《山羊男》#1 子高生:水無月 環菜の場合
「…てる?ねぇ聞いてる??」
「…え?」
「カンナってば!聞いてる??」
「あー、ごめんマーコ。聞いてなかった。」
「だから、B組に居たじゃん。この前急に転校してった子!!」
「その人が、なんだっけ?」
「だから〜やってたんだって!ほら、みんな噂してる奴!」
「…何?」
「遊び場検索アプリだよ!まさか知らないの??」
「知らない」
「あっっきれた!あんたそれでも子高生なの!?あたしも昨日れてみたんだけど、今度の土日早速これ使って遊んでみない?」
「あー、うん、土日か。」
「それと…試してみる?」
「…何を?」
「だぁかぁらぁ〜!!あの噂だよ!願いが葉うって奴!山羊男の話知らない?」
が、1つ跳ねた。
「あ、あぁー。うん。いいね」
「あたしシフトずらせるか確認するから…やっばこんな時間!先に帰る!また明日ねカンナ!」ガタッ
そう言うと、私の友人である工藤心(まぁこ)は忙しなく荷をまとめてバイトに向かった。
彼はとても賑やかな人だ。そばに居て、いつもその明るく楽しい雰囲気に圧倒されてしまう。彼と話をしているのがとても好きだ。
Advertisement
そして、私は1人殘された。教室にはまだいくつもの學生が殘っていたが、それぞれが仲の良い學生達と集まり話し合っている。
「…………。」
靜かに荷をまとめると、學友達の喧噪から遠ざかる様に、教室を後にした。
「…さん、水無月環菜(みなずきかんな)さん?」
校門を出たすぐの辺りで、大人のの人に話しかけられた。水の綺麗なコートを著ている。
「あなた、睡蓮すいれん高校の水無月環菜さん?」
「…はい、そうですけど…何か?」
その人が見せたは ─実を見るのは初めてであったが、それが直ぐに何か分かった。警察手帳だ。
「コーヒー奢るから、ちょっと話聞かせて貰える?ここら辺詳しくないからオススメのカフェあったら教えて!」
「…駅の方に、あります。」
私は大人しく従った。來る事も、話の容も分かっていたからだ。
「…うん、大分かった。お友達とはどれくらいに知り合ったの?」
「なじみ…までは行かないですけど、小學校からの付き合いです。」
Advertisement
「そっか。最近では無いのね?」
「はい。」
の警察…奧村と名乗っていたが、彼は一通り聞いた話をメモに書いていて、それと別のページを見比べたりして考え込んでいた。
「…あの。」
「ん?何??」
「聞いても良いですか?」
「…ぁあ!そうね!私ばっかりが聞いてたら悪いもんね。何が聞きたかった?」
「…なんで、警察がこんな、高校生の噂話なんか調べてるんですか?」
「最近はねぇ。何が本當で何が噓かって自分で考えられなくなる人が多くなってるのよ。こういうの放っておくと、とんでもない額を課金したり、人からお金盜んだり良くない方法でお金稼ぎ出す人が大勢居るから、大きな事件に発達する前に調べて警報を鳴らさなきゃいけないの。」
「調べてるんですか?警察が??願いが葉うかどうかを?」
奧村という警はニッコリ笑った。
「今日はありがとね!もし學校だったり家庭で今日どんな人と話したのかって聞かれたら、さっき渡した連絡先に電話頂戴。私から説明するからさ。」
そう言うと奧村は荷をまとめて機の上の伝票を回収した。私が払っておくというジェスチャーをして帰ろうとする。
「あ、あの!!」
自分でも驚くぐらい、大きな聲が出てしまった。奧村は振り返る。
「信じてますか?山羊男の話。」
「…あなたはどうなの?水無月環菜さん?」
「わ…かり、ません…」
もう一度手を振って奧村は帰って行った。
遊び場検索アプリ『playhem』(プレイヘム)
このアプリをダウンロードし、現在位置報の利用を許可すると、同じアプリを保有している人達のおおよその現在位置が分かる。そして、いくつかの條件を力して検索すると、同じ目的の人がどの辺に集しているのかを調べる事が出來る。
それが、遊び場検索アプリだ。
かなり簡易だが地図報もあり、今の世代に最もbuzzっているプレイスポット、アパレルショップ、カフェ、ネイル、スイーツパーラー、ランジェリーショップ、コスメ等々の場所を共有し、そこに集まる事によって、時代の流行から取り殘されない様にする。
このアプリが出た當初は、さしてそれほど流行しなかった。
新し好きな人がダウンロードし、參加している人のなさに驚いてアプリを消す。
はっきり言ってアプリストアの山の中に埋もれて行くようなアプリの1つだった。
だが、今は違う。
3ヶ月ほど前からある噂が立ち始め、子高生の間で話題となっている。それは…ある事をすると願いが葉う。というものだ。
アプリをダウンロードした後、標準で設定されているキーワード検索をoffにして、地點検索をonにする。
そして、地點検索を行う時、地點座標に「ある言葉」をれる。
通常であれば検索結果はありませんでした。という畫面に移行するのだが、選ばれた人のみ通常と事なる黒いピンで表示される、それぞれが異なる地點までのルート案が始まる。
そこにたどり著ければ、願いが葉うというものだ。
そしてその検索する言葉とは、「やぎおとこ」という意味不明の文字。その不思議な言葉のせいで數々の憶測が四方八方に飛んだ。
さらには噂には々な尾ひれがついている。
曰く…
ヤクザが出てきて拐される。
殺人鬼が出てきて殺される。
大富豪の八木(やぎ)さんという方と連絡が取れる。
悪魔が現れて壽命と引き換えに願いを葉える。
アンダーグラウンドな賭けの賭場に案される。
願いを葉える変わりに、誰かもう1人を生贄にする必要がある。
頭が山羊のバケモノが出てきてなぞなぞに答えると願いが葉うが、失敗すると地獄に墮ちる。
そしてこの手の噂に良く有るのが、実際に功した験談に纏わる話だ。
何処高校の何々さんは、これに功して勉強しなくても大學験に功した。
様々な部活(競技、文化問わず)において一蕓を開花させ、プロとして活躍出來る様になった人がいる。
あの人がダイエットに功して、急に痩せたのはアプリのおかげだ。
目的地が寶くじ売り場になっていてそのまま買ったら當たった人がいる。
目的地付近で人とぶつかり、なんだかんだでその人と付き合う事になった。
スマホが誤作を起こして、いくら課金しても請求が來なくなったらしい。
目的地は好きな人の家に設定されていた。そしてそのまま卒業後に結婚した。
目的地まで行ってみたという畫を撮影、配信した人が、一躍時の人となり畫配信者としてひと財産築いた。
上げだしたらキリがないぐらいに、噂話は學生、學校間にSNSを通し、らかい紙に水滴を落としたかの様にじわりじわりと浸して行く。
水無月環菜の通う、睡蓮高校に流れている噂と言えば、もっぱらこれであった。
急に転校した人が、どうやらこのアプリで願いを葉えた、らしい。
「何が、どうなってるの?」
水無月環菜は素直に今の自分が置かれている狀況を口にした。
自分の知らないに學校にはよく分からない噂が蔓延しているし。
何故かそれを警察が調べている。
しかし、それらを気にしている場合では無い。環菜にはやるべき事がある。
「早く、見つけないと…」
そう言って環奈は立ち止まりスマホを取り出し、何やら調べを始める。
いくつか作をした後、ガッカリした表で歩き始める。家とは違う、學校の方向でもない方角へ。
\ポーン/
〈目的地は、252㎞先です。ご注意下さい。〉
つづく
《書籍化&コミカライズ決定!》レベルの概念がない世界で、俺だけが【全自動レベルアップ】スキルで一秒ごとに強くなる 〜今の俺にとっては、一秒前の俺でさえただのザコ〜
【書籍化&コミカライズ決定!!】 アルバート・ヴァレスタインに授けられたのは、世界唯一の【全自動レベルアップ】スキルだった―― それはなにもしなくても自動的に経験値が溜まり、超高速でレベルアップしていく最強スキルである。 だがこの世界において、レベルという概念は存在しない。當の本人はもちろん、周囲の人間にもスキル內容がわからず―― 「使い方もわからない役立たず」という理由から、外れスキル認定されるのだった。 そんなアルバートに襲いかかる、何體もの難敵たち。 だがアルバート自身には戦闘経験がないため、デコピン一発で倒れていく強敵たちを「ただのザコ」としか思えない。 そうして無自覚に無雙を繰り広げながら、なんと王女様をも助け出してしまい――? これは、のんびり気ままに生きていたらいつの間にか世界を救ってしまっていた、ひとりの若者の物語である――!
8 166【WEB版】王都の外れの錬金術師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】
【カドカワBOOKS様から4巻まで発売中。コミックスは2巻まで発売中です】 私はデイジー・フォン・プレスラリア。優秀な魔導師を輩出する子爵家生まれなのに、家族の中で唯一、不遇職とされる「錬金術師」の職業を與えられてしまった。 こうなったら、コツコツ勉強して立派に錬金術師として獨り立ちしてみせましょう! そう決心した五歳の少女が、試行錯誤して作りはじめたポーションは、密かに持っていた【鑑定】スキルのおかげで、不遇どころか、他にはない高品質なものに仕上がるのだった……! 薬草栽培したり、研究に耽ったり、採取をしに行ったり、お店を開いたり。 色んな人(人以外も)に助けられながら、ひとりの錬金術師がのんびりたまに激しく生きていく物語です。 【追記】タイトル通り、アトリエも開店しました!広い世界にも飛び出します!新たな仲間も加わって、ますます盛り上がっていきます!応援よろしくお願いします! ✳︎本編完結済み✳︎ © 2020 yocco ※無斷転載・無斷翻訳を禁止します。 The author, yocco, reserves all rights, both national and international. The translation, publication or distribution of any work or partial work is expressly prohibited without the written consent of the author.
8 119【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才少女は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~
各分野のエキスパートである両親と兄姉5人を持つリリアーヌ・アジェットは幼いころから家族から最高水準の教育を受け続け、15歳になった今ではあらゆる分野で天才と呼ばれている。 しかし家族が全員「この子はこんなに可愛い上に素晴らしい才能もあるのだから、自分くらいは心を鬼にして厳しいことを言わないとわがままに育ってしまうだろう」とそれぞれ思っていたせいで、一度も褒められた事がなかった。 ある日突然遠縁の少女、ニナが事情があって義妹となったのだが、いくら頑張っても自分を認めてくれなかった家族が全員ニナには惜しみなく褒め言葉をかける様子を見て絶望したリリアーヌは書置きを殘して姿を消した。 (ここまでが第8部分) 新天地で身分を偽り名を変えたリリアーヌだが、家族の言う「このくらいできて當然」という言葉を真に受けて成長したため信じられないくらいに自己評価が低い。「このくらいできて當然の最低レベルだと習いましたが……」と、無自覚に周りの心をボキボキに折っていく。 殘された家族は「自分を含めた家族全員が一度もリリアーヌを褒めたことがなかった」とやっと気づくのだが…… 【コミカライズ進行中】
8 170No title_君なら何とタイトルをつけるか
ポツダム宣言を受諾しなかった日本は各國を敵に回した。その後、日本は攻撃を受けるようになりその対抗として3つの団を作った。 陸上団 海上団 空団。この話は海上団に入団したヴェルザの話… 馴れ合いを好まないヴェルザ。様々な人達に出會って行き少しずつ変わっていく…が戻ったりもするヴェルザの道。 戦爭を止めない狂った日本。その犠牲…
8 92創造のスキルとともに異世界へ
事故で死んだ江藤雄一は神の元へ。 神がひとつだけ力をくれると言うので、俺は創造の力をもらい異世界へ行った。その先で雄一はスキルを駆使して異世界最強に。
8 130超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』
これは、剣と魔法―――― そして『ダンジョン』のある世界の話 初めてのダンジョン探索の日。予想にもしていなかったアクシデントで、僕――――トーア・サクラはダンジョンの縦穴へ落下してしまう。 そこで手に入れた武器は、人類史上、誰も手に入れた事のない最強の武器。 しかし――――當然ながら―――― そんな武器を僕が裝備する事はできなかった!
8 127