《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》戻らないもの
「え……?」
「お母さん、あたし達が誰だか分かってない」
花姉さんが、ハッキリと、噛み締めるように言った。
「なんで……」
「わっかんないよそんなの! 香壽、菫ちゃんをそこに寢かせて。お母さんを見に來て」
「う、うん」
僕は花姉さんと一緒に、菫さんをさっきまで寢ていた布団に寢かせた。また涙が出てきたけど、何度か瞬きをすると、枯れたように出てこなくなった。
その代わり、の中でぐるぐると黒い何かが渦巻いている。
「あまりにも暴れるからさ……。ごめん、嫌な見た目だとは思うけど」
そう言われて通されたのは花姉さんの部屋だった。椅子に縄で拘束されている。
「來ないで!」
ぴしゃりと、僕に大きな聲が飛んできた。
「この人殺し! こんな風に拘束して、私を殺すつもりなんでしょう?」
怯えきった表で、お母さんはんでいた。
「お母さん……僕は人殺しじゃ」
「お母さん!? いつ私が殺人鬼の子供を持ったのよ! 周りの人だって、みんなあんたと同じなんでしょ?」
そこにいつもの優しい表はどこにもない。
「僕、香壽だよ」
「知らないよそんなの!」
あまりにも話が通じなかったので、僕はし後退りした。部屋を見渡すと、隅っこで結姉さんが泣いている。千姉さんは、歯を食いしばってお母さんの言葉を聞いているようだった。
「花姉さん……」
「……ほんと、どうしちゃったんだろね。……疲れちゃったのかなぁ」
花姉さんが上った聲でそう言うと、蹲った。
この家に、お母さん以外の大人は一人もいない。
……僕が、行かなくちゃ。
「姉さん達、僕、茂さんを呼んでくる」
えっ、とまず花姉さんが顔を上げた。
「でもあんた、言えるの? ……その、菫ちゃんが死んだって」
僕は頷く。
「瀬戸さんに犯人を探してもらう」
それを聞き終えると、花姉さんは僕に著替えを投げた。
「せめて著替えてきな。できたら瀬戸さんも呼んできて。あたし、話がしたいから」
著替えをけ取ると、すぐに著替え、僕は家を出た。紫首神社へ一直線に向かう。
階段も一段飛ばしに、とにかく急いで急いで登った。神社が見える。
神社の橫から裏にると、茂さんがいた。
「おお香壽、どうした」
「……スミレさんが、死んじゃった」
にっこりした笑顔が、すぐに真顔になる。
「それを見てお母さんもおかしくなって……僕達が誰だか分からないって」
渋い顔をして、茂さんは頷いた。
「そうか……。香壽、俺はお前の家へ向かう。お前は參拝してから來い」
「う、うん。瀬戸さんは?」
「瀬戸ちゃんなら中で掃除してくれてるから、呼びたいならっていいぞ」
そう言って、茂さんは行ってしまった。
僕は玄関の中にる。ここは一度見たことがあった。なぜなら、僕がこっそりったから……。
「あ、あの、瀬戸さーん?」
呼んでも、しーんとしている。
「香壽君」
急に背後から聲がして、僕は飛び上がった。
「ね、ねえ、菫ちゃんが死んじゃったって、本當?」
瀬戸さんの瞳のキラキラが無くなっていた。
「いや……言わなくていいや。ごめん、香壽君が一番辛いよね。噓つく訳無いんだし……。ねえ香壽君……犯人だけど——」
「すみません」
僕は頭を下げる。額をつたって、汗が地面に染みをつくった。
「僕、スミレさんのこと考えるだけでも辛くて……。犯人のことなんて、考えられないんです。でも瀬戸さん、瀬戸さんがいいなら、犯人を見つけて捕まえてやってください。……そして僕に教えてください。犯人が誰だったか」
顔を上げると、瀬戸さんは僕をしっかりと見據えていて、その目はいつにも増して煌めいていた。
「ごめんね香壽君。菫ちゃんを守れなくて……。でもありがとう。犯人絶対……捕まえるからね」
瀬戸さんに抱きしめられた。懐かしいじがした。
親って、こんなじなんだろう。
が離れたとき、瀬戸さんの頬を涙が伝うのが見えた。
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