《Fog HOTEL》第二章 正 ~5~
私が歩夢を助ける様子を誰もが靜かに見守っていた。彼ら自も歩夢を助ける手段はそれしかないと分かっているのだろ、だからこそプライドも捨ててでも私に任せていたのだ。
しばらくすると、歩夢がゆっくりと目を開けた。彼は何が起きたか把握できずにしばらくの間、力なく天井を見つめていたが、仲間は歓喜し次々に喜んでいた。
「歩夢、傷は大丈夫?」
ずっと背中を支え続けていた快が歩夢に優しく尋ねると、歩夢は頭を手で抑えながら頷いたが何かに気が付いたかのように手を見て顔を変えたのだ。
「こ、これは!!!!!」
歩夢の背中から快もその手を見て顔を変え、支えていた手を離しフラフラと後ずさりすると、震えながら座り込んでしまったのだ。二人の姿に何が起こったのかを心配し、他の仲間も驚き近寄ってくる
「快、どうしたんや、何があったのか!」
そう言いながら零士も歩夢の手を見るなり、快同様に衝撃をけたように顔蒼白になりながら
「歩夢の手だけが、傷を負った部分だけが人間に戻っている・・・歩夢が人間になろうとしている・・・」
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その零士の言葉を聞いて、皆は歩夢の手を見て現実をけれられず立ち盡くしていた。
しかし、零士は嫌悪を現すように怒鳴ったのだ
「なんで今さら人間なんかに!!!!!!!!」
怒りをわにイライラして頭を掻きむしっている零士の橫で今まで何かを考えていたは、歩夢の手を見つめると
「これは、我々が吸鬼として存在することは許されないってことやろうな・・・」
の言葉を聞いて、優はゆっくりと歩夢の前に屈み歩夢の手首を持つと、靜かに人間に戻った手を一瞥すると考え込んだ。
「絶対、俺は納得できん!!!!!」
零士は怒りにまかせて壁を叩きながら言う
歩夢は、人間に戻った手を見つめながら悲しそうに涙を流していた。
今の自分をけれられない事に、それとも仲間と違うになってしまった事になのか・・・
歩夢の手だけは溫もりを得ていたのだった。そんな歩夢の前に恵吾は立つと
「一回、冷靜になろう!イライラしていたら、解決法も見つけられんやろ?」
みんなをなだめる恵吾の言葉を聞いて、誰もの口からもため息がこぼれたのだった。
私はそんな彼らを見つめ、流れ続けるを止めようと左手で押さえていたが、深く切ったは止まることはなかった。時折それを飢えた彼らはしげに見つめていたのだ。
私は、その貪な瞳に彼らが吸鬼だと再認識する。だが、彼らは私のの痣で襲うことはできない。私はこの戦いに勝ったのだと確信していた。
誰もが黙って俯いていると、立ち上がった優が靜かに口を開いた。
「恵吾の言う通りや・・・落ち著いて考えるべきだと思う・・・」
優は靜かに語り始めた。
「これで、俺たちに3つの選択が出來た・・・・」
優の言葉に誰もが驚きの表に変わった。
「3つの選択って・・・・」
青空は何を言っているか分からずに尋ねると、優は口角を上げて笑い仲間に伝え始めたのだ。
「1、 こののを食さずに殺して、俺たちは吸鬼のままでいること」
優の提案を誰もが口を挾むことなく靜かに聞いていた。
「2、 を今まで通り獲としてを食し人間に戻ること」
二つ目の提案がでると、皆は考えるように各々が上を見たり床を見たりした。
「3、 我々の吸鬼の能力を使い、をり人形にすること」
3の提案を聞いた瞬間に、快は驚いた表で優の前に駆け出した。
「それは・・・彼を・・・・そんなこと・・・」
快は気持ちが整理できずにしどろもどろになっていると、零士が快の肩を摑み前に出る。
「優くんの提案は分かった、このを仲間にするか、殺すかの選択をしないと俺らの生存が危ういからってことやろ?」
零士は優に確認するよう言うと、私を一瞥し悔しそうに睨んできた。
「どういうことなん、俺には理解出來ないやけど・・・」
青空は焦燥から仲間に尋ねると、橫に立っていた恵吾が笑いながら
「彼が神やとしたら、その神を仲間にしたら安全やろ?逆に仲間に出來ないなら神を殺さないと反対に俺たちが消滅する事になるってことや」
恵吾の言葉に青空は納得したように頷いた。
「なるほどね・・・それを俺たちが選ぶってことやな・・・」
も考えながら呟くと、快は不安な様子で
「皆は、どれを選択するの・・・・」
快にはこれから待ちける運命がどのような結末を迎えようとしているのか不安で仕方ない様子だった。自分だけが違う選択をしたら、と今にも泣きそうな子供のように私には見えたのだ。そんな中、床に座り自分の手を見つめ続けていた歩夢がやっと口を開いた。
「また、選ぶ時が來たのだね・・・あの時のように・・・」
歩夢は何百年ぶりかに戻った、自分のの通った手を見つめていた。
この溫もり、手にあたる空気にさえ懐かしさをじていた。
そんな歩夢を優は冷たい瞳で見つめていたが、ふいに顔を上げて仲間の方に向けると
「は選択が決まるまで、特別室に監する!」
優の號令に、彼らの表が冷酷なそれに変わっていくのを私は見逃さなかった。その瞬間、私の脳裏にはキラキラとオレンジに染まっていくキャンプ場とそれを二度と見ることが出來ない絶を悟り、恐怖に怯えながら本能的に走り出したのだ。
神の導くままに、神が守ってくださっている。だから、今度こそ自分の運命を切り開くために、このホテルから逃げ出そうと心に言い聞かせていた。
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