《シェアハウス【完】》15
「ーー真紀ちゃん、味しい?」
私の目の前でニコリと優しく微笑む靜香さん。
あの日、まるで何事もなかったかのように普段通りに戻った靜香さん。
私はといえば、あの時見た靜香さんが忘れられずに、靜香さんとどう接すればいいのかわからなくなっていた。
早く貯金を貯めて一人暮らしをしよう。
それまでは極力靜香さんと関わらずにすればいいだけ。
數日前に香澄に相談した私は、その時からそう思うようになっていた。
だけど夕飯だけはどうしても避けられない。
靜香さんが私の為に作ってくれているのだし、今まで一緒に食べていたのに突然それを辭めたら明らかに不自然だ。
「はい、凄く味しいです」
「良かった。今日のスペアリブは自信作なのよ」
そう言って嬉しそうに微笑む靜香さんに、チクリとが痛む。
私の為に料理を作り、私が味しいと言えば嬉しそうな顔をする靜香さん。
こんなにいい人なのに……。
私はあの時靜香さんを怖いとじ、今でもし怖いと思って避けてしまっているのだ。
今目の前で微笑む靜香さんを見ると、何故こんなにも優しい笑顔を見せる靜香さんを怖がっているのかと、自分でもよくわからなくなってくる。
罪悪に目を伏せた時、靜香さんが口を開いた。
「真紀ちゃん? ……やっぱり口に合わなかったかしら?」
「あっ……いえ! とても味しいです」
心配そうに私の顔を覗き込む靜香さんに、私は慌てて顔を上げる。
その言葉は噓ではなく、確かにとても味しいのだ。
暗い顔をしてはいけない。
そう思った私は、ニコリと笑ってお皿に置かれたスペアリブに手をばした。
から突き出た骨を摑んだ私は、味しそうにを垂らすにかぶりつくと、し弾力のあるを骨から剝がして口の中へとれたーー。
【書籍化】捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜國の王太子からの溺愛が待っていました
★ベリーズファンタジーから発売中です!★ 伯爵令嬢ロザリア・スレイドは天才魔道具開発者として、王太子であるウィルバートの婚約者に抜擢された。 しかし初対面から「地味で華がない」と冷たくあしらわれ、男爵令嬢のボニータを戀人として扱うようになってしまう。 それでも婚約は解消されることはなく結婚したが、式の當日にボニータを愛妾として召し上げて初夜なのに放置された名ばかりの王太子妃となった。 結婚して六年目の嬉しくもない記念日。 愛妾が懐妊したから離縁だと言われ、王城からも追い出されてしまう。 ショックは受けたが新天地で一人生きていくことにしたロザリア。 そんなロザリアについてきたのは、ずっとそばで支え続けてくれた専屬執事のアレスだ。 アレスから熱烈な愛の告白を受けるもついていけないロザリアは、結婚してもいいと思ったらキスで返事すると約束させられてしまう。しかも、このアレスが実は竜人國の王子だった。 そこから始まるアレスの溺愛に、ロザリアは翻弄されまくるのだった。 一方、ロザリアを手放したウィルバートたちは魔道具研究所の運営がうまくいかなくなる。また政務が追いつかないのに邪魔をするボニータから気持ちが離れつつあった。 深く深く愛される事を知って、艶やかに咲き誇る——誠実で真面目すぎる女性の物語。 ※離縁されるのは5話、溺愛甘々は9話あたりから始まります。 ※妊娠を扱ったり、たまにピンクな空気が漂うのでR15にしています。 ※カクヨム、アルファポリスにも投稿しています。 ※書籍化に伴いタイトル変更しました 【舊タイトル】愛されない妃〜愛妾が懐妊したと離縁されましたが、ずっと寄り添ってくれた専屬執事に熱烈に求婚されて気がついたら幸せでした〜 ★皆さまの応援のおかげで↓のような結果が殘せました。本當にありがとうございます(*´ー`*人) 5/5 日間ジャンル別ランキング9位 5/5 日間総合ランキング13位
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