《ブアメードの》18
ジョージ・クリスは困っていた。
埼玉県郊外、中規模の公園の遊歩道。
初夏にしては出の多い、若くしいに目を奪われた。
思わず、からぶら下げていたミラーレス一眼レフカメラを向けそうになるほど。
<盜撮になるかな>
ジョージが躊躇ったのも束の間、そのが近付いてきた。
ジョージは戸いながらも自分の思いを悟られまいと、視線を外した。
そうしてすれ違う瞬間、そのが急によろけて、ジョージにぶつかった。
の持っていた紙コップのジュースが、もろにジョージの元のカメラに引っかかった。
確認してみると、やはり故障していた。
そのは平謝りし、クリーニング代も合せて弁償させてほしいと、驚くほど流暢な英語で言ってきた。
ただ、今は持ち合わせがないので、連絡先を教えてほしい、とも。
日本がとにかく好きで、趣味となっていた。
その範囲は伝統文化から所謂オタク文化まで、幅広い。
元々、風景などの寫真とCGを融合したアートの創作活をしていたが、その趣味が高じたのもあって、去年から帝都蕓大學へ留學。
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今もその元となる寫真を撮り、帰ろうしたところだ。
ジョージは諦めきれず、カメラの電源を何回もり切りしてみた。
だが、うんともすんとも言わない。
メモリまでは濡れていないので、データは死んでいないかもしれないが、カメラ自はそれなりの値が張るものだ。
こんなに弁償させるのは気がひけるが、自分で直すにも留學中で余裕のないとしては辛い。
ジョージは、自分はフランス人で、英語よりも日本語の方が話せるからと、日本語で會話を進めた。
そして、そのに、スマートフォンの電話番號と、できれば親さんから連絡をしてほしい旨を拙い日本語で伝えた。
その日のうちに、そのの親と名乗る人から電話があり、次の日會うことになった。
約束した場所は多川臺公園。
調べて行くから大丈夫、と言ってしまったが、案外遠い場所だった。
多川駅を降りてすぐに見つかったが、あまり人気がない。
<あのの家の近くかな?
どうして、こんな公園に呼び出されたのだろう>
土地勘のないジョージは戸ったが、それでも気を取り直して、スマートフォンで寫真を撮り始めた。
ありふれた公園でも、ジョージにとっては何もかもが作品の原石になるように見えた。
「クリスさん?」
後ろから、電話で聞いたのと同じしゃがれた聲がした。
振り向くと、その聲からの想像とかけ離れた人が立っていた。
一通りの挨拶を済ませると、新しいカメラを買っても余るほどの現金のった封筒を渡された。
また気がひけたが、の親は、自分のSNSを見て作品を気にった、蕓に関心があるのでそれでもっといいカメラを買えばいい、などと言って譲らない。
さらに、こんな所まで呼び出してしまったので帰りは送ってくれる、とも言う。
車は黒いセダン型の高級車、レクス。
裕福な家庭なのだろう。
その車には先日のが乗って待っており、聲を掛けてきた。
ジョージはし躊躇ったが、このにもお禮がしたいと思い、送ってもらうことにした。
走り出した車の中では、また會えてうれしいと、話を弾ませた。
それから、車に備え付けられたクーラーボックスを開け、飲みを勧めてきた。
缶やペットボトルが六本ほどるスペースに、ジュースやコーヒー、それにお酒まである。
ジョージはペットボトルのジュースを選んだ。
よく冷えたは、ジョージの乾いたを潤したのち、眠気をった。
やがて車は、都とは反対方向に緩やかに進路を変え、走り去った。
それからほどなくして、一人のフランス人留學生が行方不明となったと、ちょっとしたニュースとなった。
醫者が拐したのは、この留學生を除き、外國人実習生や不法滯在者がほとんど。
行方不明になっても、話題にならない者ばかりだったので、それらはニュースになることはなかった。
結局、醫者が拐した人數は、先の中國人とアメリカ人、そして一志を含め、全部で十三人となった。
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