《ブアメードの》24
坂辻司は、焦っていた。
部活から帰った自分のアパートの部屋。
先にあった池田からの電話で"宿題"をやろうと、一志と同期のOBの名簿を探していた。
その途中、有馬が部屋にやって來て中斷、軽く夕食を一緒に済ませた後のことだ。
有馬がいじっていたタブレット端末を見せてきて、すごいものがヨウツベにアップされている、という。
それは、見覚えのある映像だった。
ただし、"出演者"が違う。
映研に送られてきた映像と同じシチュエーションで、外國人と思われる人が拷問をけていた。
『外國人をゾンビにしてみた~フランス人編:パート1~』
というタイトルと共に、説明欄には拷問をけている人のものと思われる、氏名、出國、職業、失蹤日時がフランス語と日本語で併記されてある。
「どうなってんだ、これは…」
坂辻が映像を食いるように見つめた。
映像に映っている人は、お互い英語で話しているが、拘束されている方は時折、フランス語が混じる。
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畫面の下にはご丁寧に日本語とフランス語の字幕が付いており、何を言っているのかわかった。
「あなたをゾンビにする…」
「ウィルスを作製した…」
「ウィルスは人間ので作られている…」
言っている容は、映研の映畫のものとだいたい同じだ。
ただ、違う點が一つ。
醫者は自分をイギリス人と名乗っていた。
坂辻は自分のスマートフォンを取ると、表記された氏名を検索にかけた。
『ジョージ・クリス フランス人』
焦って力を何度も間違えながら、やっと検索欄に打つ。
「帝都蕓大學のフランス人留學生が行方不明」
「フランス人留學生失蹤から一週間 未だ手がかりなし」
「フランス人留學生 不可解な失蹤 山で遭難か」
一年ほど前の記事がヒットし、いくつか読んでみた。
その容はどれも、留學生が寫真撮影に行くと出かけたまま行方不明になっている、というものだ。
「これ、うちの映畫と同じだよね」
側で見ていた有馬が、あっけらかんと言った。
「マジかよ。これ、本當ならやばい…
フランス人編ってことは、他にもあるのか」
坂辻は有馬を無視して、さらに自分のスマートフォンでヨウツベを起する。
『外國人をゾンビにしてみた』
スマートフォンに検索結果の一覧が表示され、その中に問題の映像を見つけた。
「1時間前って、さっきアップされたばかりじゃないか」
投稿者の名前は、『Scripture』。
坂辻はそれをタップしてみる。
だが、この登録者がアップしたものはこれだけのようだ。
坂辻は映研に送られた畫と全く同じものはないことに、一先ずをで下ろした。
「でも、どういうことだ…うちに送られてきた映像は先輩らが作ったものじゃないのか…」
「うちの先輩がこの外國人の人に同じことしてた、ってことじゃないのかなあ」
「外國人の人って言い方、おかしい。
って、それより、お前はことの重大さがわかっていないのか?
これが、本當にフランス人を拐した畫だとしたらどうすんだ?
イタズラだとしても、本當に行方不明のフランス人の名前使ってんだから、たちが悪過ぎる。
この映像がうちの流した映畫と同じ容、って世間にわかったら、真っ先に俺らが疑われるんだぞ?」
「え~、そうなの?だってボクたち何も知らないじゃん。
悪いのはDVD送ってきた先輩でしょ?」
「結局、誰が送ったかわからないじゃないか。
どっちにしろ、映像使った責任は俺になる…
あ、やっぱり佐藤さんの件、本當に拐だったのかな…
妙に映像がリアルだと思ってたんだよ。
くそ!やばいやばいやばい、どうしよう…」
「何も悪いことしてないのに、罪になるの?」
「罪になるかどうかは知んないけど、これ本當に拐して拷問してんなら、犯罪だろ?
その犯罪者が撮った映像で俺ら、映畫作ったことになるし…
俺らのやったことは、犯罪者の幇助をしたことになるんじゃ、ああもう!
なんでお前はそんなに呑気にしてられるんだ!」
「俺らって言われても、ボク、知らないもん」
「お前も部員だろ?
部長の俺が一番責任重いかもしれないけど、部員も絶対、事聴取とかされて、世間じゃ犯罪者扱いされるよ、きっと。
顧問の丹下先生とか、下手したら大學の理事とかも引っ張り出されて謝罪會見するようになるかもしれない…
ああ、俺の人生終わった…」
坂辻は頭を抱え込んだ。
「どっちにしろ、もうじき、みんなの人生、終わるから…」
有馬がぼそりと言った。
「え?今、なんて言った?」
「みんなの人生、終わりだねって」
「そもそもお前だって、この映像おもしろいからぜひやりましょうって…
そうだよ、あの時、やたら推してきたのお前だろう!」
「え~、人のせいにするなんて、ひどーい。
確かに言ったけど、ノリっていうか、本當におもしろそうだったしー。
つー君もみんなもやる気満々だったじゃなーい」
「そうだけど…あ、ちょっと待てよ、今日、警察が來たのは、このことを探るためだったんじゃないのか」
「え、刑事さんは角野さんとそのお友達のことだったでしょ。
映畫のことは全然訊いてこなったし、この映像アップされたの、さっきみたいだし、たまたまじゃない?」
「うーん、どっちにしろ、まずいことには変わりないからな…
あー、そういや、あのDVD、見つからないままじゃん。
どうしよう、証拠隠滅って思われないか。
あー、それにブルーレイ、あの探偵に渡しちゃってる…」
「心配し過ぎだよ…
そうだ、だったら探偵さんに相談してみれば?
刑事さんのお友達みたいだったじゃん。
悪意はなかったって、探偵さんなら、わかってもらえると思うよ」
「うん?そうだな…それ、いいかも。
俺ら協力的だったし、きっと探偵にも佐藤さんの妹にも好印象だったよな?
それと、そうだよ、弁護士。お前、いい弁護士知らないか?」
「弁護士なんて知る訳ないじゃん。
それにこの時間だよ。
弁護士は明日にして、とりあえず、探偵さんに電話でもすれば?」
「それもそうだ」
坂辻は、揺しながらも、しゃべることで頭を整理しながら、徐々に落ち著きを取り戻していった。
スマートフォンを作して先ほどの著信履歴を呼び出し、池田にかける。
「くそ、話し中だよ」
「ねえ、つー君。それより、これ見て。
『帝薬大の學祭でやってた映研の映畫と容ほぼ一緒って、友達が言ってる』ってコメが書き込まれたよ。
ほら、ここ…あ、ママから電話、ちょっと見てて」
有馬はあっけらかんと、タブレットを坂辻に預けた。
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