《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》信頼
その後も瀬戸さんと話をして、階段のところではぜえぜえ言って無言になりながらも、なんとか紫首神社の所までは帰って來た。
「ふーっ、往復は辛いなあ」
瀬戸さんがびをする。
「家に帰ったら、なんて言えばいいんでしょう」
「いーのいーの、登校中に私が聲をかけて村を案させられたって事にしよう。私が悪いって言えば香壽君のことは怒らないでしょう?」
それはそうだけど……。瀬戸さんは嫌な目で見られちゃう。
「……もし私が來なかったら、なんて言い訳するつもりだったの?」
「えっと……」
考えて無かった。取り敢えず突っ走って行しちゃったからなあ。
「今回は運が良かったからなんとかなってるけど、次からは気をつけてね」
瀬戸さんがくすくす笑う。相変わらず、瞳はキラキラしていた。
「行こうか」
それからはほとんど喋らずに、梅園家まで歩いた。松園家の家が豪華な事とか、魔除けに南天の木が植えてあるとかは喋ったはずだけど。
「へえ、ここが」
「開けますよ」
玄関扉を開けると、お母さんと男の人の話し聲が聞こえた。何を言っているかまでは分からない。
「お話中? 私行かない方がいいかな」
「あ、じゃあ僕が——」
言いかけた時、スミレさんが顔を出した。
「こうじゅさん! だ、大丈夫でしたか?」
「はい。一応は」
それを聞いて安堵したような表をする。
そしてすぐに隣の瀬戸さんを心配そうに見やった。
「えっと……そちらのお方は?」
待ってましたと言わんばかりに瀬戸さんが口を開く。スミレさんは僕に言ってたんだろうけど。
「瀬戸晴って言います。瀬戸際の瀬戸に、晴れるの晴。寫真家の娘。えーっと、とにかく他の人には何も報は流さないから、警戒しないでね」
スミレさんは見るからに不安そうな顔をした。
「え、えーっと……スミレさん。瀬戸さんは、たまたま紫霊峠の花畑を見に來ただけみたいなんです。それで、村で人が死んでると知って……」
「……しばらく、どこかで泊まるんですか?」
スミレさんが僕に聞いてるとも瀬戸さんに聞いてるとも取れるように言った。
「そうだよ。ここは今は駄目かな?」
「え、えっと……私には……」
「茂さんとこなら泊めてくれるかな?」
僕があっと手を叩いて言うと、瀬戸さんが
「茂さん?」
と不思議そうな顔をする。
「神社の神主さんです。今までも村に來た人達を泊めてたかもしれないので」
「泊めてたかどうかは香壽君は知らないの?」
「はい、僕は最近養子としてこの家に來たので」
瀬戸さんはへー、と相槌を打つ。
そしてスミレさんの方を向いた。
「ごめんね、こんな大変な時に急に來て警戒しない方が無理だよね。私、この村のことを知りたいの。だから香壽君に協力してもらおうと思ってて。あなたの名前を教えてくれない?」
スミレさんは若干恐怖をじたような表をしたけど、すぐに元通りになって瀬戸さんの目を見た。
「松園菫です」
「菫ちゃんね、よろしく」
瀬戸さんは丸い眼鏡の下で、キラキラした瞳をくしゃっと細めた。
心なしか、スミレさんは最初より張していないようにじる。
「さて——お母さんに挨拶してこなきゃだ」
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