《Fog HOTEL》第五章 犯人 ~3~

鬼たちは、自分たちの前で力なく膝をつきうなだれている人を見て

驚きを隠せずに揺し続けていた。

それぞれ、自分のとどう向き合って良いか分からず、のまま大聲を上げ始めた。

「噓や!こいつが裏切者のはずがない!俺らはずっと力を合わせてきたろ!」

青空は、必死で裏切者の前に立つと庇い始めた。

「青空、でも俺の記憶が戻ってやっと分かった。そいつだけ俺らの仲間じゃないねん!

鬼になってから、そいつは俺らの仲間になったんや・・・信じられないと思うが」

遂に零士は霧のようにぼやけた記憶から、増えた人を知った。

その者は吸鬼になった時から、何食わぬ顔で仲間の中にり、さも昔から知っているかの様に過ごしていた。それも零士には許せる事ではなかったのだ。

「でも、やっぱり何かの勘違いと違うんか?こいつが絶対に俺らを裏切れるわけないやん!誰よりも気弱で怖がり屋のに・・・それは、お前だって知ってるやろ?」

目の前の真実をどうしてもけ止められず、恵吾は零士を否定したかった。

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「信じられんと思うけど、俺の戻った記憶には・・・人間の時の記憶にはこいつはおらんねんって!吸鬼になった時から、こいつは俺らと一緒にすごしてるんやって!」

零士は必死になって仲間に訴えるが、青空と恵吾は納得しない。その様子をこれまでソファーの上で寢そべっていたがゆっくりとを起こすと

「それぞれの意見はあると思うけど、真実を知りたかったらその口を閉じんとな・・・

真実を知りたくないならその扉から出て行ったらええ・・・聞きたい奴だけ殘ったらどうや?」

そうは冷たく言い放つと仲間を制止させたのだ。

そして、靜寂の中で誰もかないのを知ると

「ほんなら、全員真実を知りたいってことやな」

そう言うと、優に話すことを促すかのように微笑んで見せたのだ。

その合図に、優は小さく咳ばらいをし話し始めた。

「この忌まわしいから抜け出すために、お前はこのゲスト・・・・

いや、歩夢の彼が生きていた時からある計畫を導いてきたんやろ?」

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優の話に歩夢の瞳が大きく揺れ、膝まづいている人を悲しみの瞳で見つめた。

「二人が同じ所に痣があるなんてな・・・・そんな奇跡が起こるはずもない・・・

誰かが導いているとしか考えられないよな・・・・

そしたら、誰もの行がおかしく見え始めたんや・・・」

優はりながら告げると、恵吾は驚きながら

「お前は俺たち全員を疑っていたんか!」

恵吾の揺が誰にも伝わり焦っている中に優は冷たい顔をしながら

「當たり前や、考えられる事は全て疑ってかからんと真実は分からんからな」

優の言葉に誰もが唖然としていたが、はソファーから立ち上がると膝をついている裏切者に近寄ると

「ホンマにお前やったんや・・・・俺らの記憶を綺麗に消して、こんな事をしたのは・・・・」

はそう言うと、悔しそうにを噛みしめている快の肩を優しく叩いたのだ。

快は涙を流しながら無言で首を必死で振っていた。

その姿は何かを訴えたいが言葉にならず、苦しんでいるかのように見えた。そんな快を歩夢は許せなかった。

「な、なんで彼まで!俺になんの恨みがあったんだ!」

むき出しで快に歩夢は摑みかかって行った。

「ち、ちがうんだ・・・ちがう・・・・」

快は涙を流し震えるを必死で押さえながら抵抗していた。

「犯人は、お前や快!」

冷酷な深紅の瞳で優は、快を見據えながら告げた。

誰も何も言えず、快からの言葉をひたすら待ち続けた。

快も何かを考えるように涙を拭きながら決心をしたように弱々しく口を開き打ち明け始めた。

「もう、永遠の孤獨は辛かった・・・そして罪を償いたかったんだ・・・」

快はそれだけ言うのがやっとだったのか、口と閉じるとまた顔を俯けてしまったのだ。

「だから、彼まで犠牲にすることはないだろ!」

歩夢には納得が出來なかった、わに大聲で怒鳴りながら意識のないゲストを見た。

すると、優が歩夢と快の間にるとゆっくりと説明を始めた。

「それは、お前の彼もこのゲストも神に仕えた清らかなを持っていたからだと思う」

誰も優の言葉を遮る事は出來ずに聞いていた。

「歩夢の彼しかった快は、わざと村人を襲うと自ら噂を広めた・・・彼をこの屋敷に來させるために・・・そのを手にれるために・・・」

淡々と話す優の言葉に快は否定することもなく辛そうにを噛みしめながら聞いていた。

「彼を啜り、人間に戻るためにな・・・」

その言葉を聞いたとたん、青空が驚いた顔をし

「えっ、どう言う事なん?そんな事の為にここまでしたんか?」

青空には理解できなかったのだ。すると、が頭を掻きながら青空に説明した。

「ほら、そのゲストのしだけ歩夢が飲んだ時に手が人間に戻ったやろ?

あれはしやったけど、全部飲んだらどうなるかは分かるやろ?」

の説明に青空は納得が出來ず快に怒った顔を見せながら

「自分の救われるために誰かを犠牲に・・・」

その言葉に、快は自分のした事を悔いているのか更に涙を流し続けた。

そんな中、優は容赦なく話を続けたのだ。

「しかし、快には予想もしない問題は起きてしまった・・・」

誰もが優の言葉を聞きっていた、何が起きたかを誰もが知りたかったのだ。

快が何故、こんな事を起こしたのかを・・・・

「歩夢のが、快より先に歩夢に會ってしまった。せっかく歩夢の記憶を消したのに・・・

しかも、ふたりは直ぐにに落ちてしまったからな・・・」

その説明に今度は零士が納得するように

人やと、消してしまうと直ぐにバレてしまうからか・・・

なるほどな・・・・」

零士の言葉に優は靜かに頷き

「しかし、彼は俺らを救いたいとまで言い出した・・・

これで、俺たちへの印象は更に強くなってしまった・・・

そして、その言葉を快も信じようかと思ってしまったのかもな・・・」

誰にも自分の気持ちを悟らたくはないのだろ。快は何も言わずに辛そうに震えていた。

「快にしたら永遠に続く時間の戯れやったかも知れない、歩夢が居ればいつでもは吸えるチャンスはあったから、その機會を待っていたかも知れんな・・・」

その話に青空は辛そうな表で快を見た。自分の目の前にいる彼は小さな子供のように見えた。

「そんな事・・・俺は信じられない・・・そこまで快がしてたなんて・・・」

相手を思いやる青空の言葉に優は小さく笑ったが、更に話を続けた。

「快の誤算は、村人の怒りをかってしまい歩夢が襲われる事になった事や・・・

それを彼が庇ってしまい永遠の眠りについてしまった・・・・

快にとってはショックやったと思う・・・」

その言葉に快は激しく泣きじゃくる。

「それから、快は必死で探したと思う・・・・彼を啜りたかったやろうから・・・でも、俺らが歩夢の為に彼を隠してしまったから、どうしても見つからなかった」

優の語りは続いていく、苦しんでいる快を無視するように

「それから日々は過ぎて行ったが、次のターゲットが見つかり今回のゲストをい出したのだと思う・・・」

その言葉に恵吾は驚いた顔で

「じゃぁ、彼も快に?」

恵吾の問いかけに優は靜かに頷く。

「あぁ、スマホを盜んで他の人間と連絡を絶ち、この屋敷に向かわせることなんって吸鬼には造作はないと思うけどな・・・・」

優は意識を失っているゲストを見ながら言った。

「もう、永遠の苦しみが辛かった・・・・・

それだけだったんだ・・・・罪から許されたかったんだ・・・」

快はそう告げると、仲間の前で泣き崩れたのだった。

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