《シェアハウス【完】》

部屋にるとフワリと良い香りがして、空腹だった私のお腹は匂いにつられて音を鳴らした。

それを聞いた靜香さんは、「やっぱり作っておいて良かった」とクスリと笑った。

恥ずかしくなった私は赤くなった顔を俯かせると、「……すみません、ありがとうございます」と小さな聲でお禮を告げた。

ダイニングに著くと、そこには夜食とは思えない程のたくさんの料理が用意されていた。

湯気が出ているのを見ると、私が帰宅するのを見計らって作ってくれたのがわかる。

ここに引っ越して來てからというもの、夕食は毎日靜香さんが用意してくれている。

引っ越し當日、靜香さんが振る舞ってくれた手料理にとても激した私。

料理のできない私は、久しぶりに食べる手料理に実家を懐かしみ、靜香さんの作るとても味しい料理に謝し喜んだ。

そんな私を見た靜香さんは、『私料理が趣味なの。遠慮なく食べてね』と優しく微笑んでくれた。

そんな出來事を思い出す。

きっとあの時の私を見て、靜香さんはこうして毎日作ってくれているのだと思う。

そんな靜香さんの優しさに、私は謝の気持ちでいっぱいだった。

「靜香さん、本當に毎日ありがとうございます」

席に著いた私は、料理を前に今一度お禮を伝えた。

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