《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》痣のスミレ

お父さんの部屋の襖に手をかける。

……皆は無事だった。これでお父さんも大丈夫なら、昨日僕が見た縄垂らしは夢だったと言うことにしよう。

そうであってほしい。

ゆっくり開ける。そしてその隙間から中を覗く。

布団はもぬけの殻だった。

心臓が急に煩くなる。見たくないけど、見なきゃいけないような気がして、僕は上をゆっくり見た。

床から浮いた足が見える。腰が見える。

して紫になった首が見える。

そこに付いていた頭は、その顔は、間違いなくお父さんだった。

縄垂らしだ。

悲鳴を上げることも出來ずに、僕はふらふらとお父さんの方へ歩いていた。

……死んでる。

恐怖なのか何なのかよく分からない。

妙なに襲われ、ただ唖然と、首を括ったお父さんを見ることしかできない。

悲しいと言うよりも、お父さんが死んだ実が湧かない。

お父さんの足にれてみる。それの足は冷たかった。〝お父さん〟と言うより、ただのに見える。

……死んじゃったんだ。

その瞬間苦しくなって、僕はしゃがみ込んだ。

涙が出てくる。

怖い。悲しい。怖い……。

いつまでそうしていただろうか。薄暗かった廊下に、朝日が差してきた。

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