《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》犯人
耐えきれなくなって、僕は部屋を出た。
居間に皆がいるようだ。
「あ、香壽君」
瀬戸さんが振り返る。
「あの、もしかして犯人——」
「分かったよ」
瀬戸さんは、しっかりとそう言い切った。
でも、表は暗い。
「聞いてもいいですか?」
「うん……、ここの皆にはもう言ってあるからね」
家族全員が、張したような表をしている。
瀬戸さんはちょっと辺りを見回して、それからゆっくり口を開いた。
「桃園……茂さん」
張り詰めていた糸が、ぷつんと切れたように、僕の中の張が途切れる。やっぱりか、という気持ちと、どうしてだろうという気持ちがり混じっている。
「機は分かったんですか?」
瀬戸さんは、靜かに頷く。
「機は家のれ替わり。竹園裕一さんが、茂さんに依頼していたの」
「え……っ」
僕は考えを巡らせる。この前話したとき、家のれ替わりを機とすると、僕のお父さんを殺す理由が無くなると言っていた。
「じゃあなんで徳郎さんと菫ちゃんは亡くなったか……だよね? 家のれ替わりを機とした殺人は、竹園將太さん、松園浩一さん、松園壯一郎さん。そしてそれは全て裕一さんの依頼をけて、茂さんが実行した。その依頼外の、茂さんが持つ機で実行した殺人が、徳郎さんと菫ちゃんだよ」
心臓がドクドク鳴る。
「茂さんが……? 茂さんが、お父さんとスミレさんを殺そうと思って殺したってことですか……?」
信じたくないような気持ちでそう尋ねると、頷かれた。
「茂さんは裕一さんの殺人を実行する代わりに、自分の・機・から來る殺人を裕一さんに協力してもらっていた。警察の見張りを梅園家に付けなかったり……ね。それをやったのが茂さんだと、ちょっとおかしいと皆も思うでしょ。だから、違和のないように裕一さんがやったんだよ。そうして、菫ちゃんを殺しやすくした……」
茂さんが、と思うと、が苦しくなる。
スミレさん、茂さんとはちゃんと話せてたのに。信用していたのに。
「ど、機は……?」
「これは本人に直接聞いたことだからね。……いい?」
「は、はい」
僕がそう答えても、瀬戸さんは遠慮がちに姉さん達を見渡して、視線で許可を求めているようだった。
花姉さんが頷く。
瀬戸さんはそれを見て、噛み締めるように言う。
「香壽君と、菫ちゃんが結婚するのを防ぐ為」
思わず、聲がれた。
どうして……?
なんで、僕とスミレさんが結婚するのを防ぐの?
「分からないよね。私も、全然分かんない。ただね、茂さんが言うには……、鈴子ちゃんが、香壽君のことを好きだったらしいの」
頭が痛くなる。
「本當、そんなことでどうして殺そうだなんて思うんだろうね。おかしいよ……ホント」
俯いた瀬戸さんの聲が震えている。
「鈴子ちゃんもさ、きっと、めてほしくて茂さんに相談したんだろうね。菫ちゃんを殺してまで香壽君と結ばれようとは思わなかったと思うよ。それなのに……自分の父親が人殺しになって、責任をじるのは鈴子ちゃんになるって、思わなかったのかなあ」
震えた聲で、茂さんへの怒りが滲んだ聲で、瀬戸さんは言葉を紡ぐ。
「茂さんはもう、捕まったんですか?」
「うん。……だから、これで終わりだよ」
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