《首吊り死が呪う村、痣のスミレの狂い咲き》手紙
嵐が來ていた。バチバチと激しい音で、屋に雨水が打ち付けられている。
もう一年くらい前に、瀬戸さんと一緒に逢園村から施設に戻った。その時に瀬戸さんは村の歴史について話してくれた。茂さんからの聞き出しと、神社の資料を読み漁ったらしい。
その後、新しい両親の元に引き取られ、今に至る。
お父さんもお母さんも優しくて、普通の家。ペットに犬がいる。僕はこの家にそこそこ馴染んできていた。
姉さん達とは、手紙でやりとりをしている。今のお母さんとお父さんにもそのことは話しているし、快く承諾してくれた。
しかしここ最近天気が悪く、嵐が來ていた。僕が今住んでいるところはあまり被害が出ていないけど、どうやら逢園村の方は相當危ないらしい。
安否の確認で手紙を出したんだけど、まだ返事は來ていない。
……皆無事かな。
僕は家の中でたった一人、雨音を聞いていた。両親はこれ以上天気が悪くなる前にと食料を買いに行っている。あと正確にはペットの芝犬、もちがいるけど。
そんなつまらない音の中に、カラン、とすっ、と乾いた音が混じった。
玄関の方だ。僕が見に行くと、淡い黃の封筒が落ちていた。差出人は——瀬戸晴。雨でインクが滲んで読みにくい。
瀬戸さんから……。何の拠も無いけど、僕はなんだか騒ぎがした。
ダッシュで部屋に戻って、扉を閉める。バタンと音が鳴り、もちの驚いた聲が聞こえた。
『南香壽様』
南。僕の新しい苗字だ。
ビリビリ封筒を破って、僕は中を取り出した。
『久しぶり、香壽君。元気ですか? 元気ならいいんだけど、今日は大事な話があるの。最近、嵐が酷いことは知ってるね? それが逢園村が特に酷いらしくて、心配になって手紙を書いたんだ。でも返事が來ない。』
僕と同じことをしている。
『それで、逢園村の隣の村に行ったの。そしたら村の人達の様子がおかしい。変だと思って、その日は宿を借りておばさんに聞いたんだ。そしたら……
逢園村の住民全員が、首を吊って死んだって。
土砂崩れやら何やらで危なくて、逢園村には行けなかったんだけど、警察の人に聞いても同じ事を言っていたよ。村人全員が首を吊って、ね……。あまりにもあり得ない話で、ぞっとした。
心當たりがあるんだけど、嵐で神のった祠が壊れちゃったんだと思う。それでね、香壽君……。梨さんも、亡くなってたの。首を吊ってね。茂さんみたく、服を繋いで作ったっかで、ドアノブで首を吊ったらしい。』
そこで、一枚目を読み終わった。次を読むのが怖い。
冷や汗を流して淺い呼吸をしながら、僕は恐る恐る次の紙を捲った。
- 連載中945 章
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魔法使い。 それは魔法を駆使して戦い、守り、救う超越者。 だが、魔法使いの世界は才能が物を言う。長く続く魔法の歴史は才能ある一族だけを拾い上げ、今では魔法使いは貴族のみとなった。 ここマナリル國でもそれが常識。 マナリル國有數の教育機関であるベラルタ魔法學院には今年も優秀な魔法使いの卵が集まっている。 そう、一人を除いては。 一際目を引く素樸な少年。 煌びやかな世界とは無縁の田舎者。 そこにいたのは學院唯一の平民だった。 "魔法使いになりたい" 魔法になりきれない魔法の使い手による夢を葉える物語が今始まる。 ※この度KADOKAWA様から書籍化する事となりました!11月13日発売です! ♢ 第五部完結しました! 第一部『色の無い魔法使い』完結。 第二部『二人の平民』完結。 第三部『初雪のフォークロア』完結。 第四部『天泣の雷光』完結。 第五部『忘卻のオプタティオ』完結 第六部『灰姫はここにいる』完結。 第七部『氷解のミュトロギア』完結。 第八部『翡翠色のエフティヒア』完結。 第九部『呪われた魔法使いとお姫様』完結。 第十部前編『星生のトロイメライ』更新準備中……。 第十部後編『???』 王道ファンタジー、だと思います。
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