私と優は見つめ合っていた。

こうなる事態は予測しており、どうするかを事前に打ち合わせしていたのだ。

私は一呼吸置くと、彼の瞳を真っすぐと見つめ覚悟を決めた。

その私の気持ちを察し、優は躊躇なく私の腕を摑み自らの牙で腕に大きな傷をつけたのだ。

私の腕からは痛みを伴いながら大量のが流れだす。

それを私は歩夢の口元に持って行った。

「ゴボッ・・・・」

突然、口にったに驚いたのか歩夢は咽たが、悔しそうな表で優を見つめると

「優・・・くん、なんで・・・・」

そう言った歩夢の瞳は怒りのあまりに深紅に変わっていた。

自分のみと裏腹な行に対してだろう・・・

「こうなる事も考えていた・・・・」

優はそう寂しそうに告げた。

誰もが相手の事を思いあっているのに、上手くかみ合っていない狀況のもどかしさをじながら歩夢の口にがそそがれる。

私は歩夢にをさしだしながら、優の気持ちが痛いほど分かっていた。

「私は、罪を犯しても貴方を救いたい・・・・」

その言葉を聞いた瞬間、歩夢の表が驚いた顔に変わり優も青空も驚いた顔で私を見たのだ。

「あ・・あなたは・・・何故、その言葉を・・・・」

私には分からなかった、自分の気持ちを素直に伝えただけなのに

何故、彼らがこれだけ揺しているのか、すると青空が小さな聲で

「昔、あのが言っていたセリフや・・・」

その言葉に私が今度は揺した。

彼と私の気持が一緒になった瞬間なのかも知れないと思った時だった。

「そのの味を知っているのは歩夢お前だけやろ？」

優の突然の言葉に、誰もが優に注目をしたが彼は構わずに話を続けたのだ。

「あの夜に仲間に出來なかった、のの味を・・・」

そう言うと歩夢を靜かに見つめた。

歩夢は自分の口の中を満たしている赤く脈打つモノを確かめるようにゴクリと飲んだ。

「!!!!!!!!!」

歩夢の顔が大きく歪み、困した表で私と優の顔を何度も互に見たのだ。

そんな歩夢の様子を心配したように、青空が優に尋ねたのだ。

「優君、どういう事なん？俺には全く分からんねんけど・・・」

しかし、優は青空を無視するように歩夢に聞いたのだ。

「昔の彼の味と同じやろ？俺の予想が當たっていたらやけどな」

その言葉に歩夢の揺は更に大きくなる。

自分の味わっている、このほのかに甘いの味は・・・

とても懐かしい気がする・・・

自分が忘れかけていた記憶が戻りそうな気がしていた。

そう考えながら焦點の合わない瞳で歩夢は私を見つめていた。

「その味は、お前だけしか知らない味や・・・」

優の容赦ない言葉に、周りは靜まりかえっていた。

誰もが口を聞かず、重い空気に包まれていた。

しかし、やっと歩夢はある事実に気が付き驚いた顔をすると

「も、もしかして、彼が・・・・」

歩夢は自分で導き出した答えをけれられずに困していた。

すると、優はまだ床に倒れたまま私のを飲み続けている歩夢に近づくと

「あのの魂は、あの時に天に昇っていた。だから目覚める事はなかった。

ただ、吸鬼の力でだけが生きていたんやと思う・・・」

歩夢の気持ちを考えると、伝えたくないだろ真実を伝え始めた。

「今も眠ったままで、あの時の傷も治ってなかった・・・・

吸鬼の力をもっても天に行った魂はかえっては來ないからな・・・」

そう言うと辛そうに歩夢から目線を離した。

目の前の歩夢は、何も言わずにいた。

優の言葉の意味を理解できずにいたのだろか・・・

それとも、悲しみに支配されているのだろか・・・・

私には分からなかった・・・

ただ、私は悲しかった。

あれ程までに彼を待っていた歩夢の気持ちを考えると

私のも悲しみに染まっていたのだ。

そんな私を優は冷たい瞳で見つめると、信じられない言葉を私と歩夢に浴びせたのだ。

「お前の願いを葉えたいのなら、そのを殺せ！」

その言葉に誰もの顔が凍り付く。

「そのが死ねば、魂はあのの中に戻るはずや・・・

願いを葉えたければの魂がっているゲストを殺せ！」

その非道な言葉に青空さえも耳を疑っていたが、優は躊躇することなく

「殺す殺さないはお前が決めろ。これはお前の問題やからな・・・

青空、俺たちは行くぞ・・・」

優は青空を連れ私たちの前から冷たい背を向けて去って行ってしまった。

私はじていた。

これが吸鬼なのだと・・・・

彼は本の吸鬼なのだと・・・・

非道な事でも顔すら変えずに言える冷酷な吸鬼なのだと

しかし、私の前で頭を下げた時の彼は・・・

彼は何を考えているのだろか・・・・

どちらが本の彼なのだろか・・・・

そう私が悩んでいると、歩夢は辛そうに起き上がり

「慘いことを・・・・・」

そう言うと悔しそうにを噛みしめていた。

歩夢にとって、この決斷は大きな分かれ道なのだ。

長年待った彼と會えるチャンスだから、しかし心の優しい歩夢が心を痛めないはずはないのだろ。そう私はじていた。

「俺にそんな事を出來ないことすら知っているのに・・・」

そう言うと、優しい瞳で私を安心させようと微笑んだのだ。

歩夢の気持ちを思うと私は切なくが痛かった。

「私は貴方の決めた決斷に委ねます」

私は歩夢の幸せを願い決斷をした。

どんな答えでもいい、それで歩夢が幸せになるのなら・・・

もう、彼が待つという寂しい時を過ごさないのなら、それで良かった。

すると、歩夢は手をばすと私の頭を優しくでながら

「答えを決めるのなら、貴を選ぶよ・・・・

貴と出會わなければ、このまま時が過ぎて行く運命なのだから・・・」

その彼の優しさに私のは苦しさでつぶされそうになっていた。

「でも、歩夢さんの彼さんは眠ったままなのですよ！」

私の頭をでていた歩夢の手が止まる。

そして腕を下すと、私を真剣に見つめ。

「貴を殺すなんて、何の得にもならないよ・・・」

そう言った歩夢の表は晴れやかだった。

私のは信じられない気持ちと、熱さで満たされていた。

歩夢が彼ではなく私を選んでくれた、この幸せに私は酔いしれていたのだった。