《Fog HOTEL》第三章  ~2~

快と青空の二人も、自分のルーツ、心の拠り所など、誰にも知られたくない事を互いに心の奧深くにしまい込んでいる。その誰もが抱えている真っ黒いドロドロとしたものがあふれ出してきていることに揺していた。このがいつかバレてしまうのではないかと・・・・

そんな二人に気にすることなく零士は、棺の周りを足音を響かせながら歩き回り始めると

「さぁて、お嬢さんはどこに隠れているのかなぁ・・・・」

そうわざとらしく言いながら部屋の隅々を確認し始めた。

私の隠れている祭壇の側まで歩いて來たが、私に気づくことはなく離れて行く。その様子に彼らには私の居場所は分かってないと確信した。

部屋中を探し続けている零士の様子に青空と快は驚いていた。

「零ちゃん・・・・」

快は心配して零士を追いかけ彼の腕を摑むと

「あぁ!何もかもが面倒くさい、答えなんか勝手にでるわ!その前に獲を捕まえるだけや!」

零士は苛立ちながら、快の腕を振り払い睨みつけた。快は臆したように腕を離すと、零士はため息とともに再びを探し始めたのだ。その様子を見て、快の瞳は悲しみに染まる。

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「零ちゃんは、何も変わってないね・・・」

ボソッと言った快の言葉に零士の足が止まった。

「そう・・・あの時も、零ちゃんが飛び込んで行ったから、みんなはこの様なに・・・」

快の言葉に零士は揺していた、彼の手は靜かに震えをキュッと噛みしめていた。零士にとって、後悔しきれない事なのだろと誰が見てもわかるほどだった。

だが、今まで黙って聞いていた青空が快の言葉を遮るように怒鳴った。

「快、やめろ!!!!!」

青空は今まで見せた事のない怒りの表になると、その表に快も零士も驚いた。

「お前ら、お嬢さんも聞いている事を忘れてるやろ・・・」

青空はそれだけ言うと口を噤んだ。

「青空、ごめん・・・・」

快は言った言葉を後悔するように俯いた。

その後、誰も口を開かず、しばらくは零士の足音だけが響くだけの靜かな沈黙が流れていた。お互いの心の中に渦巻くどす黒い思いに支配されながら零士が口を開いた。

「このままなら、俺らは飢え死にするよな?二度目の死は、一度目より辛いのを忘れてないのか?」

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零士の言葉に快は悲しそうな瞳で見つめていた。そんな快に零士は怒りを発させるように

「慈悲なんて待っていたら朽ちるだけなんだよ!俺たち吸鬼に慈悲なんてないんだよ!」

零士の気持ちが痛いほど分かる青空も辛そうな表に変わっていく。零士の怒りを誰もが理解できるからこそ言葉を掛けられなかった。仲間として彼を止める事は出來きずにけ止めることしかできなかったのだ。

「だからさぁ、もう、遊びは終わりにしよう・・・・」

本當は分かっていたのだろう。零士はそう冷たく言い放すと、祭壇に駆け寄りが隠れていた場所に顔をれる

「!!!!!!!!!!!!」

なんと、予想していた場所にが居なかった。隠れられる場所はここだけだから、自分の勘が外れた事に零士は揺しながら、後ろによろよろと下がる。

「ここにも、おらん・・・・なんでや・・・・」

零士の言葉を聞いて、青空も驚いたように駆け寄って來ると

「なら、他に隠れる場所は!!!!!!!!」

そう言うと自分達の後ろにある棺を一つ一つ開けて始めたが、どこにもがいない。何が起こっているのか分からず焦りが増幅する・・・

不安を振り払うように零士は仲間に告げた。

「優たちの所に急いで戻るで!」

零士の合図で、青空と快は走って棺の部屋を出て行ったのだった。

私は三人の話を聞いていた時に、肘にあたっていた壁が突如、いた。彼らにバレないように、息を殺しながら壁を調べてみると、隠し通路なのだろか一部が外れた。その壁の奧を覗くと人が一人ぐらい通れるぐらいのが奧へ続いていた。

私はそのを見つめながら、ここにれば彼らから助かる事が出來るかも知れない・・・もしかして外に繋がっているかも知れない・・・今、この場から逃げるには、この道しかないのだ・・・・わずかなみを託して私はの奧へと歩みを進めた。

真っ暗のを先へ先へと進んでいく、徐々に狹くなるはどこまで続いているのだろうとし不安になる。私のが遂に進めなくなってしまったのだ。

その事に焦った私は戻るべきなのかと悩み始めたが、戻れば彼らに捕まる明らかだった。先に進むことに決めると、目の前に立ちふさがっている壁を力いっぱい何度も押してみた。すると壁が突如外れ目の前に眩しいって來たのだった。しばらくは目が慣れるまでけずにいたが、目が慣れると春の木れ日のような溫かい空気がその部屋じゅうに広がっている気がした。久しぶりにじた心地よさに、私は部屋に足を踏みれた。

「こ、ここは・・・・・」

この部屋の壁一面にはステンドグラスの綺麗な細工で施されており、どこから明かりを取りれているのか判別しないがとにかく明るいのだ、ドアも窓も無いのに心地よい風をじられる不思議な空間だった・・・一瞬でこの部屋は特別だと分かった。

そして、部屋の中央に置かれていた真っ白な棺に気が付いた。

私は導かれるように白い棺に近寄るとゆっくりと観察した。彼らが寢ている棺は真っ黒で質素だったのだが、この白い棺には綺麗な裝飾がされている。そして棺の周りにはとりどりの花が囲むように咲き誇っているのだ。そう、ここには特別な何かがある・・・私は勇気をだして白い棺の蓋を開けた。

「!!!!!!!!」

私の目に飛び込んできた真実に言葉を失っていた。

優たちは、相を変えながら戻って來た零士たちの顔を見て何かあったと直ぐに察していた。息を切らし、言葉をまだ出せない三人に恵吾は労わりながら背中を互に優しくでると

「お前ら、どうしたんや?何があった?」

恵吾の優しいに零士は息を整えるとを起こし

「優くん、が消えた・・・・」

その言葉を優は予想していのか、微だにせずに黙考していた。他の仲間は驚き、揺しながら

「お前ら、何があったか話してみろ・・・・」

は話を促すように言うと、青空が零士と快をチラリと見ながら話し始めた。

「俺たちが寢る部屋まで追い詰めた、そこまで気配は確かにあった・・・・でも、そこからは気配がじられなくなってしまって・・・・唯一隠れられる祭壇の後ろに居るかなって思ったら居なかった、そして姿も気配も一切消えてしまった・・・・」

青空の話を聞いては驚き

「お前たち、このホテルから本當に逃がしてしまったのか?」

している仲間を他所に優はりながら自分の考えを整理するようにブツブツと獨り言ちる。

「これは、ホンマに朝までかかるかもな・・・」

恵吾も嫌味を言うと、優は顔を上げ

「俺らの寢床で見失ったなら、もしかしたら・・・あの部屋に行ったのかも!!!!!!!」

その途端、歩夢の顔が変わり瞬時に霧と変わり消えてしまった。

その様子を見て、零士も後を追おうとしたが、優がごと制止させたのだ。

「なんで、止めるねん!」

怒鳴る零士に優は冷靜な顔でキッパリと言った。

「あの場所に行けるのは歩夢だけだ・・・」

その言葉に恵吾もも力強く頷いた。その姿を見て誰も何も言えなくなってしまった。

自分たちの知らないを知りたいが聞くべきではないと悟っていたからだった。

私は開けた白い棺の前に立ち盡くしていた。棺の中に綺麗なの人が穏やかな表に手を組み靜かに眠っていたのだった。

「・・・・この人は・・・・」

の表を見ていると、私は見てはいけないモノを見てしまった罪悪に苛まれ始めた。彼らの隠しておきたいものだったのだろ・・・・

私は、彼らにバレないように急いで棺を閉めた。これで無かった事には出來ないだろうが、そうするしか出來なかった。

彼らには何があったのだろう・・・・このの人は客の一人なのだろか?

それにしては大切にされている気がする・・・・そう、特別な人なのだろ・・・

私が息を整えながら々と思案を巡らせている時だった、何かの気配をじ振り返ると一人の男が悲しそうな瞳で立ち盡くしていたのだ。

その人を前にして、私は知ってはいけないをしってしまった為に、戻れない道に進んでしまったと絶した瞬間だった。

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