《Duty》chapter 8 推察 -1

1 7月5日 霧島響哉

夕焼けで真っ赤に染まりきった空が広がっている。

放課後となり下校するため神谷太と胡桃沢桜は校門の外へとやって來た。

6月中旬。

C軍・東佐紀とA軍・山田秋彥が犠牲者となった。

5月の五十嵐アキラの事件から立て続けに3年1組の生徒が裁かれている。

これは目を逸らしようのない事実であった。

そして、その出來事には太たちのクラスに巻き起こる奇怪な『審判』と呼ばれる出來事が関係あることも。

そんななか太も桜もこの『審判』に関するある約束事のようなものに気が付き始めていた。

それは生徒が『罪人』となる條件。

他人に迷な行為や不快となる行為をした人間は『罪人』に選ばれてしまうということ。

そんなことを思いながら太と桜は校門を越え、學校という閉鎖空間から抜け出す。

そのときだった。

「こんにちは。……ん、いや。こんばんは、かな?」

校舎を取り囲む外壁に憑れていた一人の男子生徒が太と桜に聲を掛けてきた。

「? えっと……」

太は困した表を浮かべ、返答に困った。

ただの挨拶にしても違和があり過ぎるから。

それに太も桜も、この人との関わりがほぼ無かったからである。

しかし、桜は名前を知っていたようで、言葉を返した。

「霧島君、……霧島響哉君だよね?」

霧島響哉きりしまきょうや。

そう呼ばれた人は、明らかな作り笑顔を浮かべ、怪しくる眼鏡の奧でにこやかにでられた瞳を飾っていた。

そして、喜びのトーンでさらに話しかけてくる。

「お! 知っててくれたんだ! 嬉しいよ! 神谷太君と胡桃沢桜さん」

「同じクラスだったか。あまり詳しくないんだ、悪い」

太は霧島にささやかな謝罪をした。

「別にいいよ。そんなこと気にならないから」

霧島はニコっとして返す。

そんな霧島を見て、太は「えっと……」と続けた。

「俺たちに何かよう?」

「ふっ」と霧島は微かに笑ったように見えた。

そして、

「うん。キミたちがクラスの中じゃあ、一番マトモそうだからね」

「マトモ……?」

桜が首を傾げ、そう呟いた。

「そりゃあどうも。でも悪いな。俺は今、友達を作るような気分じゃあない」

太は霧島から目を外し、去っていこうとした。

「それは僕も一緒さ。別にキミたちと友達になりたくて話しかけたわけじゃないよ。ただちょっとした用があってね」

太と背中合わせに霧島が話を続ける。

「用?」

「今月はまだ、大丈夫みたいだし」

「何が?」

太は霧島を振り返り見た。

霧島はにやっと笑みを浮かべた。

「今月の第1週目が終わろうとしているのに。未だに誰も罪人に選ばれて無いだろう?」

太と桜は驚愕した。

目を見開き、目の前にいる眼鏡生徒の姿を見つめ続けた。

霧島はにこっと微笑んだ。

「一緒にお茶でもどうかな。この話、興味あるでしょ?」

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