《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》呪い?
「こ、こうじゅさん……」
「スミレさん、どうしてここにっ!」
するとスミレさんは悲しそうな表をした。端正な顔立ちに濃い影がびる。
「松園家で、また一人首を吊ったんです。……私は、お前がいると不幸になるから、と……」
「梅園家に押しつけてしまえと?」
スミレさんが辛そうな顔でこくんと頷く。悲しみの中に怒りも混じったような、そんな表だ。
「ぼ、僕はそんなこと思いませんよ! だってほら、こんなに一緒にいるのに僕はなんにも不幸じゃないんですから」
「ありがとうございます」
微笑みながら、スミレさんは頷いた。
僕は彼の手を握る。ひんやり冷たい。
「家の中にりましょう。が冷えてます」
返事を聞く前に、僕は手を引いて玄関扉を開けていた。
「た、ただいまぁ」
囁くような聲で言う。暗い知らせが連続であったのだから、なんとなくこちらも暗い気持ちになる。
すると、どたばたと足音がしてお母さんが駆けてきた。
「香壽! それにスミレちゃんも——」
お母さんは何か言いかけて、悟ったように口を継ぐんだ。どうして家にいるのか分かったのだろう。
「遅かったじゃない、心配したのよ。スミレちゃんから……話は聞いた?」
「うん」
「……そう。二人とも早く上がりなさい。冷えたでしょう? お茶をれますからね」
梅園家はなんだか溫か——い?
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