《Fog HOTEL》第六章 過去と真実 ~3~
監室にれられてから、しばらく時間が経ち零士は落ち著きを取り戻していた。
その様子を恵吾は片時も目を離さずに扉の前に立ち見守っていた。
恵吾は心配だったのだ。
渇きが原因だったとしても歩夢にあれ程の傷を負わせてしまい、冷靜になった今
零士が何を考えているのか・・・・
自分を責めて何かをしてもおかしくはないと
「恵吾、俺を一人にしてくれないか・・・・」
今までの零士とは思えないほど、弱々しい様子に恵吾の心配と不安が大きく膨らんでいく
「それは、アカン!」
恵吾は心配が聲に現れたように力強く言い、心の中では絶対に離れないと決めたのだった。
「お願いや・・・今は一人になりたいんや・・・」
そう言いながら俯く零士に、恵吾は更に嫌な予がしたのだ。
「お前、消えよとしてるやろ・・・・」
そう自分の心の中にある予を言葉にしたのだ。
零士は言葉に反応し、恵吾の顔を見る事が出來ずにそむけた。
「なぁ、誰もお前が悪いとは思ってないって・・・
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あれは仕方なかったって分かってるやろ?」
恵吾は零士の事を思い必死で説得をする。
「歩夢も許してくれるって、優だって仕方なしにお前をここに連れて來たんやと思うし」
零士には恵吾の言葉がっては來なかった。
まるで遠くで誰かが何かを必死で訴えているようにじていた。
自分の罪の重さに、大切な仲間に牙を剝いた自分が何よりも許せず、皆の前から消え去りたいだけだった。
そんな零士の様子に、恵吾は居ても立っても居られなくなり突如、零士を強く抱きしめると
「消えるなんて、アホな事をするな!勝手にカッコつけるなよ!」
その言葉と同時に強く強く抱きしめたのだ。
抱きしめられながら、恵吾の熱い思いをじていた。しかし、零士は再度恵吾に哀願した。
「頼むから・・・・」
その言葉に、恵吾はガッバっと零士をから離すと
「それは卻下や!俺はお前に消えられたら困る!」
そう大きく目を見開き曇りなき眼で零士を真っすぐ見據えた。
その言葉に零士の心がく
小さい子供の様な表になると
「それは噓や・・・こんな俺なんて居らん方が皆のためやろ・・・」
目の前の零士は恵吾の心を探っている子供の様だった。
そんな零士を見て恵吾は優しく微笑みながら零士の肩に手を乗せると
「噓やない、俺が噓を言わないのは知ってるやろ?」
その恵吾の表に噓は無いと零士はじていた。
だが素直になれない零士は困ったように俯いてしまった。
そんな零士を見て恵吾は困ったようにため息をつくと
「二度目の死が辛いってお前がいつも言ってるんやろ?なら、その辛い道を選ぶなよ」
零士は言葉に詰まっていた。
恵吾の気持は痛いほど嬉しかったが、自分が犯してしまった罪を考えると素直になれないのだ。
簡単に許される事ではないと、零士自が分かっていたのだった。
そんな零士を前に、恵吾はゆっくりとした優しい聲で言う、それは凍った零士の心を溶かす春をじさせた。
「お前は好き勝手に暴れてくれてた方が、俺らも楽しいんやで。お前は知らんかったと思うけどな・・・お前はお前らしく居てくれたらええんやって・・・・」
その言葉を聞いて零士の目から涙が溢れだしたのだ。
今までのが一気に溢れたかのように
そんな零士を恵吾は優しく頭をでながら
「俺らは分かってるから・・・お前の仲間を大切に思ってる気持ちは痛いほど分かってるから・・・・」
そう言うと目の前で泣きじゃくっている零士を恵吾は優しく抱きしめたのだ。
零士の罪がこの涙で流されれば良いと願いながら恵吾は何時までも抱きしめ続けていたのだった。
時を同じくして、ロビー奧に戻って來ていたは、自分の周りで考え事をしながら落ち著きなく歩き続けている優を見ながら、自分の定位置であるソファーに寢そべりながらくつろいでいた。
「零士をどうするつもりか、そろそろ聞かせてもらいたいねんけど・・・」
は、すこし意地悪気に言いながら、き回っている優の姿を目線で追っていた。
そんなに優は顔を向けると
「頭が冷えたら監室から出す。ルールはルールやかな・・・」
それだけ言うと、また考えをまとめるかのように部屋を歩き始めたのだ。
そんな様子を見ながら、青空も疲れた聲で
「零ちゃん、あのままやったらまた理を失くしてしまうやろ?
輸パックでもアカンかったし・・・・」
青空は先ほど見た零士の姿を思い出していた。
そして何も出來なかった自分に恥じてを噛みしめた。
そんな青空の言葉にが反応する
「そうやな・・・・あのままやったら今度は誰が犠牲になるか・・・」
そう言うと鼻をったのだ。
すると、歩き疲れたのか優が開いているソファーの席にドカッと座ると
「2、3日は持つやろ、その間に何とかするしかない・・・」
そう言いながらを親指ででると、その様子に納得がいかない快は
「優君、何か考えがあるの?さっきから橫暴すぎる気がするのだけど・・・」
そう言った自分の発言に自信がないのか優から顔をそむけた。
そんな快を優は冷たく見據えていると
「優には何か考えている事があるんやろ、こいつの主義には諦めが必要やで」
が場を明るくするかのように笑いながら言った。
その言葉で青空も小さく笑っていた。
誰もが久しぶりにじるホッとした瞬間だった。しかし、それを壊すかのように優は冷酷に告げたのだ。
「俺らの中に裏切者がいる!それを今から見つける・・・」
その信じられない言葉に、誰もが言葉を失っていた。
自分たちの中に居る裏切者の存在・・・・
揺せずにはいられなかったのだった。
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