《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》逢園村の格差

この前お母さんと花姉さんから聞いたこの村のことだ。

ここ逢園村あいぞのむらでは、松竹梅の家が村をまとめている。

一番偉いのが松園家まつぞのけ、次に竹園家たけぞのけ、一番立場が低いのが、この梅園家だ。松竹は一般の家よりも立場が高い。しかし、梅園家は一般の家よりも立場が低い。そのため仕事は多いが々面倒事を押し付けられてしまいとても厄介らしい。

そして、結婚をする上でのこの村の決まりがあった。松竹の家が梅園家にることはできても、梅園家から松竹の家にることはできないと言う決まりだ。

松園家、竹園家はどの家に嫁りしてもいいのに、梅園家は一般の家にしか嫁りできない。でも松竹の家の人が梅園家にるのはいいのだ。

つまり上の者が下に行くのは自由だが、下の者が上に行くのは許されない、という決まりだ。

僕とスミレさんの結婚は、上が下に行くだけだから問題ないらしい。

僕は學校の宿題と睨めっこするのをやめ、顔を上げた。

「ねえ花姉さん、スミレさんはどうしてスミレって名前なの? 松竹梅の家のの子は皆名前にって字をれなきゃいけないんでしょ?」

花姉さんは一瞬驚いた顔をした。そしていつもの明るい笑顔をしゅんとさせ、俯く。

「松園家と竹園家ではね、たまーに菫ちゃんみたいな紫の目をしたの子が産まれるんだって、それは言ったでしょ?」

「うん」

「この村ではその紫の目をした子は災いをもたらすとされている。だから紫の目をした子は皆菫って名付けられるんだよ。どうして菫に統一したのかは分からないけど……。

でも松竹梅の家の子じゃないですよって意味での字はれないんだと思うな」

なんとも嫌な気持ちになった。田舎の因習は殘酷だ。スミレさんは何もしてないのに……。

「じゃあ、なんで僕がスミレさんと結婚するのことになったの?」

「梅園家だからさ」

あまりの即答に僕は固まった。

「不幸も厄も何もかも、立場の低い梅園家に押し付けるんだよ」

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