていいから!普通のクラスメートとして見なさいよね!」

そう言ってから上から目線な発言になってしまったことに気づきしまったという表になる

しかしその時後ろからメガネで顔の見えない、山野ミナキが教室に來た

そして…

「…はよ」

ミナキのぶっきらぼうな挨拶

「…おはよう」

に、応えるエリカ

その景に再び固まるクラスメート

「いま…え?田沼と山野?」

「ありえねーなんちゅう組み合わせだよ!」

それを見ていた盛岡恵

「…」

自然と表は綻んでいた

ミナキが席に著くと隣の榊葉尚人が聲をかける

「よお山野」

「…」

尚人がミナキをじっと見つめる

ミナキはしばらくして観念したように

「…おはよう」

と、聲をかけた

尚人はにっこり笑う

「挨拶くらいしヨーゼー」

「恵…ちょっといい?」

エリカが恵を呼ぶ

「え、」

人通りのない廊下

「あの、ごめんなさい。宇佐先輩との件の事。ひどいことして…」

「え…」

「私…家の方でちょっと問題があって…八つ當たりしたの…先輩とかだって見た目がいいからとかそんなじだったし…その、ほんとにごめん」

エリカが頭を下げた

「謝らないでください…」

「え?」

「わ、私、実はっっ…」

そこで言葉を詰まらす恵

「その…詳しくは話せないんですけど…エリカさんに復讐したいとか…やり返したいとか…そんなこと考えて自分じゃない人にやってもらったり…もしかしてエリカさんの抱えてる問題とか私のせいだったら!!」

恵は自分が地獄屋に依頼したことで田沼の生活を狂わせてしまったのではないかと思っているのだ

しかし

「それなら心配いらないよ、盛岡恵」

現れたのは制服の上にフードを被った

「「ロズ!(さん!?)」」

そう言った2人は顔を見合わせた

「へ?恵あんた…知ってるの?」

「エリカさんこそ…なんで」

ロズはクスッと笑う

「続けさせてもらうけど、盛岡恵、あんたのせいで田沼エリカの生活が狂ったわけではないよ。

あんたは確かに地獄屋に依頼をしてる。でもそれで支障が出たのは宇佐智之との関係のことだけだ」

「宇佐…先輩?もしかして、この前の!」

エリカは宇佐に萬引きがバレ、完全に関係を斷たれた事を思い出した。

「…はい。ごめんなさい…いくら自分が傷ついたからってこんな形で復讐するなんて…最低ですよね」

恵は目を伏せた

しかし…

「謝るのは私の方よ…地獄屋に依頼させるまでに恵を追い込んで…最低なのは私よ」

エリカがいつになく真剣な表でそう言った

「じゃあ…これでお互い様って事で全部チャラにしませんか?」

対して恵がいつものような優しい表で言った

「お互い様なんて…私の方が全然ひどいことしてるのに?」

「じゃあ…お願いがあります」

恵が珍しくそう言った

エリカは顔を上げる

「え?な、何?」

「今までのこと全部忘れて、その…私と友達になってください!!」

恵が勢いよく頭を下げた

「へ?」

その様子を見ていたロズがし笑う

「ダメでしょうか…?」

「いい…の?」

恵がにっこり笑い、手を差し出した

「お願いしてるんです!」

エリカもにっこり笑うと恵な手を握った

するとずっと黙っていたロズが口を開いた

「地獄屋って言っても…悪いことばっかじゃないだろ?」

いつものような怪しげな笑顔でなく、

優しく、らかい微笑みを浮かべた…

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