《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》痣のスミレ
お父さんの部屋の襖に手をかける。
……皆は無事だった。これでお父さんも大丈夫なら、昨日僕が見た縄垂らしは夢だったと言うことにしよう。
そうであってほしい。
ゆっくり開ける。そしてその隙間から中を覗く。
布団はもぬけの殻だった。
心臓が急に煩くなる。見たくないけど、見なきゃいけないような気がして、僕は上をゆっくり見た。
床から浮いた足が見える。腰が見える。
鬱して紫になった首が見える。
そこに付いていた頭は、その顔は、間違いなくお父さんだった。
縄垂らしだ。
悲鳴を上げることも出來ずに、僕はふらふらとお父さんの方へ歩いていた。
……死んでる。
恐怖なのか何なのかよく分からない。
妙な力に襲われ、ただ唖然と、首を括ったお父さんを見ることしかできない。
悲しいと言うよりも、お父さんが死んだ実が湧かない。
お父さんの足にれてみる。それの足は冷たかった。〝お父さん〟と言うより、ただのに見える。
……死んじゃったんだ。
その瞬間苦しくなって、僕はしゃがみ込んだ。
涙が出てくる。
怖い。悲しい。怖い……。
いつまでそうしていただろうか。薄暗かった廊下に、朝日が差してきた。
ビンボー領地を継ぎたくないので、全て弟に丸投げして好き勝手に生きていく
ビンボー領地の貴族の長男として生まれたロラン。とあるきっかけで前世の記憶を取り戻した彼は、ビンボー領地を継ぐという暗い將來が待っていることを悟る。 どうにかしなくてはと知恵を絞った結果、彼はとある結論をはじき出した。 「そうだ! マークに押し付けてしまえばいい!!」 弟を優秀な領主として教育するべく、そして自身の自由を手に入れるべくロランの果てのない戦いが始まる。
8 127クリフエッジシリーズ第二部:「重巡航艦サフォーク5:孤獨の戦闘指揮所(CIC)」
第1回HJネット小説大賞1次通過、第2回モーニングスター大賞 1次社長賞受賞作品の続編‼️ 宇宙暦四五一二年十月。銀河系ペルセウス腕にあるアルビオン王國では戦爭の足音が聞こえ始めていた。 トリビューン星系の小惑星帯でゾンファ共和國の通商破壊艦を破壊したスループ艦ブルーベル34號は本拠地キャメロット星系に帰還した。 士官候補生クリフォード・C・コリングウッドは作戦の提案、その後の敵拠點への潛入破壊作戦で功績を上げ、彼のあだ名、“崖っぷち(クリフエッジ)”はマスコミを賑わすことになる。 時の人となったクリフォードは少尉に任官後、僅か九ヶ月で中尉に昇進し、重巡航艦サフォーク5の戦術士官となった。 彼の乗り込む重巡航艦は哨戒艦隊の旗艦として、ゾンファ共和國との緩衝地帯ターマガント宙域に飛び立つ。 しかし、サフォーク5には敵の謀略の手が伸びていた…… そして、クリフォードは戦闘指揮所に孤立し、再び崖っぷちに立たされることになる。 ――― 登場人物: アルビオン王國 ・クリフォード・C・コリングウッド:重巡サフォーク5戦術士官、中尉、20歳 ・サロメ・モーガン:同艦長、大佐、38歳 ・グリフィス・アリンガム:同副長、少佐、32歳 ・スーザン・キンケイド:同情報士、少佐、29歳 ・ケリー・クロスビー:同掌砲手、一等兵曹、31歳 ・デボラ・キャンベル:同操舵員、二等兵曹、26歳 ・デーヴィッド・サドラー:同機関科兵曹、三等兵曹、29歳 ・ジャクリーン・ウォルターズ:同通信科兵曹、三等兵曹、26歳 ・マチルダ・ティレット:同航法科兵曹、三等兵曹、25歳 ・ジャック・レイヴァース:同索敵員、上等兵、21歳 ・イレーネ・ニコルソン:アルビオン軍軽巡ファルマス艦長、中佐、34歳 ・サミュエル・ラングフォード:同情報士官、少尉、22歳 ・エマニュエル・コパーウィート:キャメロット第一艦隊司令官、大將、53歳 ・ヴィヴィアン・ノースブルック:伯爵家令嬢、17歳 ・ウーサー・ノースブルック:連邦下院議員、伯爵家の當主、47歳 ゾンファ共和國 ・フェイ・ツーロン:偵察戦隊司令・重巡ビアン艦長、大佐、42歳 ・リー・シアンヤン:軽巡ティアンオ艦長、中佐、38歳 ・ホアン・ウェンデン:軽巡ヤンズ艦長、中佐、37歳 ・マオ・インチウ:軽巡バイホ艦長、中佐、35歳 ・フー・シャオガン:ジュンツェン方面軍司令長官、上將、55歳 ・チェン・トンシュン:軍事委員、50歳
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