《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》空気が違う

僕達はとっくに手を離し、茶の間にった。家族全員が揃っていた。

でも——何かが違う。

皆の顔を見回しても、なんにも違うところはないけれど、何かが違う気がする。

皆僕が視線を向けているときは普通を裝って、別の方向を向くと厭いやな視線を送っているような妄想に駆られる。

でも……本當にそうかもしれない。

僕が見えない方向からだけ何かをじるのだ。しかもそれは僕を通り越して、隣のスミレさんに向かっている気がする。

「あの……こうじゅさん、やっぱり私……帰った方が……」

「な、なんでですか」

「私は不幸を呼ぶんですよ……。皆さんに迷です」

「そんなの迷信ですよ。座りましょう」

いつもだったら皆も一緒に迷信だと言ってくれるのに、今日は誰も言わない。気まずそうな顔をしてそっぽを向くだけだ。

もしかしたら皆もスミレさんが災いをもたらすとか思っているのか。人死が続いて怖くなったから何の罪も無いの子を避けるの?

やっぱり、おかしい。

空気が変わってしまった——。ついこの前までは、溫かい家族だったのに。

そこへ、お母さんがお盆にお茶を乗せてやって來た。

「ごめんねぇ、時間かかっちゃった」

お母さんがちゃぶ臺に湯呑みをコツコツと置く。僕はそれを手に取った。ちょっと熱い。

「……ね、ねえ、皆?」

お母さんは緒話をするように聲を潛める。

「縄垂らしの怪談って……詳しく聞いたことはある?」

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