《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》松園壯一郎

次の日の朝も、雨はひどく降っていた。

起きてから居間に行くと、姉さん達とスミレさんがいる。どうやらお母さんは、まだ寢ているらしい。

「疲れてるよね……」

僕が呟くと、花姉さんは、

「お母さん、優しいから」

そう真顔で言った。

すると何か思う間もなく、玄関の方から扉を叩く音が聞こえた。

かなり焦っている様子だ。

「すみませーん!」

大聲が聞こえる。この聲は……瀬戸さん?

「ちょっと待っててくださーい! すぐ開けます!」

花姉さんが答えるようにんで、行ってしまった。

「瀬戸さん、ですよね」

スミレさんに耳打ちする。

「多分……」

ざわざわしながら待っていると、顔を真っ白にした花姉さんと瀬戸さんが居間にってきた。

「壯一郎さんが……亡くなったって……」

花姉さんが、たった一言、そう呟いた。

「……茂さんと私が見つけたの。村を、案してもらってて……。首を、吊ってた」

瀬戸さんが続ける。明らかにこんなに首吊りが続くのは異様だ。それを皆じているからか、漂う空気に恐怖が濃く滲み出ている。

「場所は? 場所はどこなんです?」

姉さんがたどたどしく言うと、瀬戸さんは、

「お墓の周りに生えてる木だよ」

そう言った。

「そんな……まさか縄垂らしじゃ……!」

姉さんが怯えた表をして言う。

「結ちゃん、大丈夫。もし本當に縄垂らしだったんなら、壯一郎さんは參拝を怠ったってことだよ。結ちゃんがしっかり參拝すれば、大丈夫」

瀬戸さんが優しい聲で言って、結姉さんの背中をさすった。

でもきっと、瀬戸さんは縄垂らしがやったなんて思っていない。

そしてこの中で確実に人がやったと思っているのは、瀬戸さんとスミレさんと千姉さんと僕だ。

姉さんは完全に縄垂らしを信じきっているし、花姉さんは半々だろう。

もし、この村に伝わる怪談の縄垂らしそのものならば、確かに參拝を怠れば出てくるはずだ。

でもきっと亡くなった人達は參拝は怠っていないだろうし、妖怪に殺されたわけでは無いだろう。誰かが殺意を持って、何らかの機で殺した。

……誰が?

その誰かは、いつ誰にその殺意を向けるのだろう。例えば急に僕が殺されるかもしれないし、スミレさんも……。

犯人の頭の中ではもうすでに殺す人を決めていて、その中にスミレさんがっていたとしたら……。

計畫の一つ一つをただただこなすような殺人だ。そこにが働いているように思えないから、人がやっているんだと思ってもどうしても縄垂らしの存在がちらついてしまう。

——気味が悪い。

「取り敢えずさ、皆……參拝に行こっか」

花姉さんのその一聲で、それぞれ立ち上がった。

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