《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》神病院

僕は參拝をして、その後瀬戸さんと家へ向かった。

中にると、お母さんと結姉さん、千姉さんがいる部屋とは別室で、花姉さん茂さんが険しい顔で何か話していた。

「……お、香壽。瀬戸ちゃんも。ちょっとってくれるか」

「う、うん」

僕達は頷いて、その部屋にる。

梨さんがな……、ちょっと、まずいんだよ。……花ちゃんが食事を食べさせようとしても、水を飲ませようとしても、怯えて絶対に口にしないんだ。これだといつ死するか分からんだろ」

茂さんは、苦蟲を噛み潰したような顔をした。

「……それでね、香壽。茂さんと話してたんだけど、お母さん……、隣の村の神病院に院させようって」

また、心のどこかが重くなるのをじた。

きっと僕が何を言ったってお母さんは神病院に行くし、実際そうするしかお母さんを生かす方法はないのだから。

仕方がない。

僕は小さく返事をした。

「あのぉ……神病院のことなんですけど」

瀬戸さんが、隣で小さく手を挙げた。

「私が言うのも変ですけど、茂さんがついて行ったらどうですか。梅園家は今花ちゃんが大変ですし……。汽車で行けばなんとか日帰りでできますよね? その間なら、私と鈴子ちゃんで神社はなんとかできますよ」

茂さんが、ちょっと困ったような顔をした。

「茂さん、あたしからもお願いします。うちはもう大人がいないし、お母さんを任せられる大人は茂さんしかいないの。お金は、うちで出すから……」

「分かった。俺が行くよ。……暴れるだろうから、他の大人も連れてく。ただし金はお母さんの分だけな。俺らのはいらない」

「ありがと……」

「ちょっと、結ちゃんと千ちゃんにも言ってくるよ」

「うん」

そう言って、茂さんは行ってしまった。

「瀬戸さん、ちょっといいですか」

花姉さんが瀬戸さんに言う。

「もちろん。香壽君は……」

「……スミレさんの所で待ってます」

今、誰がやったかの話は聞きたくなかった。

席を外して、お母さんの部屋に向かう。

布団に寢かされたスミレさんが見えた。

相変わらず綺麗で、でもってもしも溫かみがなくて、首には痣があって。

痣の形が、まるで花のようだった。紫のスミレの花。……普通に首吊りをしただけで、どうしてこんなにも綺麗に痣がつくのだろう。

「スミレさん……」

呼びかけても返事があるはずはなく。

初めて會った日、僕がスミレさんに一目惚れをした日。

『この村は、呪われているんです』

思い出を振り返っていると、スミレさんのそんな言葉を思い出した。

呪われた村。

それは、もしかしたら間違いではないのかもしれない。逢園村は、確かにおかしい気がする。

それでも、この村でスミレさんと結婚して、ある程度幸せに暮らせればそれで良かった。

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