《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》打ち明ける

スミレさんは僕の部屋で待っててもらって、僕と瀬戸さんでお母さんの所に行った。

お母さんは、男の人と話している最中だ。スミレさん曰く、朝いた駐在さんとまだ話しているらしい。

「あのぉー、お話し中すみません」

お母さんは驚いたように振り返った。

やつれていて、憔悴した様子だ。

「私、瀬戸晴と申します。瀬戸際の瀬戸に、晴れるの晴です。観でこの村に來たのですが、登校途中の息子さんに村を案して頂き、お禮に來た次第です」

すらすらと言ってのける。

「本來なら學校に行っている時間帯に私がお邪魔をしてしまったので、お母様には申し訳ない限りです。うっかり今日は平日だったことを忘れていまして……。

あのぉ——重ね重ね申し訳ありませんが、私お手伝いでもお仕事でもなんでも致しますので、今日は引き続き息子さんに村の案を続けてもらってもよろしいでしょうか」

あくまでも優しい口調で突っ掛からずに瀬戸さんは言い終えた。人の良さそうな笑みを浮かべている。

「は、はぁ——。お茶をお出ししますね」

お母さんが腰を浮かせる。

「いえいえ、お気になさらずに」

「え、えーっとお母さん……、瀬戸さんとは僕の部屋で話してるから、それでもいい?」

「香壽がいいならいいけど……。いいんですか? その、うちの息子で」

瀬戸さんはキラキラした瞳をにっこりさせて、頷いた。

「お話しの腰を折ってしまったようですみません。どうぞそのまま続けてください」

一禮して瀬戸さんとそこを去った。

廊下を歩きながら、瀬戸さんは大きくため息を吐く。

張したー、ごめんね、お母さんの疲れたところに付け込むような真似をして」

僕の部屋の襖を開けて、瀬戸さんを通した。

なるほど、あのすらすらした喋りはお母さんを圧倒させる為かあ。

「大丈夫でしたか?」

スミレさんが心配そうに聞く。

「大丈夫……だと思うよ」

瀬戸さんに答えられて、スミレさんがちょっとぐ。僕に言ったつもりだったのかも。

「さて、私の詳しい事とかは後でゆっくり話すとして、この村のこと、全部詳しく教えてくれないかな。その後に今起きていること、続いた首吊りの話もしてしい」

僕とスミレさんはお互いの言葉で足りない部分を補いながら、松竹梅の家のこと、紫の目をして産まれてくる子供のこと、それがスミレさんだと言うこと……。

そして聞かれたので、僕達が何を考えて今日祠を見に行ったか、僕が何を見たかを話した。

「墓石……?」

これはスミレさんにもまだ話していなかったので、驚いた顔をする。

「ふーん……それじゃ、まるで死者を祀っているみたいだね。なんて名前が書いてあったかは覚えてる?」

確か——

「松園菫、あと竹園……」

言葉に詰まる。読み方が分からないのだ。

「竹園までは読み方が分かるんですけど、下の名前が、高いの高に壽命の壽でした」

瀬戸さんが渋い顔をする。

「読み方によっては、二人の名前と全く同じってわけだ」

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