《Fog HOTEL》第五章 渇き ~4~

私は彼らから逃げのびて、ステンドグラスの部屋にやって來ていた。

ここを知っている人間は限られていると歩夢が言っていたのを思い出し、ここなら絶対に助かると思ってやって來たのだ。

ここは、本當に靜かで落ち著く場所だった。

本當に部屋なのかと思うほど、外の空気をじるのだ。

それが余計に私の覚を狂わせている

私は、ゆっくり白い棺に歩いて近いた。

棺の周りの花は嬉しそうに綺麗に咲き誇っている。そう歩夢ののように・・・

これだけを見ても、二人のじられる・・・

し合う二人を思った瞬間、がチクッと痛む。そうこれは嫉妬だ。

ゆっくりと棺を開けると、中のは穏やかに眠っている。

「今にも起きそう・・・・」

私はポッツと呟いた。

の寢顔を見ていると、私の頭に邪な思いが浮かんでは沈んでいた。もし彼が目覚めることがないと気が付けば、歩夢は私に振り向いてくれるのだろうか・・・・?

でも、これだけしている歩夢なら待ち続けるだろ・・・

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もし彼より私の方が先に會っていたら・・・しでも可能があったのだろか・・・

私が頑張れば、もしかしたら・・・・

そんな馬鹿な事を考えている自分に恥ずかしくなり、靜かに首を振り冷靜になった。

あれから、どれぐらいの時間が経ったのだろか・・・

歩夢は無事なのか・・・・そう、心配した時だった、人の気配を

やっと迎えに來てくれたのかと思い喜んで微笑んだが、私の目に映ったのは歩夢ではなかったのだ。

「歩夢ではなくって、申し訳ない・・・・」

そう言って優は靜かに頭を下げた。

彼の表はいつもと変わらずに冷靜だったが、どこか落ち込んでいる雰囲気が私にはじ取れた。

「あっ、あのぉ・・・何かあったのですか?」

優の表は変わらない、だけどの奧から不安が沸き上がって來る

不安げな顔の私に優は一瞬だけ表が悲しみに染まったが突如、全全霊を込めて頭を下げたのだ。

「お願いします。どうか、歩夢と零士を助けてやってしい」

彼のその姿に鬼気迫ったものをじた。

きっと歩夢に何かあったのだろ・・・

私は急いで、優に駆け寄より

「歩夢さんに何かあったのですか?」

彼から真意を問いただそうと必死になった。優の瞳は悲しみのに染まっている。その様子に私は全てを察してしまい、悲しみのあまりに後ろに力なくフラフラと下がって行った。

歩夢さんに何かあったのだ・・・私を助けるために・・・

その事が私の脳裏にぐるぐると巻き込みながら走り回る、優は棺に寢ている彼に目線を送ると靜かに語りだしたのだ。

「私は、最初から反対していたのですよ・・・生きた人をする事を死人に許されているわけがないから・・・・」

優の言葉からは後悔のが流れ出ているようだった。

歩夢と彼は仲間からは反対されていた事が伺えた。

「俺は彼にも伝えた、人間は食すだけの存在だから俺たちの前から消えろと・・・」

もし、私だったらと考えていた・・・

それでも、を貫く事が出來るのだろか・・・

歩夢は普通の人ではないのだ、今更ながら私はその事に痛していた。

「しかし、彼は言って來たのです。我々を救いたいと・・・歩夢を救いたいと・・・

その言葉で我々は、彼を信じてみようかと・・・」

私には信じられない言葉だった。

ずっと私は自分の事ばかりを考えていたから・・・

彼にされたい・・・生い立ちが不幸だったから私はずっと寂しかったのだと・・・

いつも、自分が救われる事しか考えていなかったのだ。

私も眠っている彼の方を向く。

の深さを知った彼の顔は、どこか誇らしげに私には映っていたのだ。

しかし、目の前の優の表が一変して曇る

「そんな、彼を村人は許さなかったのです。彼を騙し心を奪った歩夢を憎み・・・

我々を倒せる銀の弾丸で歩夢を撃ち殺そうとしたのです」

私が知るはずもなかった、歩夢の過去に私は言葉を失っていた。

が、こうして眠っている事実・・・

そんな事が起きていたなんて、私にはどう捉えていいのか分からなかったのだ。

「すると、彼は言葉通りに歩夢を救うべく、歩夢を庇い自ら命を落としたのです」

そう、私に語ると話が終わった合図のように、棺を靜かに閉めたのだ。

そして、私の方に向き直ると、真剣な瞳で私を見つめ思いつめた面持ちで

「今度は、貴が歩夢と我々を救っては頂けないでしょうか?

もう、貴に頼るしか方法はないのです・・・

どうかお願いします」

彼の思いが私のに伝わってくる。

彼は仲間を救いたく、私に助けを求めて來たのだ・・・

彼の言葉を聞き、私の心臓は大きな音を立て始めていた。

私のが彼らを救う・・・

その言葉を聞き私の脈が波打ち始めたのだった。

私も、彼のように・・・・

そう思うとが熱くなっていったのだ。

この私でも出來るのなら、彼のように救いたい

そう決斷した私は、自分がより闇の深みに沈むことも知らずに優の後に著いて行くことに決めたのだった。

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