《心霊便利屋》第13章 心霊便利屋捜査
この程度の數なら決して勝てない數ではない。それも狙いやすく橫一列に並んでやがる。
だからこそ、何か裏をじる。
「…クレア、10全部吹き飛ばせるか?」
「もちろん、何ならあいつも一緒に吹き飛ばすよ!」
「なら、全員張り倒してやれ。」
「オッケー」
『あぁぁぁぁ!』
ブォン!!
クレアの衝撃波が霊兵に直撃して発が起きる。
バガァァン!!
『うぉぉぉぉ!!!』
來たか!
ダッ!
俺達は左右に別れて飛び退いた。
砂ぼこりが引いていくと、高橋の姿も消えていた。
「………!」
俺は右の拳に力を乗せ、振り向き様に渾の一撃を放った。
バキッ!!!!
「うぶぅぅぅ!!」
よし、完璧にった。
ドン!!
実化したままの高橋は壁に激しく叩きつけられた。
「へへっ、痛ぇじゃねぇか…」
「卑怯なお前のことだ、現れるとしたら俺の後ろだろ?」
「…ちくしょう」
高橋は立ち上がると息を大きく吸った。
「みんな、散解しろ!」
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『うぉぉぉぉ!!』
ブォン!!
「くっ…。真似しないでよ!」
タイミングよくその場から散ったことで怪我人はいないようだ。
この力があることで、高橋は強気なのかも知れないが、コイツは一何のためにこんな騒ぎを起こしてるんだ?
…それより、このままでは危ないな。
高橋がクレアの力を使えるのは実化している時だけのようだ。
そしてある程度ダメージが累積すると半明化するのはわかっている。
「クレア、その力を使うと疲れたりするか?」
「え?うん、力っていうのかな?そんなのをじる。」
「そうか、ありがと。」
なら、それならは高橋も同じはずだ。
俺は高橋の目の前に立ち挑発を始める。
「おい、人の力使う気分はどうよ?自分の力だけじゃどうにもならないんだから仕方ないよな?」
「へへ、どんなに挑発されても、俺はこの力を使うぜ!」
「あぁ、使えよ。それしかできねぇんだからな。」
『うるせぇ!』
ブォン!
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『おらぁ!』
ズゴォォォン!!
『死ねぇ!!!』
ゴォォォン…!!!
俺の挑発に幾度となく力を放つが、俺が間一髪で避けながらクレア達が巻き込まれないように安全な場所に導していく。
『チョロチョロすんじゃねぇ!!』
バタッ
高橋が地面に膝を著いた。
「あ、あれ…」
そのままが半明になっていく。
…やっぱりな。
力を使うとクレアでも力を覚えるくらい消耗するなら、本來この力の持ち主でないヤツが使えば消耗もより激しいはずだ。
それも、あいつは実化していたとはいえ、一度死んだ人間があの力を使ったらどうなるかなど考えるまでもなかった。
「力を使う前に、それがどういうか考えてから使うべきだったな。」
「こ、この…」
ドカッ!
俺が力を込めた拳で軽く一発毆ると高橋は仰向けに倒れた。
「い、いてぇ…」
手錠に力を通し、高橋を拘束して車両に積んだ。
「彼のような存在はこれで最後なんですかね?」
「またあの霊兵ってやつがどっかで涌き出てましたとかやめてほしいぜ。」
「さすがにもう大丈夫だろ。」
「だと良いんですが…。」
本部に帰る道中、クレアは高橋を問い詰めていた。
「大倉や、瀬戸さんもいなくなったのに、なんでいつまでもこんな事してんのよ!」
「…他にすることねぇからよ。」
「…あんた、生きてる時からろくな男じゃなかったけど、こんなことまでするヤツではなかったじゃない。」
「うるせぇ、俺だってなんでこうなったのかわかんねぇんだよ。」
…あの裝置でと魂を引き離す際、悪意が増幅されると瀬戸さんが言っていたな。
「副大臣の和田から、言うことを聞けば俺を生き返らせてやるって言われて、仕方なく従ってたらこうなってた。俺だって無関係な人間を殺すのに最初はためらったさ。」
「なら、なんで殺したのよ!」
「だからわからねぇって!命令を聞いているうちに何もじなくなったんだよ。」
「なぁ、なんでお前だけが、霊兵みたいにならず、実化まで出來るようになったんだ?」
「あ、それ俺も知りたかった。」
「確かに興味深いですね。」
徹と林も同じく疑問に思っていたようだ。
「俺も知らねぇよ。ただ、大倉の野郎は、俺の出生にがあるとかなんとか言ってたっけな。」
出生に?
「どういうことだ?お前、いいとこのお坊っちゃんか何かかよ?」
「んな訳ねぇだろ。母子家庭の貧乏一人息子だよ。」
「じゃあ家族が霊があったとか?」
高橋はし考えてから口を開いた。
「そういやぁ、昔ばあちゃんが山の神様と話せるだとか聞いたことあったけど、昔の人間なんてみんなそう思ってんだろ?」
まぁ、今となってはわからないな。ただ、これから高橋のような存在がまた作られないとは限らない。
報は多いに越したことはないが、今は仕方ないな。
「もう、あんたみたいな怪が生まれないようにしっかり調べさせてもらうからね!」
「好きにしろ!」
「確かに、高橋のしたことは許されることじゃない。ただ、コイツ自も被害者だってことを俺達は忘れちゃダメだ。」
俺の言葉を聞いて、高橋はバツが悪そうに目をそらした。
「お前に同されるとはな…」
「同はしてない。だが、悪いのはコイツ等を作った人間だ。まだ捕まっていないヤツもなからずいるはずだ。」
「そう、だね…。」
「俺達はソイツ等を捕まえなきゃいけない。」
「なぁ、晃。」
「なんだ?」
「こいつらを捕まえるのはいいけど、この後どうなるんだ?」
「それは城田さん…、局長に任せてるけど、おそらく高橋はひとしきりを調べられたあと、霊能力を持った協力者に浄化されるんだって聞いたぞ。」
「ほんとか、それ。さすがに俺もずっとこのままなら、この世から解放されてぇよ。」
「あんたは後20年くらいひとりぼっちで反省してっ!」
高橋はクレアに俺の力が込められた警棒で小頭かれた。
「ってぇなぁ。俺だって被害者なんだぞ!」
「黙ってた方が痛い目に遭わなくて済むぞ。」
そろそろ本部だ。
高橋のけ渡しも終わって、解散となった。
林は一旦、岡山に帰って支度をし、國の手伝いをすると伝えるようだ。
徹は一人で夜の街で酒を飲みに行くらしい。
俺とクレアは、俺の自宅に行って久々に二人きりの時間を過ごすことに。
「はい、ごはんだよ♡」
「ありがとー。お、うまそう!」
あぁ、クレアの手料理久々だ。本當に嬉しい。
クレアも席に著き、ビールを置いてくれた。
「今日は飲もっか♡」
「そうだな。」
俺は幸せを噛み締めていた。
「ねえ、事務所が変わったんだし、一緒に住む家、明日から探してみない?」
「うん、探そう。ここよりも広いマンションがいいね。」
「私は海が近い方がいいな!」
「クレアの水著…」
「またエッチな顔してるっ」
「し、仕方ないだろっ!何回見ても慣れないくらいスタイルいいんだしっ」
「嬉しい♡じゃぁ、今著替えるから慣れるまで見てみる?」
「え、そう、そうだな!…慣れるかな?」
そのまま、俺とクレアは數日ぶりにし合った。
…何ヵ月ぶりだと思えるほど、キツい日々だった。
明日、起きれるだろうか…
…ん、朝か。今何時だ?
「晃、起きた?」
「あぁ、おはよー」
「おはよう♡」
ブゥゥン…ブゥゥン
間中から通信だ。
俺はイヤホンを裝著して、通話ボタンを押した。
「どうした?」
『おはよう。寢坊したね?便利屋の仕事でお客さん來てるよ。』
「あー、悪い。用件だけ聞いておいてくれ。」
『相良さんがもう聞いたよ。捨てても戻ってくる呪いの人形だって。詳しくは本部で直接本人から聞いて。』
「わかったよ。」
俺は電話を切った。
「間中さん?」
「うん、よくわからないけど、便利屋の仕事で呪いの人形の件だって。行ってみないとわかんないな。」
「でも、なんか嫌な予する。」
確かに今までも人形絡みは、厄介な事になった経験がいくつかある。
「そうだな。あまり関わりたくないけど、それが俺達の仕事だから。」
「そうだね、解決してあげよう!」
プルプルプル…
徹から電話だ。
『おい晃!依頼人が消えたと思ったら、箱にった人形だけがテーブルの上に置かれてんだよ!
林さんも今日休みだし何とかしてくれ!』
おいおい、マジか。
「すぐ行くから待ってろ。俺がいくまで人形にさわるなよ?」
『…え?』
「…お前、もしかして。」
『依頼人から手紙とかないか箱の中ってたんだけど…ヤバい?』
「ヤバいよな…」
『は、早くこっち來てくれよ!!』
「わかったよ。」
脅かすのはこれくらいにしてやるか。
俺は電話を切って準備を整えた。
…さあ、いくか。
「終わったら今度こそ件探しね♡」
「あぁ、すぐ解決しなきゃな♪」
本部に到著すると、青白い顔をした徹が人形の箱と距離をとって立っていた。
「相良さん、大丈夫?」
「お前ら遅せぇよぉ…」
徹はこちらを見ると涙目になっていた。
…泣くなよ。
「落ち著け。」
「俺は人形が嫌いなんだよ!」
…確かにこれは不気味だ。
和服姿で髪型はおかっぱの日本人形だが、なんて言うのか嫌な雰囲気がにじみ出ている。
「焚き上げに行くか?」
「依頼人は、寺や神社に持っていっても戻ってくると言ってたぞ…」
「気味悪いね…」
…しかし、この人形にそこまでの力が本當にあるのか?
「依頼人はいついなくなったんだ?」
クレアがPCを開いた。
「ねぇ、依頼人からだと思うけど、メール來てるよ。」
…徹、ちゃんと見ろよ。
メッセージを開くと【ごめんなさい、気味が悪いので置いて帰ってしまいました。人形の処分に功したら報酬をお支払します。】
全く、消えたんじゃなくて逃げただけじゃないか。
俺達は近くの神社へ焚き上げに行き、燃え盡きるまで見屆けた。
人形が帰ってくるなど、何かしらの霊障はあったかも知れないが、人任せにして持ち主が知らん顔をすることで、余計に人形に憑いた霊もムキになったのかもしれないな。
まぁ、これで解決だろう。
後日、俺は依頼人を呼び出した。
「あれから人形が戻ってくることはなくなりました。ありがとうございました。」
依頼人は深々と頭を下げた。
「仕事ですから。ただ、ひとつ良いですか?」
「?はい、なんでしょう?」
「あの人形は、あなたのお友達から頂いたものだとお聞きましたが、間違いないですか?」
「はい、その通りです。私が小學生の時、引っ越しをする時に友達が寂しくないようにってくれた人形です。
…それが何か?」
「大事にされていたんですか?」
「もちろん、中學卒業まで一緒に寢てました。」
日本人形と一緒に寢る人も珍しいな…
「そうですか。」
「私が悪いと言いたいのですか?」
まだわかってないのか。
「人形に霊が憑くのは、持ち主だったあなたの思いが強かったからです。その人形は友達代わりだったんじゃないですか?」
「…はい。」
「もし、あの人形が人間だったり、ペットだったりした場合、あなたはいらなくなったからと、簡単に捨てられますか?」
「まさか、そんな酷いことしません!」
「そうですよね。そんな酷いことをあなたは人形にしたんです。」
「…………」
「捨てようとしてもうまく行かず、気味が悪くなったら、置いて逃げる。
このままじゃ、人形は戻って來なくなったとしても、また違うがあなたへ付きまとうことになりますよ。」
「…はい。」
「もうわかりましたね?」
「はい。その神社に行って手を合わせてきます。」
…まだ反省しただけまともな人だったようだ。
「そうしてあげてください。」
「ありがとうございました。」
その後、報酬も振り込まれた。
「あの人も、大事なことを思い出せて良かったね!」
ともあれ、便利屋も公安の仕事も、今の俺達にとっては、どちらも切り離せない重要な使命だ。
これからも超常現象が現れれば、俺達が駆けつけるだろう。
怪異との戦いはまだ始まったばかりだ。
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