《ヤメロ【完】》7
廃ビルの中を必死に逃げう。そんなの姿を追い掛けるカメラに時折チラリと映り込むのは、斧を持った男のものらしき右腕。
転げながらも必死に逃げうは、ついにその距離がまった事でハッキリと姿を現した。その剎那、畫面右側から振り下ろされる斧。劇場に響き渡るの泣きぶ聲。
そんな迫した映像を前にドクドクと早鐘を打つ俺の心臓。その心臓が一際大きくドクンと鳴ったその時ーー俺の口からポツリと小さな聲がれ出た。
「えっ……? ……み……ほ……? 」
なんで穂が……?
今、目の前でスクリーンに映っているは間違いなく穂で、この狀況がうまく飲み込めない俺は小さく口元を震わせた。
……何で穂が映畫になんて出てるんだ?
そんな疑問と共に頭に浮かんできたのは、連絡のつかない攜帯と先程スクリーン上で見た見覚えある建。そう、あれは穂の家からそう遠くない場所にある建なのだ。
【これは実際の殺人映像である】
毎回オープニングで流れる、そんな文字が頭を過ぎった。
「噓……っだろ……? 」
ネットでまことしやかに囁かれる、これは紛れもなく本の殺人映像だという噂。そんなことを思い出した俺は、スクリーンに映し出される穂を見つめたままガタガタと震えだした。
斬りつけられた背中は大きく切り裂かれ、ドロリとした赤黒い鮮を流しながら泣きんでいる穂。それでもなお止まらない斧のきは、その小さなを次々と傷つけてゆく。
「やめてくれ……っ」
俺の口から出た聲は酷く震えてけないものだった。
スクリーンに映し出されるのはに塗れて泣きんでいる穂の姿。そんな姿から視線を逸らすことができない。
お願いだから……っもう、やめてくれ……。
深傷を負いながらも必死に逃れようとする穂の姿を見つめる俺は、その耐えがたい景に顔を歪めると涙を流した。
やめろ……っ。やめろ……! ヤメロ!!
「ヤメローーーー! !!! 」
スクリーンに向かって絶した瞬間、振り下ろされた斧は穂の頭にめりこんだ。グニャリと歪んだ顔からは眼球が飛び出し、ヒクつく口元からは『ァ゛ガッ……ガッ……』と聲にならない空気がれる。
俺は堪らず嘔吐するとその場に崩れ落ちた。床についた吐瀉まみれの手で必死に上半を支えると、床に向かって大きく泣きぶ。
噓だっ……! 噓だっ! 噓だ噓だ噓だ噓だ噓だっ!!!
まるで今しがた目にした信じ難い景を払拭するかのように、狂ったように頭を掻き毟る。そんな俺の頭上に突然影が差し、それに気付いた俺はゆっくりと顔を上げた。
突然できた影の正であるその見知らぬ男は、カメラ片手に無言でこちらを見つめると口元に弧を描いた。
「……っえ? 」
俺の口から小さくそんな聲が溢れた瞬間、右手に持った斧は俺の頭めがけて振り下ろされたーー。
ーーーーーー
ーーーーーー
「あーっ。今回のも凄く良かったねぇ」
「うん、そうだね。斧でグシャッとなるのなんて、本當に本みたいだったよねっ」
「……あっ! そうそう。あの噂、知ってる? 」
「噂? 」
「実はね、この『スナッフフィルム』って映畫、本の殺人映像らしいよ」
ーー完ーー
ニジノタビビト ―虹をつくる記憶喪失の旅人と翡翠の渦に巻き込まれた青年―
第七五六系、恒星シタールタを中心に公転している《惑星メカニカ》。 この星で生まれ育った青年キラはあるとき、《翡翠の渦》という発生原因不明の事故に巻き込まれて知らない星に飛ばされてしまう。 キラは飛ばされてしまった星で、虹をつくりながらある目的のために宇宙を巡る旅しているという記憶喪失のニジノタビビトに出會う。 ニジノタビビトは人が住む星々を巡って、えも言われぬ感情を抱える人々や、大きな思いを抱く人たちの協力のもと感情の具現化を行い、七つのカケラを生成して虹をつくっていた。 しかし、感情の具現化という技術は過去の出來事から禁術のような扱いを受けているものだった。 ニジノタビビトは自分が誰であるのかを知らない。 ニジノタビビトは自分がどうしてカケラを集めて虹をつくっているのかを知らない。 ニジノタビビトは虹をつくる方法と、虹をつくることでしか自分を知れないことだけを知っている。 記憶喪失であるニジノタビビトは名前すら思い出せずに「虹つくること」に関するだけを覚えている。ニジノタビビトはつくった虹を見るたびに何かが分かりそうで、何かの景色が見えそうで、それでも思い出せないもどかしさを抱えたままずっと旅を続けている。 これは一人ぼっちのニジノタビビトが、キラという青年と出會い、共に旅をするお話。 ※カクヨム様でも投稿しております。
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