《意味がわかると怖い話(自作)》暑い 解答/解説(フルver)

【解答】

語り手(男)は(雪)山で遭難している。もはや歩く力すら盡きて、何もできずにただ凍え死ぬ瞬間を待っている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【解説】

今回の話は、普通に読んでも恐らく意味がわからないと思います。

まずは、語り手(男)がどういう狀況に立たされているかを理解することが肝です。

一番のポイントは語り手(男)が靴をごうとするシーンです。

『男は靴をごうとした。しかし足が上がらない。男は苛々した。そしてそれが靴底の棘のせいだと思った男は、それを取るためベルトを解こうとした』

この文章を読むと、『靴底の棘のせい』で『足が上がらない』と語り手(男)は思っているのがわかります。

『靴底の棘のせい』で『足が上がらない』。どういうことでしょう。

勿論、ここで言う『靴底』とは語り手(男)が履いている靴の靴底のことを言っているわけですから、「靴底の棘が地面に刺さって靴が固定されてしまっている」から足が上がらない、かせないのだと推測できます。

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この発想は決して難しいものではないはずです。

しかしそれがわかったところで依然として狀況は摑めません。

というわけで、そのまま次に行きます。

この次に語り手(男)は靴底の棘を取るために『ベルトを解こうとし』ています。

ここもし考える必要があります。

靴底の棘を取るためにベルトを解く。

全く意味がわかりませんが、とりあえずわかるところから著実に考えていきます。

「靴底の棘を取るためにベルトを解く」ということは、言い方を変えれば「ベルトを解けば靴底の棘は取れる」とも表現できます。そしてそこから更に言い方を変えると「ベルトが靴底の棘を固定している」ということがわかりますね。

ここから狀況を理解するには、し予備知識が必要になります。

この部分のし前に『男もつられるようにしてウェアをいだ』という文章がありますね。

つまり男はウェアを著用していたことがわかります。

これらを整理すると、語り手(男)は

・ベルトで靴底に棘を固定していた

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・ウェアを著ていた

ということがわかります。

ここで先程言った「予備知識」がある人であれば、「語り手(男)は(雪)山にいる」ということが推測できるかと思います。

「アイゼン」という登山用を聞いたことがあるでしょうか。

これは雪の上など凍結面を歩く際に登山靴に裝著する金屬製のり止めの道で、ツメのような形をしており、それが地面と接することで転倒事故などを防いでくれます。

裝著方法は複數ありますが、最もメジャーなのがベルトによる裝著です。他の方法と比べても簡単でかつしっかり固定できるので、実用が非常に高い方法となっています。

つまり、本文に登場する『靴底の棘』とはまさに「アイゼン」という登山用のことなのです。

その上で語り手(男)が著用しているウェアはレインウェアの類かな、というところまで予想できれば今回の話の狀況は完全に把握できたと言えます。

レインウェアは登山に必須とも言えるアイテムです。登山服と言えば理解しやすいかもしれません。

これが再三言っている「予備知識」ですが、これが無ければ「語り手(男)は(雪)山にいる」と推測するのは難しいかもしれません。

ところでもう一度確認しますが、アイゼンは「雪の上など」を歩く際に使用する道です。

つまりそれを著用しているということは、語り手(男)は雪なり氷なり、何かしらの要因で凍結した山中にいることを意味します。ここでは単に「雪山」として理解しても支障はありません。

以下では語り手(男)は「雪山」にいるものとして話を進めます。

以上のことを総合すると、狀況としては「語り手(男)は雪山にいる」ということがわかります。

男がアイゼンのベルトを解こうとするシーンに『手先の覚が薄くなってなかなか取れない』という文章がありますが、これは寒さで手がかじかんでいることを表しています。

しかしそうなると一つ疑問が浮かんでくると思います。

本文冒頭にあるように、男は「暑い」とじているのです。寒さで手がかじかんでいるにも関わらず「暑い」とはどういうことだ、と思うかもしれません。

ここを理解しなくとも【解答】へ至ることは可能ですが、一応説明しておきます。

ここではアイゼンとはまた別に、「矛盾」という現象について知っておく必要があります。

極度に寒冷な環境下に置かれると、恒溫である我々人間の溫を保つために発熱反応を起こします。この反応によって溫が異常に上昇したように錯覚してしまい、結果として猛烈な暑さをじてしまうわけです。

それによって酷寒地にいながらも「暑さ」をじてしまい、服をぐという本來ならば考えられない行に出てしまう。

これを「矛盾」と呼びます。

これは実際に確認されている現象で、現に凍死は信じられない程に薄著の狀態で発見されることもあります。

語り手(男)が陥っている狀態は、まさにそれです。

彼はウェアをぐ際に『本當はこんな場所で服をぎ出すなんて言語道斷だ』と考えています。

つまり、自分が異常な行に出ようとしていることは薄々自覚していたわけです。しかし『暑いのだから仕方ない』と正當化してしまう程に錯してしまっていたのです。

そのし前には『周りを見ると、男問わず服をぎ出している人がなからずいた』とあります。これについては次の二つの説があります。

①語り手(男)が見た幻覚

②語り手(男)は複數人のチームで登山しており、他のチームメンバーも彼同様の錯現象に陥っている

①についても②についても、特に説明すべき點はないと思います。

①に関しては「暑いのでウェアをぎたい」という本能的なと「このような酷寒地でウェアをぐなんて自殺行為だ」という自制のがぶつかり、その結果として本能が語り手(男)に見せた幻覚である、とも補完できますが、これはあくまで余談です。

疑問を解消したところで、次へ向かいたいと思います。

『…猛烈な暑さが中を支配していた。男はそれに抗うこともできず、すっと目を閉じた。強烈なが全を襲った』

まずはこの部分を見てみましょう。

最初に、前半部分(『…抗うこともできず』まで)に注目します。

前半部分を見るに、語り手(男)は矛盾を起こしてしまう程に猛烈な暑さをじていたが、もはやそれに対抗する力さえも殘されていなかったということがわかります。

対抗する、とは言うまでもなくここでは「服をぐこと」を意味します。

脇目も振らずに服をいでしまうような暑さに曬されながらも微だにしない(できない)ことから、この時點で語り手(男)はかなり力を消耗していたことがわかります。

次に殘りの後半部分に注目します。

『強烈なが全を襲った』とありますが、これは単に「睡魔に襲われた」ということをわかりにくく遠回しに言っているだけです。

酷寒地で眠る行為が死に直結するということは周知の事実としてここで説明は省略させていただきますが、この部分は語り手(男)が死に一気に近づいていることを示しています。

そして次のシーンで、男は涙を流しています。『頰を伝い落ちた』何かが涙だと斷言はされていませんが、それ以外の説明が付かないのでここでは消去法で「涙」で構いません。

重要なのは『じんわりと溫かい』という部分です。

寒さでかじかんだ指でれれば、溫かいから分泌された涙も同様に溫かくじるはずです。

しかし一方で、その次に語り手(男)の頰を伝った何かはれても『溫かくも冷たくもなかった』ということが直後に書いてあります。

誤解してはいけないのは、「寒さでかじかんだ指でって」『溫かくも冷たくもなかった』ということです。つまり、その『何か』は本來なら冷たいものだったとわかります。

狀況的に考えてみましょう。

雪山で仰向けに・・・・橫たわったら、頰を伝う冷たい「何か」。

その「何か」とはずばり「雪」のことだと推測できますね。

仰向け、すなわち空を見上げている狀態で橫たわっているのもヒントです。

つまりこの時點で語り手(男)の周囲には雪が降っていることがわかります。

それは語り手(男)にとって死を早めるものでしかありません。

何が言いたいかというと、力を消耗しくこともできず、溫が極度に低下している中で雪まで降り出しているこの狀況下では、語り手(男)の死は必至だということです。

それを自覚して思わず死に対する恐れなり悲しみなりの涙を流す一方で、すぐそばまでやって來ている自分の死をれられずにその涙を否定する。

本文ラストの『そうだ、泣く必要なんてない。泣く必要なんてないんだ。睡魔に襲われ薄れゆく意識の中、男は自分にそう言い聞かせた』の部分は、男のそういった面的な揺れきを表現したものとなっています。

しかし肝心の語り手(男)の最終的な安否は定かではありません。

この後すぐに救助隊が駆けつけ、語り手(男)は無事に保護されたのかもしれません。しかし本文中では『睡魔に襲われ薄れゆく意識の中…』なんて言ってるわけですから、語り手(男)は今にも永遠の眠りにつこうとしていることがわかります。

語り手(男)の生存は絶的だ、というのが無難な意見ではないでしょうか。

そこはご想像にお任せします。

以上で今回の解説は終わります。

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