《地獄屋語》第25話
榊葉尚人は考え込むように眉間にしわを寄せて歩いていた
時折振り向き早歩きになる
尚人の後ろでピキッと何かを踏んだ音がした
バッ!
尚人は勢いよく振り向く
「!」
そこには今にも尚人に聲をかけようとしていた山野ミナキの姿があった
「え。なに?」
「な、なんだ山野か…」
尚人は大きくため息をついた
「なんだってなんだよ」
「ごめんごめん。勘違いしただけ」
「へえ…この前告白してきたの子と?」
「え?なんでわかんの?」
尚人はミナキを見た
「つけられてるんでしょ?」
「ああ…」
尚人は大きなため息をつく
「今までもたまにこういうことはあったんだよ。でもなんか…今回の人はちょっと怖いっていうか」
「へえー」
ミナキは全く関心がなさそうに言ったが
目は何か考えているような鋭い目をしていた
「尚人はそいつのこと好きなの?」
「はあ?そんなわけないだろ?どこをどうしたらそうなるんだよ」
すると隣を歩いていたミナキがふと足を止めた
「じゃあ気をつけたほうがいいよ…彼かなり厄介な子みたいだから。」
「厄介?」
ミナキは心なしかニヤついた
「変なところ連れてかれるかもよ?」
「どういうことだよ…あ、おい!」
尚人の言葉を無視し、ミナキはヒラヒラと手を振ってさっさと行ってしまった
「なんなんだよ…」
そんな尚人を影から見ていた1人の人
「…あの…」
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