《Fog HOTEL》第二章 正 ~3~
極度の恐怖と張から、棒のように固くなった足を必死にかし私は逃げ続けていた。そんな私の後ろから風が舞うかのような軽快さで彼らは追いかけてくる。命からがら逃げる私を嘲笑っているかのように
「そんなに遅いならお前を捕まえ喰らってしまうぞ!」
そう零士は更に恐怖をかきたてるように大聲でんだ。
青黒い瞳をし揺らし零士の後ろを走っていた青空は、先ほどのの言葉を反芻していた。【を吸わないとどうなるの・・・?】頭の中でその言葉が何重にも渦巻いて響く
「を吸わないとか・・・・・」
青空はボソッと呟いた。それを聞いていた歩夢は青空と走りながら
「神に答えを問う機會なのかな・・・・の奧にしまっていた事を知れるのかな・・・」
辛そうに言う歩夢に青空は一瞬考え込んだが、まで出かかっていた言葉を飲み込み直ぐに笑顔で
「歩夢はすごいな!んな事を考えていて、俺なんて生きてくだけで一杯やからさ」
青空の言葉に歩夢は驚いた顔を見せたが安心したよかのように微笑むと
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「青空、ありがとう・・・・目の前の事に頑張らないとね」
青空は歩夢の様子に安心したかのように頷くと
「なら、本気になりましょうかね」
青空は自嘲気味に言うが、歩夢にとってそれが心地よかった。この暗闇に居るのは一人ではない・・・・もし、自分が俯くことが事があっても誰かが顔を上げさせてくれる・・・
だから、自分も仲間のためにと歩夢は決意をし仲間に追いつこうと足を進めたのだった。
私は、自分の命を守ろうと必死で頭を使い震える腳をかし逃げていた。彼らをかくするために使ってない扉をわざ開けて置いたり、扉をっても直ぐに出ると違う部屋に逃げたりと、この狀況下で考え得る全てを手あたり次第に行い逃げ回っていたが、しかし彼らは弱い私をいたぶるかのように目の前に突然現れて脅かし、誰も居ないと安心した私の前に立っていたりと、彼たちも楽しみながら私を追いかけていたのだった。
どれぐらい逃げ回っただろうか、私はある部屋の小さい棚の中で息を殺してを隠していた。私の頭には、朝になれば助かる。そう壊れそうな自分の心を保つために祈りを捧げ続けていた。
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「神様・・・・・」
瞳から溢れそうな涙を必死で抑えながら祈っている私の耳に
「殘念やけど、どんなに隠れても無駄やで・・・俺達にはの匂いで分かってしまうからな」
興を抑えられない零士は大聲でび始めた。
その聲で私の鼓が速くき始める。それが彼らに聞こえないかと不安になるほど
必死で両手を口に當て呼吸すられないように抑え隠れ続けていると
「みんな、申し訳ないのだが俺にし任せてくれないか・・・どうか、俺の頼みを聞いてしい・・・・」
歩夢は、が隠れている棚の前で集まっている仲間に伝えると、靜かに頭を下げた。
「歩夢、どう言うことや?ここまで追い詰めて、もう手が屆くってとこなんやで!
まさか、獨り占めするつもりじゃないやろな!」
突然の歩夢の提案に零士は怒りをあらわにさせると歩夢のぐらを摑んだ。
しかし、歩夢も一歩も引くこともなく零士をキッと睨むと
「俺は、誰に何を言われようが、神の救いを信じたい・・・この様な俺達でも救いがあるのかを・・・・そのために任せてしい・・・」
その歩夢の言葉が零士は激昴し、ぐらを摑んでいた手を振り払うと歩夢を壁に叩きつけた。
「俺らに神なんて必要ない!あの時も、今からもな!」
そう怒鳴りつけると怒りに任せて歩夢を毆りつけようとした時だった、零士の毆ろうとしていた右手を優は軽々とけ止めると
「やめろ・・・俺たちのルールその1喧嘩は止を忘れたのか?」
冷たい低い聲で言うと、零士は驚いたように手を下げ後ろに下がった。
その姿を見ながら、床に座り込んでいる歩夢の方に優は進むと
「歩夢、お前に任せてもいいんだな?お前を信じても・・・?」
その優の言葉を聞くと歩夢は瞳を深紅に輝かせ強い口調で
「信じてしい・・・お願いします・・・」
そう言い歩夢は深々と頭を下げた。頭を下げ続ける歩夢の姿に優はため息をつくと
「分かった、今回はお前に全てを任せる・・・」
そう言うと、座り込んでいる歩夢に手を差し出し立たせた。優が振り返ると他の仲間は納得がいかないのか怪訝そうな顔をしていた。そんな仲間に喝をれるように
「文句があるなら後で聞く、あと、仲間を信じられないのならホテルから去っていけ・・・」
優の厳しい言葉を聞いて、皆の口からため息がれていたが優は気にすることなく歩夢に無言で合図を送った。すると仲間は霧と変わって消えて行ったのを歩夢は見送り、自分一人になるとが隠れている戸棚の扉をゆっくりと開けたのだ。
恐怖に震え、汗と涙で汚れている顔の私を見ると、辛そうな表になったが何かを追い払うかのように首をふると、靜かにしゃがみ私と同じ目線に合わせると私にこれ以上の恐怖を與えないように、落ち著いたゆっくりとした口調で話し始めた。
「貴が、もし神ならば貴に問いたい・・・俺たちは、どうしても答えを知りたいのです」
彼の真面目さの中に隠れている必死さを私はじていた。そして何故か不思議なほどに彼の聲に私の心は落ち著いて來る。あれほど、怖い目にあわされたのに彼の前では恐怖が徐々に消えていくのだった。
「勘違いされていると思うけど・・・私は神ではないです・・・・」
恐怖が消えていているが、私の聲は微かに震えていた。そんな私に小さく笑うと
「なら、貴に問いたい。我々がこのから救われる方法を・・・・、そして・・・・なぜ我々がいるのかを・・・・」
その言葉を聞いて、彼は何年もの間この問いを考え続けていたのだったのだろ・・・・
そんな彼が哀れで、どうにかしてあげたいと思ったが、これ程に難しい問いに私が答えられるはずがないのだった。二人の間に沈黙が流れ続けていた、時間だけが無に過ぎていく
だが彼は怒ることもなく、すがるように私の答えを待っていた。その姿が余計に私の心を焦らせていく、なぜ私はこれほどまでに無力なのだろと実した時だった。
私の口が誰かに導かれるように勝手にき出したのだ
「神は言っておられます・・・が全てを救うと・・・・」
この不思議な現象に私は驚き口を押えた。何が起きたか理解できなかった。
すると、歩夢はゆっくりと立ち上がると、何かを揺したのかフラフラとしはじめ
「・・・があれば、我々の存在も行為も許される・・・・」
そう呟きながら苦しそうにを押えた。すると歩夢の周りに霧が発生したかと思うと彼らが次々と現れたのだ。
「って、どういう意味や?」
青空は聞いていた意外な答えに驚いたように言った。
「なら、この恐怖心も・・・がないから・・・?」
快は自分の奧底にある何かを思うように呟くと、また私の口が勝手にいたのだ。
「は全てを許し慈しむ・・・・・それが神の・・・」
私は、また急いで口を押えた。この現象に自分自が恐怖をじていた。
「神は俺たちをしてないと思っている、だからこんなになったのだからな」
は冷たく言い放った。そのの言葉と表を見て彼らの悲しみを初めて知ったのだ。
「もう、ええ・・・そこまでや・・・」
優は、の肩に手を置き仲間に言い聞かすと、私の前に歩み寄って來た。
「その言葉が正解なら、貴は我々をして救ってくれますか?その言葉の通りに・・・」
優は微笑みながら言った。彼が私に何を伝えようとしているのか私には分からなかった。
そんな私を見據えながら更に続けた。
「それしか貴が救われる道はないのですよ・・・・」
その言葉を聞いた瞬間、今までにじた事のない恐怖が私に走った。
そう、死を待つだけの恐怖を・・・・
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