《Fog HOTEL》第五章 犯人 ~2~

意識を失っていた私は長い長い夢の中にいた。

その夢は不思議な覚がするものだった。いている覚はあるが、それは自分ではなく誰かの記憶を夢として投影されているのだと私が気づいた時、大きな屋敷の前に立っていたのだ。

その屋敷は、よく見るとホテルの面影を殘しており、今よりはし小さいが、それでも大きな庭が特徴的な屋敷だったのだ。

その屋敷のり口の門の所で、私は男の人と立っていた。そして、し離れた場所で5人の男が楽しそうに話していたのだ。

目の前の男の人にある事を伝えようと口を開いた。

「歩夢、あの屋敷には行かないで・・・皆にもやめるように言って

あの屋敷は危ないって噂があるのは知っているでしょう?」

私は、あれ・・・このは私?

姿は違うけど、意識が私と同じ気がする・・・

自分の中でこのと時間が進む中でシンクロしていく自分をじていた。

私は、目の前の歩夢を必死で止めていた。

歩夢の腕をしっかりと摑み、離すと歩夢がどこかに行ってしまうような予がしており

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絶対に離さないと思いながら歩夢に頼んでいたのだ。

そんな私を見つめし困ったように微笑むと歩夢はあくまでも優しい口調で伝えてきた。

「本當に相変わらず心配だな・・・みんなも一緒だから大丈夫だよ!

あと、には分からないかも知れないけど、男には引けない事もあるんだよ」

そう言った歩夢の顔は、私が見ていた歩夢の顔と変わらなかった。

でも、し寂しさや影のない顔をしている・・・・

これが人間の時の歩夢さんの顔なんだ・・・・

「本當に知らないからね、もう、何があっても心配しないから!」

私は拗ねて歩夢に背を向けた。

私はとてつもなく嫌な予がしていた。

だから、とてもとても心配していたのだ。彼を困らせてでも屋敷に行かすことを止めさせたかったのだ。

そんな私にし困そ、歩夢はし躊躇したように考え込んでいたが、何かを思い出すと歩夢は顔を明るくさせた。

「そうだ、これを渡すのを忘れていた・・・」

そう言いながらズボンのポケットからあるモノを取り出してきた。背中で彼の様子が気になり私は橫目でチラッと見ると、それはあの取り上げられたロザリオだった。

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「ロザリオ・・・・・」

私の口は自然にいていた。その私の言葉を聞きながら歩夢が優しく私の首にロザリオを通しながら

「父親が牧師の君には相応しいプレゼントだろ?」

そう告げると、私とを重ねたのだ。

そして嬉しそうに微笑む彼に、もう私は怒る気になれずにいた。

何を言っても彼は仲間と行くのだろ。

歩夢にとって、彼らは特別なのだから・・・・

子供の時から一緒に過ごしてきていた、言わば家族の様な存在に私が勝てるはずもない・・・・

そう理解した私は、しだけ嫌味の様に大きな溜息をつくと

「本當に気を付けてね・・・・絶対に戻って來てね」

そう願いながら伝える私の頭を歩夢は優しくでると

「約束するよ!絶対に帰って來るから、待っててね!」

それだけ言うと私に背を向け、仲間のもとに走って行ってしまったのだ。

そして、みんなが屋敷の中にって行くのを私は手を振りながら見送っていた。

扉が閉まるまで、一瞬たりとも目を離さずに見ていた。

そして、彼から貰ったプレゼントと共に家に戻ったが、私はやはり後悔する事になった。

あの時、何があっても止めていたら・・・・・

夜中に村に大きな騒音が響き、誰もが慌てて音の元にやって來ると

屋敷が崩れ果てていたのだ。

しかし、不思議な事に村人たちが歩夢たちを助けようと崩れた屋敷を必死で探したが、6人の姿はどこを探しても見つからなかったのだ。

村の人は神隠しにあったとか、悪魔に襲われたとか々と噂をしていたが私には信じることが出來なかった、どうしても現実をれる事が出來なかったのだ。

そんな私をるロザリオだけが支えていたのだった。

歩夢はもしかしたら生きているかもしれない・・・

どこかで生きているかも知れない・・・

何かの理由で帰って來れないだけかも知れない・・・

彼とした最後の約束を私は信じていた・・・

しばらくの月日が流れた頃、宣教師だった父がこの土地を離れ、他の場所で神の教えを広める事になった時も、私は一人この土地に殘った。

彼をまだ信じていたから・・・・

もし、彼が帰って來るかも知れない、そんな時に私が居なかったら彼が悲しむだろ・・・

彼をしていたから、どうしても忘れる事は出來なかった・・・・

どれだけの時間が過ぎようが思いが消える事がなかった。

彼が帰って來なくても神のもとで歩んでいくと決めていた・・・・

奇跡が起こるなら、神にすがりたいと願っていた・・・

父が去った後の教會で私は一人で生きていた。

一人靜かに彼を思いながら、奇跡を信じながら・・・・

そんなある日の事だった、村に不穏な噂が流れ始めたのだ。

死人が夜に走り回っていると・・・・

死んだ村人には一滴もが殘っていなかったと・・・・

頭からフードを被った男が私に教えてくれたのだ。

『死人はあの屋敷からやって來ている・・・・

消えた男たちが死人となって、やって來ている・・・』

その男はそれだけ言うと、村人の間をすり抜けるように消えて行ってしまった。

その人は誰だったのだろか?疑問に思いながらも、その男の人の言葉に騒ぎがし

真相を確かめたく、私は勇気をだし屋敷に向かった。

そこで、私が目にしたのは屋敷の中で行方不明になっていた歩夢だった。

そして他の仲間も居たのだがその姿は一瞬で見て分かる死人だった。

そして、彼らは私の事を忘れ去っていたのだった・・・・

彼らは吸鬼になり、村人のを啜り、いつの間にか建て直っていた屋敷で暮らしていたのだ。

私は歩夢とまたこうして會えた事が、とても嬉しかった。

それこそ神の奇跡のようにじていた。

また、一緒に過ごせる事が何よりも嬉しかったのだ。

私と歩夢は、しばらくするとまたに落ちた・・・・

今度は誰にも許されないに・・・・

神に背いたに・・・・

だがしばらくの間は、彼と幸せな日々を過ごしていた。

彼らがするをどうするべくか思案しながら、吸鬼と人間が共に生きられる道を歩夢と探していた。

しかし、村人たちは違っていた。

鬼の存在を恐れる村人たちは屋敷を焼き払い彼らを抹殺しようと計畫していたのだ。

その事を、偶然に聞いた私は村人を説得しようと立ち上がったのだ。

歩夢と目指している未來・・・・

共存できる世界を信じて、村人を説得したのだ。

歩夢を助けたかったし、彼らを助けたかったから私は必死に訴えかけたが、その姿が余計に村人からすると異様に見えたのだろ。

私が彼らに取り込まれたと勘違いしたのだ。

そんな彼らを許せなかった村人は、いつもの様に私と會っている歩夢に銀の弾丸を撃ち放ったのだった。

私は、歩夢を二度と失いたくなった・・・・

それが神に背く行為になったとしても。

彼には生きていてしかったのだ、許しの來る日まで・・・・

何があっても生きていてしかったのだ・・・・

だから、私は躊躇せずに彼の前に立ちふさがり、歩夢を庇って銀の弾丸をけた。

私の願いを屆けたくって・・・・

二人で永遠を歩める日まで、今度は歩夢に待っていてしくって・・・

私の寂しかった思いや、苦しかった日々を・・・・

歩夢を待ちながら遠い空を見つめていた事を思い出しながら私は永い眠りについたのだった。

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