《Duty》chapter 15 dark side Ⅵ

「気持ち悪いんだよ」

「なんで學校來るんだよ」

「お前なんて居なくなればいいのに」

「消えろ」

「しね」

いつもの言葉を投げかけてくる奴らがいた。

年は、こいつらが嫌いだった。

そのとき、この『世界』にいる唯一の『大人』と目が合った。

その大人は年がよく知っている顔だった。

なぜならその『大人』は年を産んだ人間だったから。

しかし、年はその『大人』に自分の存在を気付いてほしくはなかった。

自分が奴らから、いじめられている、なんて知られたくなかったのだ。

目が合っても、その『大人』は年を助けてはくれなかった。

年はそれを

「母親には、未だ『いじめ』のことを知られてはいない」

として、安心していた。

* * * * *

夕方の臺所に傷だらけの年が立っていた。

臺所には夕飯の暖かい匂いが、窓から突き抜けるらかな心地よい風と共に流れてきていた。

トントントン……と包丁とまな板が叩き合う音が響く。母親は夕飯の支度をしていた。

年の母親のもとへ駆け寄り、告げた。

「充お兄ちゃん、傷だらけなの。お願い、充お兄ちゃんを守って」

トントントン……という心地の良い音が途絶え、ゆっくりと母親は傷だらけの年のいる方へと振り返った。

そして、告げた。

「どうして私が守らなきゃいけないの?」

      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください