《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》松園浩一
僕は神社で鈴子ちゃんと別れて、石畳の階段を降りていた。
琥珀の空に、紫がかった雲がびている。今日見た白黒の首吊り寫真を思い出した。
確か、首のあたりに痣があったんだ。
その痣も、あの雲みたいな紫だったんだろうか——。
なんだか気持ち悪くなって、僕は走っていた。あの寫真と文を見せて、次は浩一さんが危ないと僕が言っても意味はないだろう。
それどころか、僕がやったと言われるかもしれない。
梅園家なのだから……皆も本當はそう思わなくても、僕に罪を被せるだろう。
姉さん達にも言えない。言ったって、どうにもならないと思う。
だからせめてにしよう。
大丈夫だ……。きっと誰かが犯人を見つけてくれる。
角を曲がり、僕の家が見えてきた。
……あれ? 人影がある。
近づくにつれそれがの子であることが分かってきた。背が小さい。こんな時間に……?
黒髪だ。髪が長い。振り返った。
紫の瞳がぐんぐん近くなる——
「スミレさん!」
僕はいっそう早く走った。
その顔は青く怯えたような表をしている。
嫌な予が、僕の頭に浮かんでしまった。
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