《見える》見えない

20歳の時に、両親を事故で亡くして3年。そして今、中學生の頃から飼っている貓を亡くして、由月は獨りぼっちになった。                     友達と呼べるような人もいなくて、もした事が無い由月にとって、親友であり、人でもあった、貓トラ。

由月は長い時間、トラの亡骸を抱きしめていた。何度も何度も ありがとう 、と呟きながら、トラの亡骸に頬りし、鼻に何度も何度もキスをした。由月の長くて綺麗な黒髪で、戯れるのが好きだったトラの為に、長い前髪を眉まで切って、トラの亡骸に供えた。

1週間経っても、1カ月経っても、心にぽっかりと空いたは大きくて、ぼんやりと毎日をただ何となく過ごしていた。

トラ、ご飯よ!朝晩減る事の無い餌を皿にれ、しばらくして泣きながら餌を捨てる。その繰り返し、、、

(私ダメだ、、耐えられない、、)

両親を亡くした時、由月はショックの余り倒れた。その時は、3日間も院したのだ。家でお腹を空かして待っていたトラに、                     (ごめんね、、お腹すいたね。ごめんね。頑張って仕事して、トラが好きな貓缶買うから、私、頑張るから、私を助けてね。)

由月はそう言って、トラに餌を與え、

(しっかりしなきゃ行けない!頑張らなきゃ!トラもいる1人じゃない!!大丈夫がんばれる!!)

だけど今は、そのトラもいない。

由月は、小さな町で病院の付をしていた。

その帰りバス停に向かう道で、

(あの人だ!)

あの人というのは、病院の待合室でやたら由月の事を見て何か言いたげにしていた、ショートボブの子高生だ。由月もそれに気が付いたのだが、結局お互い會話する事が出來なかったのだ。

2人同時に、あの〜!

あの〜私、鹿嶋玲って言います。○○○高校2年です。夏川さん、この間はすいませんでした。ジロジロ見ちゃって、

いえ、あ、あ、私の名前?

名札に、夏川さんで合ってますよねぇー

あ、あはい。夏川由月と言います。

私霊強くて、見えるんです。グレーのキジトラの貓ちゃん!

トラ!トラです。私の!

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