《山羊男》プロローグ #0 行方不明者:Aの場合
「ハァ、ハァ、ハァ…」タッタッタッ
逃げる、ただただ逃げる。この暗闇から、この現実から。
「うくっ、ハァ、ハァ、なんなのよ!なんなのよ一!!」タッタッタッ
いつまで逃げることが出來るのか。
いつまでこの狀態を保てるのか。
いつまで生きることが出來るのか。
「はぁぁ、はぁぁ、はっはっはぁ」ダジッタッタッタッ
相変わらず、握り締めたスマホからは同じ著信音がなり続ける。
\ポーン/
〈目的地は、この先周辺です。ご注意下さい。〉
「ま、また來た!!」ダダダッ
先程から、ずっとこの狀態だ。原因は分かっては居るものの、現実をけれる事が出來ない。
『目的地』が、迫ってきている。
どこに逃げても。
「嫌だ、嫌だイヤだ!こんなの、こんなの!!」タッタッタッ
\ポーン/
〈目的地は、この先周辺です。ご注意下さい。〉
どんなに離れても、どんなにり組んだ狹い場所に逃げ込んでも、スマホ畫面上の『黒いピン』の目的地はこちらに『近付いてくる』
「イヤだ!イヤだぁぁ!!」ダダッタッタッタッ
さっきから、このり組んだ路地裏に逃げ込んで居るのには理由がある。
もし真っ直ぐの道に逃げ込んだら、後ろから追いかける『アイツ』の顔を見てしまうからだ。
「人、人がいる所に行かなきゃ!誰か、誰かぁぁぁ!!」
\ポーン/
〈目的地が、到著しました。お疲れ様でした。〉
…メヴェェェ
『山羊男』 開幕
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