《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》旅行
「あの……瀬戸さんはどうしてこの村のことを知りたいんですか?」
僕が聞くと、し言いにくそうに、瀬戸さんは口を開いた。
「私ねぇ、未亡人なの」
重苦しい雰囲気がのしかかる。
「旦那が探偵でね、んな殺人を暴いていた。でも、死んでしまったの。病気……ってことになってるんだけどね、実際はどうだか」
そう言い首を軽く橫に振り、呆れたような素振りをしてみせた。
「結構うじうじしてたんだけど、立ち直ったんだ。それで、久しぶりに旅行でもしようと思って」
——で、最初がここだと。
「せっかくだからあんまり有名じゃない所に行きたかったの。そしたらさあ、ここのスミレの花畑が綺麗だって偶然聞いて。それで來てみたら……これだよ」
村で殺人が起きている……と言うことだろうか。
「正直ね、もうこれは私が解決しないとって思ったの。旦那が出來なかったことを私がやれって言われてる気がしてさ」
相変わらず瀬戸さんの瞳はキラキラしていた。
「こんなじの狹い村だと村の因習や怪談が犯人の隠れ蓑になったりするし、機になったりもするから。だから村のことを教えてしかったの」
その後瀬戸さんは泊まる場所を探すと言って出て行ってしまった。
そしてそのまま夜となった。駐在さんはいつの間にか帰ったらしく、家にはいない。
結構前に帰ってきた姉さん達は、お母さんに瀬戸さんの話を聞かされて盛り上がっていた。
「こんな時に、村の外からお客さんねえ」
花姉さんが呟く。その意図は分からない。
「ねえ千、花姉さん、今日も一緒にお風呂ろうね。あたしこんな時に一人でりたくないよ」
結姉さんはぶるぶるっと震いすると、俯いた。一瞬橫目でスミレさんを見た気がするけど、どうかは分からない。
どうやら花姉さんは、スミレさんのことは好きだけど、梅園家だから押し付けられている現狀が嫌らしい。
結姉さんはスミレさんのことは嫌いじゃないけれど、縄垂らしを異常に怖がっていて、スミレさんのことも居ると不幸があるんじゃないかと怖がっているじだ。
千姉さんはスミレさんの不幸のことはただの迷信と捉えているように見える。そして首吊りに関しては、完全なる殺人と思っている風だ。
お母さんは……よく分からない。何かに怯えているようだけど、それはスミレさんにじゃない気がする。縄垂らしのことも不気味がっているけど、結姉さんのような怖がり方ではなく、偶然にもこの村に伝わる怪談と続いた首吊りの様子が重なった気味の悪さに対してに見える。
そしてとにかく憔悴しきっていた。
「香壽と菫ちゃんも一緒にお風呂っちゃったら? いずれは結婚するんだからさあ」
自分で言っておいて花姉さんが豪快に笑う。
「す、スミレさんが嫌だよ、そんなの」
「香壽はこー言ってるけど、どうなの?」
スミレさんは真っ赤になって俯いた。
「そ……それは……、やっぱり恥ずかしいですよ」
「ほら、スミレさんはの子なんだよ! 男と一緒に風呂なんてれる訳ないじゃないか」
「じゃあ二人は結婚したらどうすんのさ。相思相なんでしょ?」
そう言い花姉さんはもう一度笑った。
橫では結姉さんと千姉さんが仲良く笑っている。
「そりゃあ僕は好きだけど、許嫁なんだから、スミレさんは好きじゃないかもしれないし——」
僕が言うと、し離れた所でお母さんが笑った。
「見れば分かるのに」
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